ネット上での出会いが感染のきっかけになることも

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梅毒が増え続けている。NHKによると、全国から報告された感染者は2022年8月7日までに7013人。去年の同じ時期の1.7倍となっている。

このままのペースで増加した場合、現在の方法で統計を取り始めた1999年以降、初めて年間の感染者が1万人を超える可能性が指摘されているという。

1999〜2012年は年間500〜900人

急増ぶりは、各都道府県のウェブサイトでも明らかだ。

「梅毒が急増しています!! 梅毒患者報告数は男女ともに増加しています」(東京都)。
「全国的に梅毒報告者数が増加しており、熊本県でも2017年以降、梅毒の感染者が急増しています。2022年1月から7月末までにおける県内の梅毒報告者数は112人で、過去最多ペースで急増しています」(熊本県)
「梅毒の感染者が例年に比べてとても増えています」(福岡県)
「このまま増え続けると過去最大に!」(大阪府)

梅毒は古くからからある性病だ。豊臣秀吉の朝鮮出兵で日本に持ち込まれ、江戸時代はまん延。戦前は性風俗産業で広がり、戦後の一時期も感染者が多かった。その後、コンドームの使用や、ペニシリンによる治療が広がったことで患者は激減。1999〜2012年は年間500〜900人にとどまっていた。

しかし、その後どんどん増えて18年は7007人。19年、20年はやや減少したが、21年は再び増えて7873人。今年はさらに急増する勢いだ。

「性風俗」以外のルートでも感染

かつては死に直結する病気だった。歴史上の有名人の中にも、梅毒で命を落とした人が少なくなかった。しかし、現在は、早期発見・治療すれば、治癒する病気とされている。

厚生労働省のウェブサイトによると、感染後約3週間で感染部位に症状が現れ始める。この時期に梅毒の検査をすることが望ましいが、痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快する場合もあるため、見過ごすことになりがちだという。

治療をしないで3か月以上を経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがある。アレルギー、風しん、麻しんなどに間違えられたりするので注意が必要だ。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあるという。 

NHKによると、男性では性風俗産業の利用歴がある人が、女性では従事歴のある人が、それぞれ感染者の3割から4割ほどを占める。一方で、性風俗産業の利用歴のない男性、従事歴のない女性もそれぞれ3割程度いる。したがって感染ルートは性風俗関係に限らない。

NHKの取材に対し、性感染症に詳しい「プライベートケアクリニック東京」の院長を務める、尾上泰彦医師は津語のように語っている。

「性風俗産業を介して感染すると思いがちですが、自分自身に思い当たる節がなくても、パートナーから感染してしまうケースもあるので、他人事と思わず注意することが大事です。また、最近の診療経験からは、マッチングアプリやSNSを介した出会いを通じて、不特定多数の人と性行為して感染する人もいます」と語っている。