骨までかじれる“究極の半身揚げ”とは? | 食楽web

 筆者は日本唐揚協会認定カラアゲニストなので、鶏のからあげをよく食べるのですが、実は丸鶏の素揚げ・半身揚げも大好き。そして筆者の経験上、素揚げ・半身揚げを“名物”とか“一番人気”とメニューに記載しているお店にハズレはありません。

 理由としては、単純に素揚げは揚げるのが難しいから。複数の部位があり、骨付きで火入れの加減が難しい丸鶏や半身を、衣を付けずに揚げる…これは普通のからあげに比べ、相当な技術が必要。“名物”とうたうのは、そのお店の自信の表れでもある気がしています。

 だから最近は、鶏の素揚げや半身揚げを看板メニューにしているお店の開拓も日々の楽しみのひとつ。発見すると、「お! こんなところに半身揚げの店が!」と、ついつい入店してしまうのが、ここ最近の筆者のクセになっています。

京王線・府中駅南口から徒歩5分ほどの場所にある『DEN’s酒店 鶴亀』

 東京・府中市にある『DEN’s酒店 鶴亀』も、そうして見つけた半身揚げを名物とする名店の一つです。こちらで味わうべきは「半身鶏のカラアゲ~圧力フライ仕上げ~」(1408円)。圧力フライとはプレッシャーフライヤー(圧力フライヤー)のこと。肉の水分や風味、旨みを逃さずジューシーに揚げられるのが特徴。というわけで、一体どんな素揚げなのか、その美味しさの秘密をご紹介していきましょう。

骨までかじれる柔らかさと塩の絶妙な風味がたまらない!

スタッフの「ゴンさん」こと大木さんが半身揚げとザク切りキャベツを運んできてくれました

 待つこと15分ほど。待ちに待った半身揚げが登場しました。お皿に盛り付けられた状態で出てくるかと思いきや、スタッフさんがザク切りキャベツと一緒にバットで運んできてくれます。解体用にハサミとトングが用意されていて、この大きなバットの上で解体できるようになっているわけですね。こういうスタイル、楽しくて好きです。

皿にザク切りキャベツを敷いて、そこに半身揚げをのせて準備完了。ちなみに揚げ時間は15分ほど。半身揚げは20~30分かかるお店も多いので、圧力フライヤーは揚げ時間の短縮にも寄与しているわけですね

 まずはザク切りキャベツをお皿に敷きつめ、そこに半身揚げをのせます。「こうすることで半身揚げの味がキャベツにも移るので美味しく召し上がっていただけます」とスタッフさん。

 さっそくいただきましょう。まずはセオリーに従ってあっさりしたムネ肉から。表面がカリッと香ばしく仕上がっています。ひと口目から肉の旨みがグングン迫ってくる、ほっくりとした味わい。ムネ肉の美味しさが十二分に表れています。圧力フライ仕上げということもあってか、小さな骨までバリバリと食べられるのもスゴい!

解体後の半身揚げ。セオリー通りムネ肉からいただきます

 店長の梅澤秀一さんによれば、お店ではスタッフさんが全国各地で美味しいものを食べ歩き、それを研究してメニュー化することも多いそうで、この半身揚げも北海道の名店の味に魅せられたのがきっかけで生まれたとのこと。美味しいものが好きな人が作るものはやっぱり美味しいです。

 鶏肉はブライン液(水+塩+砂糖)に漬け込んで肉をやわらかくジューシーにし、その後に“干す”工程も加えているそう。「冷蔵庫でしばらく寝かせることで、揚げた時に表面がカリッとした食感に仕上がるんです」と梅澤店長。まだムネ肉だけを食べた段階でしたが、その効果が実によくわかりました。

骨つきモモ肉(ドラム)は旨みも強く、肉汁も豊富

 続いてモモ肉。閉じ込められた肉汁が表面の皮にジワッと染み込んで“カリしっとり”した食感になっていて、これまたウマい! 香ばしさの中に肉の旨みがしっかり感じられ、この皮だけでも満足できそうです。骨付き部分は、より旨みが強く、肉の“骨ばなれ”も良好。肉汁たっぷりの肉がホロリとはがれ、舌の上で滑っていくよう。これも圧力フライヤー、ブライン液、そして乾燥工程のなせるワザなのでしょう。

手羽先はかなり肉厚で食べごたえあり!

 下味のブライン液を除けば、味付けは塩のみですが、その塩梅が実に素晴らしい。肉の旨みを邪魔しない存在感。なのに時々、口の中に塩の風味が瞬間的に現われては消えていく、刹那的な味の盛り上がり。これがドキリとしてしまうほどの美味しさで、それをまた味わいたくてひたすら肉にかぶりついてしまうのでした。

最後に残ったザク切りキャベツには鶏の旨みが染み渡り、これまた絶品!

 完食後はザク切りキャベツをいただきます。キャベツの甘みに半身揚げの塩味がほんのりと移って、これまた美味中の美味。おつまみにもいけそうです。

●SHOP INFO

店名:DEN’s酒店 鶴亀

住:東京都府中市宮西町2-3-3 矢島ビル2F
TEL:042-316-3300
営:17:00~23:30
休:年末年始

●著者プロフィール

松本壮平
ライター・編集者。一般社団法人日本唐揚協会認定カラアゲニスト。生まれも育ちも「からあげの聖地」である大分県中津市。美味しいからあげを求めて東奔西走する「から活=からあげ探索活動」に明け暮れている。