[8.10 ルヴァン杯準々決勝第2戦 川崎F 2-2 C大阪 等々力]

 セレッソ大阪は0-2でリードされたまま90分が経過。しかしそこから2得点を奪い、2-2のドロー。アウェーゴール差で2年連続のルヴァン杯4強入りを決めた。小菊昭雄監督不在のチームを指揮したのは高橋大輔コーチ。「かっこいい形ではないですけど、気持ちで2点とも押し込んでくれた」と選手たちを称えた。

 前半終了間際、そして後半開始序盤に2失点を喫し、0-2で追いかける展開となったC大阪。しかし、ハーフタイムにFW加藤陸次樹を、後半16分にFW山田寛人、FWジェアン・パトリッキ、FW北野颯太を投入。同23分にはMF中原輝を出場させ、前線を交代選手たちが奔走した。

 すると、後半45分から猛反撃。左サイドのDF山中亮輔のクロスを、加藤が頭で合わせ、1-2と点差を縮める。そして後半アディショナルタイム6分過ぎ、今度は右サイドの中原がクロス。ファーサイドのPA左からDF西尾隆矢が体を投げ出して折り返すと、ワンバウンドしたボールを山田がヘディングシュート。2-2で追いつき、2試合合計も3-3のドロー。アウェーゴール差でベスト4進出を決めた。

 先週、新型コロナウイルス検査で陽性判定が出た小菊監督を欠く中、高橋コーチがチームを指揮。試合中は常に声をかけており、2点ビハインドで下を向く選手たちを鼓舞し続けた。「頭も体もフリーズしてしまう選手がいた。一手、二手、三手先をいけるような、こちら側の湧き出るところが必要だと感じながら、アプローチしました」。指揮官不在の中で、見事に代役を果たした。

 代行指揮官は勝因を「単純に諦めなかったことがすべて」とまとめる。ただ、それは勝手に備わったものではないという。「そういった心持ちを小菊監督が常に選手に植え付けていきました」(高橋コーチ)。不在の指揮官は日ごろから先発メンバーだけではなく、バックアップメンバー、すべての選手たちにアプローチを続け、チーム一丸で戦い続ける粘りのメンタリティを育ててきた。

 加藤は去年との一番の違いについて「日々の練習からコミュニケーションを取る」ことと語る。それは選手同士はもちろん、スタッフとの間でも。「本気でぶつかり合って喧嘩になることも日々ありました。そういうところが、去年よりは近い関係で監督やスタッフとやれている。そこが日々の練習の成果で試合に出ている。いま勝っている要因かなと思います」。好調の攻撃陣の中では出番が来ないときもある。加藤は「どういう姿勢で練習に臨むべきか、今シーズンは鍛えられた。そこは成長させてもらっている」と忍耐力の成長を実感していた。

 諦めない心が顕著に現れた場面を、高橋コーチは語る。終了間際、CBコンビ2人が守備を捨てて前線に上がっていた。「鳥海(晃司)は『僕が行きます』と。行ってこいと。西尾は勝手に行っていました(笑)」。しかし山田が決めた同点ゴールは、行動を起こした西尾のアシストによるもの。「それだけなんとか結果を勝ち取りたかったんだと思います」。得点直後、西尾はひざまづきながら何度も力強くガッツポーズ。指揮官が植え付けたものが見事に花開いた瞬間だった。

(取材・文 石川祐介)