(提供:Ⓒ田村セツコ/集英社)

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可愛らしい女の子をモチーフに、1960年代には「りぼん」「なかよし」などで少女向けのおしゃれページを多数手がけたイラストレーター・田村セツコさん。文具や小物などの「セツコ・グッズ」で人気を博し、84歳となった今もなお一線を走り続けています。認知症一歩手前(?)でもますます元気な田村さんが考える、人生の楽しみ方とは。紙とえんぴつがあれば幸せ、という心の健康法を伝授します。「質素好き」な田村セツコさん、少女時代は屋根裏部屋で将来の暮らしについて夢を膨らませていたそうで――。

【イラスト】田村セツコさんの素敵な手書き文字で綴られた絵日記。今日も元気で…

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趣味は大の「質素好き」

少女時代は、将来どんな暮らし向きがいいかしらと、想像しました。

お庭に小鳥が来て、自分の部屋は洋風で、ピアノが当然のようにあって……などと放課後、クラスメートと語り合いました。

わたしの趣味は大の「質素好き」で、部屋は当然、屋根裏部屋。

ピアノやオルゴールやフランス人形は、友だちのK子ちゃんちにあればオッケー。

お姫さまより、召し使いの方が絶対、面白そう。それからもう、50〜60年がたったというのに、趣味は変わらず、本とコーヒーと屋根裏部屋の暮らしです。

画家の運命

そして、パリの屋根裏部屋といえば、貧乏画家です。寒さにふるえながら、パンのはじっこを食べながら絵を描いています。

生きている間は、わびしい暮らしでしたが、亡くなった後に、絵には高い値段がつき、名前も世界中に知れ渡ります。

子どものころは、そんな画家がなぜ生きている間に認められなかったのか、とても残念に思ったものでした。

一方で、若くして個性的な絵が認められ、人気者になった画家もいます。

彼はお城に住んで、華やかなパーティーを開き、ファッション雑誌のグラビアに登場。社交界の生活が忙しく、絵を描くひまがなくなってしまいました。

デビュー当時のやせぎすの青年はいつしか、ぷっくりおなかの、満腹おじさんになってしまいました。


『白髪の国のアリス――田村セツコ式 紙とえんぴつハート健康法』(著:田村セツコ/集英社)

屋根裏部屋が落ち着くの

子ども時代の自分に、そっと言ってやりましょう。

「ホラね。絵描きさんは、お金持ちにならなくても、絵具とキャンバスがあれば十分しあわせなの。それは、はたからはわからない、ひみつのしあわせなのよ。ごちそうなんか食べなくても、パンのはじっこと、ちょっぴりワイン。お部屋はお城じゃなく、やっぱり屋根裏部屋が落ち着くの。わかった?」

※本稿は、『白髪の国のアリス――田村セツコ式 紙とえんぴつハート健康法』(集英社)の一部を再編集したものです。