マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界

第八十五回 京都の名店「新福菜館」のラーメンとヤキメシを再現したカップ麺&カップライス

文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。

「ご当地カップ麺」連載の第八十五回目となる今回は、日清食品から「あの有名店のラーメンライス定食」と題して発売された、京都ラーメンの名店「新福菜館」の真っ黒な醤油ラーメンとヤキメシを再現したカップ麺&カップライスをレビューします。

「新福菜館」は、1938年に開かれた屋台が発祥で、1945年に店舗での営業を始めた京都ラーメンの名店です。

セット注文が基本中の基本!?

日本有数のラーメン激戦区・京都の中でも老舗中の老舗で、京都ラーメンのルーツとも言われる「新福菜館」。

のれん分けの形で京都・大阪・東京などに同じ名前の店がありますが、京都・高倉跨線橋(通称たかばし)の店舗が本店。

名物は、真っ黒な醤油色スープの「中華そば」です。

そして同じく真っ黒な醤油を使った「ヤキメシ」も有名で、セットで注文する場合が多いようです。

本店ではなくのれん分け店でしたが、筆者もラーメンとヤキメシをセットで美味しくいただきました。

そんなセットをインスタント食品化してしまったのが今回の商品。

「あの有名店のラーメンライス定食」という言葉を冠し、「中華そば」をカップ麺で、「ヤキメシ」をカップライスで再現。いずれも日清食品製です。

ラーメンとヤキメシどちらも有名な「新福菜館」ならではの2品であり、なおかつカップ麺とカップライスを両方製造している日清食品だからこそ実現した商品と言えるでしょう。

なお、中華そばは以前にセブン-イレブンPBの「セブンプレミアム」でもカップ麺化されたことがありますが、当時は日清食品ではなく明星食品が製造していました。

カップライスで「ヤキメシ」って...できるの?

カップ麺にはやや細めのノンフライ麺と、3つの別添袋が入っています。

うち2つは「焼豚」と「かやく」で、組み合わせはシンプル。大きな乾燥チャーシューと大量のネギが入っています。

カップライスには、角切りのチャーシューやたまご、ネギが混ざったパフライスと別添袋1つが入っています。

日清食品のカップライスと言えば、「カレーメシ」や「カップヌードルぶっこみ飯」、「謎肉丼」などがありますが、まさかこのパフライスが「ヤキメシ」風になってしまうとは驚きですよね。

......いや、本当に「ヤキメシ」風になるのかどうか、まだわかりませんが。

新福菜館といえば「真っ黒スープ」。カップ麺ではどうなる

まずは、お店の看板メニューである「中華そば」が再現されている、「あの有名店のラーメンライス定食 新福菜館本店 京都濃厚醤油ラーメン」。

6月からのカップ麺値上げの影響もあってか、定価は税別308円。300円超えの高級カップ麺となっています。

醤油で黒いスープに、細めのノンフライ麺と、チャーシューやネギを合わせています。

スープは鶏と豚がベースの醤油味で、お店のスープほどではないものの、じゅうぶん真っ黒です。

これだけ黒いと塩辛いスープを想像してしまいますが、色のイメージほど塩気が強くないのはお店と共通。濃口醤油の強めの香りの中に、ほのかな甘みも感じさせます。

お店のスープではチャーシューだれが使われているそうですが、スープから感じられる甘みはそれに通じるものがありました。

厚みのある乾燥チャーシューが嬉しい!

お店のスープはベースの鶏ガラが目立っている印象ですが、カップ麺のスープは鶏ガラよりも鶏油が強く、鶏油ならではのまったりした甘みが際立って感じられます。

色味も含めてお店よりもマイルドなスープで、甘みを際立たせることでよりわかりやすいおいしさを追求しているように映りました。

具として入っているのは乾燥チャーシュー1枚とネギのシンプルな組み合わせ。

日清食品の高額商品で用いられる乾燥チャーシューはすごくおいしいのですが、に、年々小さくなっていっているのが残念なところでした。

しかし、今回のチャーシューは大きく、厚みがあって食べ応えがあります。

「カップやきそば」だって焼いてない。炒めない「チャーハンも」無問題!?

続いては、お店の「ヤキメシ」が再現されている「あの有名店のラーメンライス定食 新福菜館本店 醤油ヤキメシ味」。

湯戻し調理するパフライスで「ヤキメシ」を再現するのは難しそうですが、よくよく考えるとカップ焼そばも焼かずに湯戻し調理。焼かない焼そばがあるなら、焼かないチャーハンも問題ありませんよね。

お店では、ラーメンを注文するのはもちろんですが、ほとんどの人が「ヤキメシ」も一緒に注文しています。

中には、ラーメンを小サイズにしてでも「ヤキメシ」を食べようとする人も多く、半分くらいの人がラーメンを汁物代わりにして「ヤキメシ」を食べに来ているのではないかと思うレベルです。

お湯を入れた結果、完成したのはだいぶ水分多めの雑炊タイプのごはん。チャーハンとは程遠い形状ですが、パフライスにお湯を入れた段階から、炒めたようなラードの香ばしい風味が漂います。

見た目はまったく違うのにチャーハンらしい香りなので、ちょっと不思議な感覚です。

「中華そば」より硬派な「ヤキメシ」

味は豚骨をベースに豚脂を強く効かせた醤油味。お店ではラーメンとチャーハンで同じ醤油だれが用いられているとのことですが、先ほどのカップ麺は鶏油が強いまったり系だったのに対し、こちらはラードが強く、豚主体のチャーハンらしい味わいとなっています。

醤油味も強めで、ラーメンより硬派な印象。

同じ黒っぽい色合いでも、ラーメンとライスでは方向性が異なっていました。

時間経過とともにライスが水分を吸っていき、だんだん汁気がなくなってきますが、水分は残るので、パラパラのチャーハンのようにはなりません。

味はしっかり「ヤキメシ」を再現していますが、形状を寄せるつもりはあまりないようです。

同じ日清のごはんでも、謎肉がたっぷり入った「謎肉丼」の方が、形状だけなら水分が少なくてチャーハンらしいように思います。

具として入っている炙りコロチャーシューは、これまでも日清食品のカップ麺でよく使われてきましたが、まるでチャーハンのために生まれてきたような存在のように感じるほど。たまごやネギとともに「ヤキメシ」の再現性を高めていました。

「あの有名店のラーメンライス定食」の今後の展開に期待

京都の名店・新福菜館の「中華そば」と「ヤキメシ」を再現した「あの有名店のラーメンライス定食」2品。どちらも黒い色味ながら、鶏油でやわらかい味のラーメンと、硬派な香ばしさのごはんで、違う味を楽しめました。

見た目チャーハンじゃないのに味はチャーハンの「ヤキメシ」が特に面白い存在です。

「あの有名店のラーメンライス定食」が今後シリーズ化されるには、ラーメンとごはんメニューのどちらも名物になっている有名店を探さなければならないのでハードルが高そうですが、今後の展開に期待したいです。