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七谷川沿いの桜並木(京都府亀岡市)

いつか卒業式のころに咲いたり、入学式を過ぎても咲かなくなったりするかもしれないのか…。

英気象庁と大阪公立大の青野靖之准教授が行った研究結果によると、温暖化の影響で京都の桜の満開時期が早まっているそうです。

早まる桜の開花時期

Environmental Research Lettersに掲載された研究ではコンピュータモデルを用いて、1881年以降の京都市における3月の日平均気温と桜の満開日の実測データと、気候変動がなかった場合の満開日を比較しました。その結果、京都市の桜は温暖化の影響によって11日早く満開を迎えていたことが判明しました。わかりやすい例が実際に去年起こっているんですよね。2021年、京都の桜は過去1200年で最も早く満開になりました。

グラフは、1881年以降の満開日(年初から何日目か)と3月の平均気温を比較したものです。ばらつきはありますが、傾向として気温上昇に伴って桜の満開時期が早まっていますね。

温暖化が進むとどうなるのかというと、2100年までにさらに6日早くなってしまうそう。産業革命前と比較すると17日。1990年頃からでも1週間くらい早まっています。入学式の頃には葉桜になっちゃう可能性もあるのか…。

ヒートアイランド現象の影響も

研究チームは、温暖化だけじゃなく、ヒートアイランド現象による都市部の気温上昇の影響もあわせて調べるために、京都市の隣に位置する自然豊かな亀岡市のデータと比較しています。

このグラフは京都市(赤)と亀岡市(青)の満開日がどれくらい早くなったか(縦軸)を比較したものですが、亀岡市は京都市よりも満開日の早まる時期も遅く、ペースも微妙に遅いようです。この結果から、温暖化とヒートアイランド現象が桜の満開時期に与える影響は半々ぐらいということがわかります。また、このことは温室効果ガス排出量を削減して気温上昇を遅らせれば、桜の満開時期が早くなるペースをスローダウンできることを示しているといえますね。

満開時期が早まる場所と遅くなる場所がある

今回の研究結果は京都市と亀岡市の桜の満開日と気温上昇の関係について調べていますが、日本の他の地域ではどうなっちゃうのか気になるところです。

桜の開花時期は、秋に休眠状態に入った桜が冬の寒さによって目覚める「休眠打破」が起こる時期と、冬の気温に左右されます。基本的に冬から初春にかけての平均気温が上昇すれば、桜の開花時期は早まります。でも、冷え込む日がなければ休眠打破が遅れるため、開花時期も遅くなってしまいます。

これらを踏まえて桜の開花時期をコンピュータモデルで分析した研究では、冬の気温が高く休眠打破が遅れる地域では開花時期が遅くなる一方、寒冷地では大幅に開花が早くなり、中間の地域では開花時期に変化があまり見られないという結果が出ています。また、開花しても満開にならないケースや、開花しないケースもあったそうです。

温暖化が進めば、開花しない地域が北上したり、開花しない年が出て来たりしそうですね。そんな日が来ないことを願いますが、亀岡市では桜が咲いているのに、京都市では咲いていないなんてことが起こるようになるかもしれません。

余談ですが、亀岡市は明智光秀の領地だったことで有名な、自然豊かな、えっと、田舎です。訳者の出身地ということもあって、この研究結果には興味津々で。亀岡のさらに山奥で子ども時代を過ごしましたが、入学シーズンには校庭を覆うほど桜の花びらが舞っていました。光秀が築城した亀山城跡地の桜も、高校の通学時に毎日見ていました。あの桜が新学期に咲かなくなったり、まったく咲かない年が出てきたりしたら、かなり悲しいです…。

京都で桜がこんなに早く咲くのは実に1200年ぶりのこと

Reference: Christidis et. al 2022 / Environmental Research Letters, Met Office, 毎日新聞, Twitter(1,2), Maruoka & Itoh 2009