杉山 変えにくい感じが出てしまっているのは確かです。なによりそれは森保監督が作り出したムードなのですが、そこを壊せるか。いずれにせよ、監督力の占める比重が高まっているのは間違いありません。
浅田 変えたほうがいいというのは賛成です。杉山さんが、大会の前にバタついた時のほうが成績はいいと言いましたけれど、言い換えれば、実績とは関係なく調子がいい選手を選ばざるを得なかった時のほうが成績がいいということ。南アフリカW杯を前に、岡田武史監督がそれまでチームの中心だった中村俊輔を外した時はまさにそうでした。
杉山 説明が難しいのですが、その新鮮さが新たなエネルギーを生むのです。
浅田 もちろん、あの時の本田圭佑や前回大会の乾貴士のような選手が今シーズン、出てくるという保証もないですが、瞬間風速的にとてつもないパワーを発揮する選手を生かさないと、実力的に劣る日本がまともにやっても勝てません。
杉山 ただ今回の日本代表は、これまでにないほど、メンバーに実力差がほとんどないと思います。E−1選手権は国内組だったとはいえ、直後に橋本拳人がスペインに行ったように、いつ欧州に行ってもおかしくない欧州組予備軍のようなもの。10段階で8の選手はいなくても、6、7の選手はいくらでもいる感じです。つまり、絶対に代表に入らなくてはいけない選手は実は少なくて、せっかく枠が26人に増えたのだから、その分、上がり馬的な選手、藤田譲瑠チマのような20歳そこそこの若い選手を積極的に抜擢したほうがいいと思います。
浅田 難しいのは、本番までのテストマッチが非常に少ないので、選手を入れ替える根拠を見つけにくいことです。たとえば、E−1選手権の韓国戦で見られた、コンビネーションでサイドを崩すようなプレーは、海外組では難しいと思うんです。その点だけに関して言えば、国内のメンバーのほうがよかったとも言える。
ではW杯のスタメンに横浜F・マリノスの選手が5人まとめて入るかと言ったら、そんなことはあり得ない。では、ひとりかふたりピックアップするにしても、今度は個で海外組を上回るだけの選手がいるかと考えると、入れ替えにくくなる。そもそもE−1選手権が参考材料になっているのかどうかさえ、わからないところがあります。
(つづく)