郡司は得点に加え攻撃の起点にもなりチームをインターハイ出場に導いた。写真:安藤隆人

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 最初に見た時、「あ、似ている」と思った。直近のプレーを見ると「かなり似ている」と思った。市立船橋の10番を背負う2年生エース・郡司璃来を見れば見るほど、同じ市船の先輩であり、10番を背負っていた鈴木唯人に重なる時がある。

 鈴木といえば、今、最も注目を集めている若手と言っていいだろう。清水エスパルスではルーキーイヤーから出番を掴むと、プロ3年目の今季は不動のFWとなり、ここまで3ゴール・2アシストをマーク。今月にウズベキスタンで行なわれたU-23アジアカップでも4試合にスタメン出場を果たし、チームトップの3ゴールをマークするなど躍進を見せている。

 鈴木は生粋のストライカーでもなければ、ゲームメーカーでもない。高校時代から適正ポジションが分からないというより、どこで起用しても高いレベルでやれてしまう選手だった。

 プロに入ってからはそのレベルがさらに上がり、FWでもトップ下でも左右のサイドでもすぐに戦術に適応し、質の高いドリブルとパス、フィニッシュワークを繰り出す。だからこそ、チームでも代表でも“いてほしい”場所にいて、ハイレベルなパフォーマンスを見せる。
 
 かたや郡司も両足を難なく使いこなし、時には最前線でストライカーとしてゴールに迫る一方で、中盤に落ちてボールを受けてはテンポよく捌いて、三人目の動きでスペースを作ったり、リターンパスをもらってフィニッシュワークに関わる。サイドに流れてもタメを作って攻撃の起点となることもできるし、突破からのクロスでチャンスメイクすることもできる。どのポジションでもハイレベルなパフォーマンスを見せられる選手だ。

 インターハイ千葉県予選では準々決勝の中央学院戦で2ゴールを叩き出すと、準決勝の習志野戦では鮮やかな抜け出しからのチップキックで決勝弾をマーク。日体柏との決勝戦では鋭いカットインからの左足シュートを突き刺して先制点を叩き出した。

 ゴールシーン以外でも攻撃の起点としてFW青垣翔や右MF渡邉慎和ムセマら個性的なアタッカーの攻撃力を引き出すなど、常にボールに関わり続けてチームを3大会ぶり29回目のインターハイ出場に導いた。
 
 予選決勝戦後、鈴木に似ていることを郡司に伝えると、彼は照れ笑いを浮かべながらこう答えた。

「特に似せているわけではないのですが、ドリブルのスタイルとかボールに関わるという部分では似ているとみんなからよく言われます」

 やはりというべきか、筆者以外でも多くの人が郡司のプレーを見て鈴木を彷彿させているのだ。そんな鈴木を郡司はこう評している。

「唯人さんは市船の時からずっとテレビで見ていました。当時から唯人さんはもうピッチのどこにでもいますし、ボールにずっと関わっているという印象でした。今もそれは変わらないのですが、そこにずば抜けた得点力がさらに加わって、もう自分で作ることもできるし、リズムを生むこともできるし、フィニッシュもできる。すごく憧れている存在です」
 
 自分が望むべき道を走っている偉大な先輩がいる。その後を追いかけるようにして郡司も真っ直ぐに走り出している。

 もちろん彼が言っているように自分から似せに行っているわけではない。「裏に抜けるタイミングは人一倍いいと思っていますし、ゴールに向かう姿勢は良くなっていると思います。だからこそ、もっとボールに関わって、決定的な仕事ができる選手になりたい」と自分の特長を理解したうえで、さらなる成長を欲している。持てる才能とそれを磨いている過程がたまたま鈴木に似ているだけに過ぎない。

「唯人さんはもう今(活躍が)凄いですよね。そうなるとどうしても比べられることも増えるので、唯人さん以上に活躍して、『市船の10番は僕だ』という印象を残したいと思います」

 ここから、どのようにして郡司璃来という一人のサッカープレーヤーを周りに印象付けていくのか。来月の徳島でのインターハイは、全国に向けた決意表明の場となるだろう。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

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