ロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

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大洋・横浜で活躍した齊藤明雄氏が絶賛「もう少し日本で見ていたい」

 現役時代は大洋・横浜一筋で活躍した齊藤明雄氏。力強いストレートとカーブで緩急を生かしながら、右腕は抜群の制球力でアウトの山を築いた。通算601試合に登板し、128勝133セーブでNPB史上3人目となる100勝100セーブを記録。1977年には新人王に輝き、抑えに転向した1982年には最優秀救援投手を受賞するなど、球史に深く名を刻んだ。

 横浜やロッテで投手コーチを務め、現在は朝はメジャー、夜はプロ野球の解説を務めるなど、これまで数え切れないほど多くの投手を見てきた。その齊藤氏が「メジャーでも完全試合を投げる絵が想像できる」と絶賛するのが、ロッテの佐々木朗希投手だ。

 メジャーでプレーしてみたい気持ちがある選手たちは「若いうちに行って自分の力を試した方がいいんじゃないかと思います。どんどん行ってくれ」と背中を押す。佐々木朗に関しては「もう少し日本で楽しませてほしいですよね(笑)。一番体もできてきて、脂も乗る25歳くらいかな」と“予想”。4月10日のオリックス戦で達成した完全試合に象徴される今季のピッチングに「同じピッチャーの立場から見ると、メジャーでも完全試合をできると思いますよ」と太鼓判を押す。

「メジャーに行くとストライクゾーンとの相性もありますが、コントロールにばらつきがあるピッチャーでもないし、160キロの真っ直ぐに加えてフォークもありますから大丈夫だと思いますよ。165キロくらいの真っ直ぐを投げて、メジャーの強打者が脱帽、ということになるでしょう(笑)」

育成した吉井理人氏に共感「楽しみではあるけど一番荷が重い(笑)」

 佐々木の場合、2020年にロッテ入団後、吉井理人投手コーチ(現ピッチングコーディネーター)の指導を受けながら、1年を掛けてじっくり体力作りに励んだ。齊藤氏は「メジャーを見ても、ドラフト1位は必ずマイナーで鍛えさせて、1年目の終わりくらいに球数制限を設けて上で投げる形。1年目は最高でも1試合40-50球くらいですよね。ストラスバーグ(ナショナルズ)もそうでした」と育成法を評価する。

「日本では『期待のルーキー』として即戦力で使って失敗することが多いけど、ロッテは吉井さんがメジャー流でちゃんと育てた。コーチの立場から言うと、ああいう選手を預かるのは楽しみではあるけど一番荷が重い(笑)。日本の財産、野球界の財産ですから、壊すわけにはいきません。吉井さんにも『大変だな』と声を掛けたら『はい、壊したらエラいことになります』と言ってましたよ(笑)。

 それでも『早く使え』という声も聞こえる中、よくしっかり育てました。1年目にブルペンで投げる姿を見ましたが、すごい球を投げる。ただ、体の線が細くて筋量がスピードについてきていないし、スタミナも持たない印象でした。球数を制限しながら徐々に育てて、やっと3年目で能力に耐えられる体の準備ができたのかなと思います」

 3年目の20歳。まだまだ成長の過程にあるからこそ、齊藤氏が寄せる期待も大きく膨らむ。

「メジャーで圧倒する姿も見たいけど、日本でもう少し見ていたいですよね。これから完全試合を何試合くらいやってくれるのか。1年に1回ペースもあるんじゃないかと思いますよ(笑)」

 子どもたちに夢を与えるだけではなく、百戦錬磨の大先輩さえもワクワクさせてしまう。それもまた、佐々木朗を類い稀なる存在とする1つの魅力なのかもしれない。(佐藤直子 / Naoko Sato)