pepper「好きなものを身に着けることは、私を語ること。色石リングを着けると、自分の輪郭が浮かび上がってくる」(写真:『わたしのジュエリー365日』より)

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特別な日だけにつけるものではなく、普段使いするものになりつつあるジュエリー。でも限られた予算で何を買い、どう組み合わせればいいのかは悩ましいところ。ジュエリーを中心としたファッションアイテムに詳しいpepperさん(都内勤務の40代会社員)は、そうした悩みや試行錯誤を絶妙なリズムの文章とともにインスタグラムで配信し、人気を博しています。たとえば、昨今の「値上げラッシュ」を前に思うこととは――。

【写真】pepperさんの”一軍”ジュエリー。スタッカーズのジュエリーボックスに収容している

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数年前からよく耳にするようになった「価格改定」

ティファニー、タサキ、シャネル、ブシュロン、ポメラート、ハム、カルティエ、ヴァンクリ、シャネル、タサキ……。

ふっかつのじゅもん? いいえ、違います。これは2022年に入ってから5月中旬までに価格改定という名の値上げが実施されたジュエリーブランドです。タサキとシャネルが2回出てきますが、入力ミスではありません。

数年前からよく耳にするようになった「価格改定」というワード。近年は年に2回行うブランドも出てきて、10年前の約2倍の価格になってしまったものも……。

いま必要とされる「価格改定スルー訓練」

色石やパールなど個体差のあるものやリングのサイズなど、比較検討したくても、駆け込みだと在庫がなく、それができないのがつらいところ。

できるだけ自分で決めたタイミングで手に入れたいのに、価格改定にタイミングを合わせるのもつらい。

これまで突然の価格改定から身を守る「価格改定訓練」を提唱してきましたが、あまりに頻繁に行われるため、訓練しても資金が追いつかない状態。

むしろこれからの時代に必要なのは、価格改定を強い意志で見送る「価格改定スルー訓練」なのでは? という境地に至りました。

【見ざる】【言わざる】【聞かざる】

【見ざる】店舗やオンラインブティックを見ない

普段なら、自分に必要なものかをシビアにジャッジできても、価格改定発表後は焦燥感と興奮で、冷静な判断力を失いがちです。店舗やオンラインブティックに在庫があるだけで、「これは運命!?」と勢いで購入しかねないので、とにかく見ないようにします。


『わたしのジュエリー365日』(著:pepper/CCCメディアハウス)

【言わざる】ほしいものを言わない

インスタグラムは肯定にあふれる優しい世界です。「このブランドの、これがほしいけれど、どう思いますか?」と発信したら、ほとんどの人が「お似合いです!」「今が一番安いですよ!」と背中を押してくれます。

だけど、手持ちのものと合わせられるか、ライフスタイルにフィットするか、経済的に見合っているか等は、結局自分にしかわかりません。

買うかどうかの判断を人に委ねないためにも、価格改定前には寡黙キャラに変身します。

【聞かざる】他人の駆け込み購入話を聞かない

駆け込みで購入した人の興奮さめやらぬ武勇伝を耳にしてしまったら、じゃあ私も……となるのは当然です。

だから、他人の駆け込みエピソードは、異世界の壮大な叙事詩として受け止めるようにします。「伊勢丹で……」と書いてあっても、それは転生した人しかたどり着けない異世界の伊勢丹です。

結局、一番効果があるのは・・・・・・

このような強い意志で、2022年初夏の価格改定の乱をスルーした私。

あれ、ちょっと待ってください。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が入りました。映像によると、ペナルティーエリアであるカルティエとハムの店舗に行っていますね。ヴァンクリーフ アンド アーペルのオンラインブティックにも何度もアクセスしています。

インスタグラムで仲よくしている方に対して、ほしいものの値上がりを嘆いています。「なんとか推しとつなげて購入できないか」という親身なアドバイスをもらい、推しとの関連を必死に探していた形跡が見られます。さらに血走った目で、インスタグラムに流れてくる駆け込み投稿を見ていますね。

すみません、実は価格改定スルー訓練で反則行為を繰り返していたことを、ここに告白します。駆け込み購入しなかった最大の理由は、1月に大物買いで今年の予算をほぼ使い切ってしまい、試合出場停止状態だったから。

結局、価格改定スルー訓練に一番効果があるのは「(お金を)持たざる」でした。

※本稿は、『わたしのジュエリー365日』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。