アマゾン配送センター(写真:ロイター/アフロ)

 米アマゾン・ドット・コムは会員向けの大型セール「プライムデー」を2022年7月12〜13日に開催する。広報担当者は「様々なブランドの製品をこれまでで最も安い価格で提供する」と意気込みを示している。資源高などを背景に商品価格の上昇が続く中、負担が増している家計への支援をアピールしたい考えだ。

[JBpressの今日の記事(トップページ)へ]

顧客の平均注文金額が減少

 だが、プライムデーの売り上げの伸びはこの数年鈍化しており、かつてのような勢いはなくなったと指摘されている。米ウォール・ストリート・ジャーナルが引用した米調査会社ニューメレーターのデータによると、21年のプライムデーにおける平均注文金額は54.15ドル(約7300円)で、19年の58.77ドル(約7900円)から減少した。21年の商品1点当たり支出額は30.83ドル(約4160円)で、19年の33.88ドル(約4570円)から減少している。

 米調査会社インサイダー・インテリジェンスによると、今年の米国におけるプライムデーの売り上げは前年比17%増の77億6000万ドル(約1兆500億円)となる見通し。かつては同約65%の伸びを示したこともあった米国売上高はここに来て減速しているという。

プライムデーの値引率、普段と変わらず

 プライムデーは、売り上げが減少する夏場の販売促進策として15年に初めて開催した。19年までは毎年7月に実施していたが、20年は新型コロナの影響で物流網が逼迫したことから10月に開催した。また、21年は6月に前倒しし、米国や日本、英国など約20カ国・地域で実施した。

 22年は、米国や日本のほか、初開催のポーランドとスウェーデンを含む約20カ国で実施する。夏後半にはインドやアラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビアなどでも実施するとしている。

 このセールでは毎年、人工知能(AI)「Alexa(アレクサ)」の機能を搭載したスマートスピーカーや動画配信端末「Fire TV」などの自社製電子機器を大幅値引きしている。だが、アマゾンがこのイベントに投じる費用はかつてのような規模ではなくなってきたとウォール・ストリート・ジャーナルは指摘する。全体的な割引率を見ると、プライムデーは特段買い得とは言えない状況になっているという。

 ネット小売りサービスを提供する米コマースIQによると、電子機器を除き、多くの商品の割引率はプライムデー以外での割引率を上回っていない。

 例えば、プライムデーにおける電子機器以外の商品の割引率は30%前後。普段のアマゾン電子商取引(EC)サイトでの割引率とさほど変わらないという。

アマゾンの成長鈍化とプライムデー

 プライムデーにおける売り上げの伸び鈍化は、同社事業全体の成長鈍化を反映すると、ウォール・ストリート・ジャーナルは指摘している。

 アマゾンの22年1〜3月期決算は、売上高が前年同期比同7%増の1164億4400万ドル(約15兆7300億円)だった。

 1〜3月期として過去最高を更新したものの、伸び率は10年間で最も低い水準。直営EC事業の売上高は511億2900万ドル(約6兆9100億円)と同3%減少した。また、純損益は38億4400万ドル(約5200億円)の赤字。15年1〜3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落した。

 こうした中で、アンディ・ジャシーCEO(最高経営責任者)は現在、新型コロナ禍のEC需要増大に伴い拡大してきた経営資源を削減するべく、対策を講じている。少なくとも1000万平方フィート(約92万9000平方メートル、東京ドーム約20個分)の倉庫スペースをサブリース業者を通じて賃貸しするほか、新たな施設の建設も一時中止する。数十の実店舗を閉鎖し、新規採用も抑制する。

 (参考・関連記事)「アマゾンCEO就任1年、余剰資源の削減に奔走中 | JDIR」

筆者:小久保 重信