〈あらすじ〉

 羊飼いのイングヴァル(ヒルミル・スナイル・グズナソン)とマリア(ノオミ・ラパス)の夫婦は、アイスランドの山間部で静かに暮らしていた。出産シーズンを迎え、次々と子羊が誕生する中、ある羊から羊ではない“何か”が産み落とされる。

 愛娘アダを亡くしていた夫婦は、その“何か”をアダと名付け、我が子のように育て始める。イングヴァルの弟はアダを見て困惑するも、次第に叔父と姪のように打ち解けていく。しかし、夫婦の幸せは長くは続かなかった。

〈解説〉

 喪失を抱えた夫婦と、羊から生まれた“何か”をめぐるネイチャー・スリラー。監督・共同脚本は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当し、本作が長編デビューとなるヴァルディミール・ヨハンソン。106分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★★清冽な風景の中でしだいに濃くなる不穏な空気。気味悪い話だが人と獣の大きな物語に。おかしみも少々。☆1つ分奮発。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆「浸潤型」の怪異譚。強引な展開も眼につくが、磁場の歪みと人の反応を見ると、なにが起きても受け入れられる気になる。

斎藤綾子(作家)

★★★☆☆羊飼いの夫婦の日常が豹変するのを不気味と感じるか否か。後半ますますハラハラしつつ、ラストの光景にはただ茫然。

森直人(映画評論家)

★★★★☆民話的な幻想譚とモダンホラー、更に脱力コントを交配させた様な面白さ。羊をめぐる不条理な日常生活の冒険の怪異!

洞口依子(女優)

★★★☆☆フォークロアとホラーの奇妙さ。不吉な予感の漂う山間に子羊と羊と夫婦、家族の残像的ポートレート。凄い没入感。


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『LAMB/ラム』(アイスランド・スウェーデン・ポーランド)
9月23日(金・祝)より新宿ピカデリーほか全国順次公開
https://klockworx-v.com/lamb/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年9月29日号)