奈良文化財研究所(奈文研)と文化財活用センターは、石碑に刻まれた文字や文様に光を当て、その影から拓本をとる技術を活用したスマホアプリ「ひかり拓本」プロジェクトをスタートし、アプリの開発・公開費を募るクラウドファンディングを開始しました。

調査が難しい石碑の碑文を後世に残すプロジェクト

今年創立70周年を迎えた奈文研と文化財活用センターが共同で取り組む「ひかり拓本」スマホアプリプロジェクトは、普通の写真では文字が読みにくかったり、現地に赴いても風化で碑文が読みにくかったり、工事や災害などで石造物そのものが失われることもあったりと、調査が難しい石造物の碑文を後世に残すことを目的としたプロジェクトです。
 
読み取った碑文をデータベース化するには、アプリを活用した撮影協力者や、石造物が残される地域との連携を綿密に行う必要があり、長期的な挑戦となります。
 
募集期間は2022年10月5日午前10時〜同12月2日午後11時で、目標金額の380万円に到達しなかった場合は返金となります。

奈文研開発の技術「ひかり拓本」で碑文の文字を読みやすく処理

石碑の多くは風化が進み、研究者にとっても文字判読の難しさが課題となっていましたが、奈文研は、石碑の碑文にさまざまな角度から懐中電灯などの光を照射し、撮影した複数の影を合成することで判読可能な画像を作成する技術「ひかり拓本」を開発しました。
 

 
これにより、普通に撮影した写真では読みにくい碑文の文字も判読しやすくなるほか、石碑を汚すことなく、拓本と同じ程度に簡単に碑文が読み取れる画像を作成できます。
 
必要なものは一般的な撮影機材(タブレット、デジタルカメラ、三脚など)、懐中電灯などの光源のみで、専門的な道具や知識は必要ありません。また画像の作成所用時間も、合成画像1枚につき1秒〜2秒程度で、5分もあれば撮影と作成を完遂できます。
 

「ひかり拓本」の技術をスマホアプリ化、誰でも使えるように

これまで奈文研では、デジカメで撮影した画像を、研究者個人が開発したPC向けアプリで画像処理する手法を研究グループで使用。今回の「ひかり拓本」アプリ化は、調査研究を進める過程で、研究グループ外から利用してみたいという声や、校外学習やクラブ活動など教育現場で使ってみたいとの声が挙がったことがきっかけとのことです。
 
奈文研は「アプリは公開後も保守費用がかかるため、無料での提供は難しいものの、予算が限られる教育現場も含めて広く利用してもらうため、なるべく安価で提供する必要がある」として、クラウドファンディングを通じてアプリ開発・公開費用を募っています。
 
目標金額はアプリ開発・公開費、諸経費あわせて380万円で、目標額を超える支援が集まった場合は、小学校などの教育現場で「ひかり拓本」アプリを活用してもらうための貸出用機器一式の調達費に充当するとしています。
 
 
Source:READYFOR ひかり拓本アプリ支援ページ
(asm)