ただ偽9番にも難しさはあり、純粋な9番がいないため引かれた際に苦労する傾向にある。昨季でいえば後半戦のトッテナム戦がそうだ。ボール支配率は71%とまで上がったが、5バックで引く相手を崩せず、2-3で敗れている。そうなった際は個人の打開力に依存することになり、より攻撃力のある人物にボールが渡ることになる。シティではケビン・デ・ブライネがその人物に該当する。
ヴォルフスブルクからやってきたベルギー代表のチャンスメイカーは19-20シーズンに20アシストを記録するなどアシスト数の多さが目立つ選手だが、偽9番を本格的に導入した昨季は15ゴール8アシストと自らがゴールを決める側に回っている。
だが、来季は再びアシスト数が増加するかもしれない。アーリング・ハーランドの加入だ。194cmの長身を持つノルウェー代表のストライカーで、セルヒオ・アグエロ以来となる純粋な9番だ。前所属のボルシア・ドルトムントでは87試合で83ゴールを決める驚異の得点力を披露しており、彼がチームに加わることで偽9番時代は幕を閉じることになる。
英『THE SPORTSMAN』では28日で31歳となったデ・ブライネの来季はキャリアの中で最高の年になると予想している。実際にデ・ブライネとハーランドは欧州最高のチャンスメイカーと欧州最高のストライカーのコンビであり、攻撃力が上がるのは間違いない。とくにデ・ブライネの大外からのクロスは偽9番時代にそれほど生かされていなかったが、ハーランドの加入で大きく変わるはずだ。念願のCL制覇も達成できる可能性はあり、シティの22-23シーズンに期待したい。