pepperさんのロレックス。いわく「オンオフ問わず使えるので、身だしなみに脳のリソースを使いたくないときに頼る1本」(写真『わたしのジュエリー365日』より)

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特別な日だけにつけるものではなく、普段使いするものになりつつあるジュエリー。でも限られた予算で何を買い、どう組み合わせればいいのかは悩ましいところ。ジュエリーを中心としたファッションアイテムに詳しいpepperさん(都内勤務の40代会社員)は、そうした悩みや試行錯誤を絶妙なリズムの文章とともにインスタグラムで配信し、人気を博しています。たとえば、18歳の時に入手したロレックスの時計については――。

【写真】10代で選んだのは31ミリのボーイズサイズ。少し大きめなサイズが手元の印象をフレッシュにしてくれます

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やっと会えたね・・・・・・高校生が一目惚れした腕時計

1998年12月某日、自室でベッドに寝そべり、ティーン誌「プチセブン」(小学館)を読んでいた高校3年生の私は、あるページに目が釘づけになりました。

そのページは、「クリスマスにほしいブランド品」という特集で、当時大人気だったプラダのナイロンバッグやヴィトンの財布などの中に、ブラックダイヤルのロレックスが。

見た瞬間、稲妻に打たれたような衝撃を受けました。やっと会えたね……初対面なのに思わずつぶやいてしまうほどの一目惚れ。

雑誌を持ってリビングに走って行き、「大学に合格したらこれ買ってください!!」と親に懇願。

受験まであと数ヶ月なのに、のんきに雑誌を読んでいる娘を母がどう思ったかはわかりませんが、《一生のお願い》を駆使してなんとか合意にこぎつけました。  

その日から、私は1日9時間勉強し、受験当日までの2ヶ月で、ボーッと過ごしてきた1年分を取り戻しました。

ブラックダイヤルだけに黒歴史

そんな努力と執念に円高が追い風となって、見事手に入れたロレックス。

雑誌で見たものはレディースの26ミリでしたが、18歳の私にはレディースサイズはエレガントすぎたので、ボーイズの31ミリに決めました。


『わたしのジュエリー365日』(著:pepper/CCCメディアハウス)

手に入れて以来、どんな服装でもこの時計をして過ごしました。着けたままテニスをしたり、温泉の脱衣所のカゴに直で入れたりと、かなり適当な扱いをしていたので、壊したり失くしたりしなかったのが不思議なくらいです。

今思えば平凡な大学生の私には分不相応で、まったく似合っていなかったとわかりますが、あの頃は手に入れたことに満足して、似合っているかどうかなんて気にもしていませんでした。ブラックダイヤルだけに黒歴史。

何年経っても飽きることがない

18歳だった私は41歳になり、この時計と23年間を共に過ごしてきたことになります。

オンオフ問わず使えるうえに、雨の日、旅行、子どもとの外出など、自分の身だしなみに脳のリソースを使いたくない日には、ロレックスを頼ります。

多少の傷や汚れも味になり、メンテナンスすればずっと時を刻んでくれる……人生の半分以上を共に過ごしてきた私の相棒です。

流行は移り変わるけど、好きなものは変わらないということを教えてくれたのも、この時計でした。

無駄のない究極のシンプルさは、何年経っても飽きることがありません。華やかな装飾やデザインされたわざとらしさは一切なく、無口で武骨な佇まいながら、サファイヤクリスタルが光を反射して美しく輝く様子は、見るたびに惚れ惚れします。

推せるところしかない

エビちゃんOL全盛期には、レディースのシルバーダイヤルにすればよかった……と男前なモデルにした自分を悔やんだことも。サントスやタンクアメリカンを手に入れてからは、使用頻度が減ったこともありました。

けれどアラフォーになり、この少し大きめなサイズ感とボリュームが、枯れてきた手元をフレッシュに見せてくれることに気づいてから、グッと出番が増えました。文字盤のブラックも、曖昧になってきた輪郭を引き締めてくれます。もう、推せるところしかない。

あれれ〜? おっかしいぞ〜? ロレックスが相棒って言ってるけど、ほかに3つも時計があるよ。このおばちゃん、時計たらしなんじゃない?

失礼だな、純愛だよ。

※本稿は、『わたしのジュエリー365日』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。