GoogleはGoogleアカウントにログインしているモバイルデバイスを持って訪れた場所を、ロケーション履歴として保存します。これはGoogleマップを使用している際の位置情報だけでなく、スマートフォンを持って訪れた場所の情報も記録してしまうという問題があります。これを受け、Googleは中絶クリニックやドメスティックバイオレンス(DV)シェルター、減量クリニックなどのプライバシー性の高い場所への訪問情報を、今後数週間でユーザーのロケーション履歴から自動的に削除するよう仕様を変更すると発表しました。

Protecting people’s privacy on health topics

https://blog.google/technology/safety-security/protecting-peoples-privacy-on-health-topics/

Google will auto-delete abortion clinic visits from user location history - The Verge

https://www.theverge.com/2022/7/1/23191965/google-abortion-privacy-policy-location-history-period-tracking-deletion

2022年7月1日(金)、Googleのコアシステムおよびエクスペリエンス関連ヴァイスプレジデントであるジェン・フィッツパトリック氏が、ユーザーのプライバシーおよびデータを保護するための複数のアップデートを発表しました。

・ロケーション履歴

ロケーション履歴はデフォルトではオフになっているGoogleアカウントの設定です。これをオンにしてロケーション履歴を有効にした場合であっても、自動削除などのシンプルな情報管理機能が提供されるため、ユーザーはデータの一部あるいはすべてをいつでも簡単に削除することが可能です。また、カウンセリングセンターやDVシェルター、中絶クリニック、不妊治療センター、依存症治療施設、減量クリニック、美容外科クリニックなどのプライバシー性が高い場所への訪問情報について、これまでは特に具体的な施策は取っていなかったものの、今後数週間で「ロケーション履歴からこれらの場所に関する情報を即座に削除するよう仕様を変更する」とGoogleは発表しています。

・アプリのユーザーデータ

Google Playにはユーザーのプライバシーを保護するための厳格なプロトコルが存在しています。これには「開発者が個人の機密性の高いユーザーデータを販売することを禁止する」というポリシーや、「アプリの操作に直接関連する目的でのみデータを安全に処理することができる」という要件が含まれています。ユーザーの透明性と制御をさらに促進するため、開発者がアプリによるデータの収集・共有・保護に関する詳細情報を提供できるように、Google Playに新しくデータ安全セクションを導入しています。さらに、Google FitやFitbitの場合、いつでも個人情報を変更および削除するためのオプションを含む、個人情報に簡単にアクセス・制御するための設定およびツールをユーザーに提供するとしています。例えば、アプリで月経周期を追跡することを選択したFitbitユーザーは、月経ログを一度にひとつずつ削除できるようになります。また、ユーザーが一度に複数のログを削除できるようにするアップデートを展開する予定だとフィッツパトリック氏は語っています。

・ユーザーデータに対する法執行機関の要求

Googleは法執行機関からの過度で広範なデータ提供の要求を厳格に退けてきた実績があります。Googleは自社製品を使用する人々のプライバシーおよびセキュリティへの期待を考慮し、政府からの要求に応じる場合は、禁止されているケースに対応する際や緊急事態などの生命の危機に関する場合を除き、ユーザーに通知を行うとしています。実際、Googleは透明性レポートの中で「政府から受け取ったデータ提供要求の件数と種類を共有」した最初の大手企業であると主張しています。加えて、フィッツパトリック氏は「データ提供に関する政府からの不適切な要求からユーザーを守ることに引き続き取り組んでおり、過度に広範であったり法的に好ましくない要求については、引き続き提供を反対していく」としています。さらに、アメリカの下院で最近可決されたNDO公正法などの超党派の法律をサポートし、政府のデータ要求に関する秘密を減らし、透明性を高めていくとしました。

海外メディアのThe Vergeは今回のGoogleによるプライバシー関連のアップデートについて、「これはロー対ウェイド判決を覆したアメリカ最高裁判所による判決および、これに伴う一部の州での中絶を非合法化するための試みの結果として起こったものと思われます」と記しています。

また、The Vergeは「これらのプライバシーアップデートはケアを求める人々を起訴するために使用される可能性のあるGoogleのサーバー上にあるデータを削除することを目的としたものですが、Googleは依然としてユーザーの活動に関する多くのデータを保有しています。検索とYouTubeの履歴も調査の証拠として使用できますが、Googleの投稿ではそれらについては何も言及されていません」とも記しています。