YouTubeの自動コンテンツ識別システム「コンテンツID」を利用して、約4年で2300万ドル(約31億円)を不当に得ていた2人組が裁判にかけられています。YouTube史上最大規模といわれるこの音楽ロイヤリティ詐欺の手口は、最も成功したラテンシンガーであるフリオ・イグレシアス氏や、プエルトリコ出身のアーティストであるダディー・ヤンキー氏、アヌエルAA氏の楽曲から得られる印税を「盗む」という、とても単純なものでした。

YouTube Fraud Led to $23 Million in Royalties for 2 Men, IRS Says - Billboard

https://www.billboard.com/pro/youtube-fraud-royalties-scam-irs-latin-chenel-yenddi-mediamuv-adrev/

The largest YouTube royalties heist in history is just a spotlight on a much larger problem. | Mashable

https://mashable.com/article/youtube-copyright-royalties-heist

YouTubeにはアップロードされたコンテンツが保護されたものかどうかを識別するために「コンテンツID」が導入されています。コンテンツIDが一致した場合、著作権者は当該動画を視聴できないようにブロックするか、動画に広告を掲載して場合によってはアップロード者と収益を分配するか、動画の視聴者に関する統計情報をトラッキングするかのいずれかの対応を取ることができます。

コンテンツIDの管理は必ずしも著作権者が直接行っているわけではなく、著作権管理会社がまとめて行っているケースが多々あります。AdRevも、YouTubeでコンテンツIDに関する対応を行っていることで知られる著作権管理会社の1つです。

今回の問題で訴えられたジョゼ・メディナ・テラン被告とウェブスター・バティスタ被告は「MediaMuv」という会社を設立。AdRevに対して、自分たちが5万曲以上のラテン音楽の著作権を所有していると主張する偽の書類を送り、著作権徴収の代行を任せました。AdRevは、徴収代行を行うにとどまらず、テラン被告とバティスタ被告がYouTubeのコンテンツ管理システムに直接アクセスして独自に著作権を主張できるよう助けたとのこと。

2人は2017年からこの「ロイヤリティ詐欺」を行い、約4年間で2300万ドルを得ましたが、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)の調査により電信詐欺、マネーロンダリング、個人情報窃盗などの罪が暴かれ起訴されました。

バティスタ被告は司法取引に応じて一部容疑を認めた上で、MediaMuvによる詐欺がどのように行われたかを裁判所に明かしました。一方、テラン被告は無罪を主張し、2022年11月に行われる裁判を待つ状態となっています。