最上級のサービスを提供する高級ブティックや一流ホテルで、「特別扱い」を受けるにはどうすればいいのか。元シャネル販売員でマナー講師の朝倉みや子さんは「特別扱いを受けるには、3つの基準を満たすことだ」という――。

※本稿は、朝倉みや子『女性は「透明感」で人生が変わる 「実力以上」に見られる「クラス感」のつくりかた』(WAVE出版)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/Rixipix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Rixipix

■なぜ、高価な物を身につけずに大切な顧客だと思われるのか

以前ハワイに旅行したとき、某高級ブランドで特別な対応を受けたことがあります。

買いたいと思っていた財布を見ているうちに、対応してくれたお店の方と話がどんどん弾み、ほかにもいろいろな品物を見せてもらったのです。

そして、何気なく、

「そう言えば、○○の◯◯素材のバッグ(とってもレアな品物)はありますか?」

と聞いたところ、

「ありますよ!」

という嬉しい返事。

(え〜〜!)

日本のブティックでは、実際にお目にかかることのない幻の品物なのに!

しかも一見さんの私に、その方はうやうやしくバッグを持ってきてくださって、コーディネートの提案をしたり、店内のほかのアイテムのレア物を紹介してくれたりと、とても丁寧な対応をしてくれたのです。

初めてのお客さまを大切な顧客のように案内して、特別な品物を丁寧に見せてくれる。

──これは海外ではなかなかない話。結局、そのとんでもなくレアなバッグは、値段もとんでもなく“素敵”だったため、思わず買いそうになったところを、主人に、

「冷静になるように!」

と、たしなめられ、購入しませんでした。当初の目的の財布も、希望の色がなく、諦めたのです。

それでも、最後に担当してくださったお店の方からは、

「素敵な方に接客できて光栄です。また何かご希望のものがあるときは、ぜひ担当させてください。旅行に合わせてメールをくだされば、商品の状況も確認できますので」

と言ってもらい、名刺を受け取ることに。

私は、見るからに高価な物は身につけていなかったので、主人からも、

「どうしてあんなふうに顧客扱いをされたの?」

とビックリされました。

■VIP対応の店で「特別」になるための3つの基準

実はこのような「特別対応」については、私が主宰する「RICCA」の生徒さんからも、

「高級ブティックや一流ホテルで、特別扱いされるようになりました」

という声をよく聞きます。

あなたは、世界中のVIPを対応している場所で、「特別なお客さま」になるのには、何が必要だと思いますか?

もちろん、それなりのお金を払えば、そのブランドの会社からは「顧客」と見なされます。でも、お金がすべてを決めるわけではありません。

私もシャネル時代の接遇経験でわかったのですが、お店の人に「こちらのお客さまを大切にしたい」と思われるかどうかは、次の3つの基準で判断されるのです。

?自分を大切にしているお客さまか
身だしなみ、言葉づかい、所作はどうか。

?お店への敬意があるか
店員の方に対して、心地よい対応ができているか。
店内で見せてもらった品物を丁寧に扱えるか。

?まわりの方への配慮があるか
大声で話すなど、周囲の迷惑になっていないか。

ほかにもありますが、とくにこの3つが、際立って重視されているのです。

私も少し背筋を伸ばす場所に行くときは、この3つには気をつけています。せっかく特別な場所に行くのですから、素敵なひとときにしたいですよね。

■「ファストイン スローアウト」で優雅さを身につけよう

「どうしたら所作が優雅に見えますか?」
「どうしたら話し方が綺麗に聞こえるでしょうか?」

とくに人前に立つ仕事をしている方々からは、このような質問をよくもらいます。

白鳥のようにゆっくり優雅に動くと、たしかに綺麗に見えるかもしれません。けれども、忙しく仕事をしていると、いつでも余裕を持ってゆっくりと……とは、なかなかいかないですよね。

私も自分自身が接客に携わっていたのでわかりますが、たしかにゆっくりとした動作や言葉づかいには余裕が感じられ、高級感があるように見えます。

でも、自分がお客さまの立場で急いでいる場合は、

「そんなにゆっくりしていないで、早くお会計してよ〜!」

と思ってしまいますよね。

かと言って、バタバタとせわしなく動いている動作や早口の言葉は、がさつで粗雑なイメージを与えてしまいます。

そこで、普段一生懸命働いているキャリア女性にこそオススメしたいのが、「ファストイン スローアウト」の所作と言葉づかいです。

イラストレーション=和全(Studio Wazen)
出所=『女性は「透明感」で人生が変わる 「実力以上」に見られる「クラス感」のつくりかた』 - イラストレーション=和全(Studio Wazen)

たとえば、「ありがとうございました」と言ったあとの一礼。

通常であれば、頭を下げたあとに、

「1、2、3……」

と数え、頭をゆっくり上げるところを、

「1で頭を下げ、2、3……で頭を上げる」

とするのです。

「動作の最初は速めに、最後はゆっくり」を意識する。それが「ファストイン スローアウト」です。

言葉づかいも、語尾の「……です」「……ですよね」をほんの少しゆっくりにする。それだけで、全体のスピードを遅くしているわけではないのに、とてもエレガントな雰囲気になります。たったこれだけですが、相手に与える印象は変わります。

私の生徒さんで事務職から秘書に抜擢された方も、

「日ごろの丁寧な所作が、秘書向きで素晴らしいですね」

と言われての人事異動だったとのこと。そのように太鼓判を押される彼女の所作は、たしかに安心感と目の前の方への思いやりに溢れる、とても美しいものでした。

私も彼女の所作を見ていて、真の高級感とは、お高く冷たいイメージなのではなく、温かみを感じさせるものなのだと、気づかされました。

■「テキパキしている」と「あわただしく見える」の決定的違い

茶道をたしなむ人は、所作が綺麗と言われますよね。それはなぜだと思いますか?

その秘密は、茶道の所作は非常に合理的で無駄がないことにあります。私の茶道の先生も、

「家元のお点前は無駄な動きがなく、記憶に残らないほど自然なもの」

というお話をよくされていました。

綺麗な所作とは、見ている人がどういう身のこなしだったのかがわからないほど、さりげないものなのですね。

それを私たち女性の場合に照らし合わせて言うと、

・コートを着るときに腕を上げすぎない
・会話が楽しいからと言って身振り手振りを大きくしない
・バッグを持った手の先が、身体の内側にくるようにする

など、日常の小さな所作に気を配るだけでも、エレガントな印象になります。

ファッション誌などを見ていても、同じモデルさんでも着る服によって雰囲気が変わるのは、細かな手足の動きで、フェミニンさやマニッシュさを出しているからだと気づかされます。

また、「テキパキしている女性」と「あわただしく見えてしまう女性」の差は、体の動きに無駄があるかないか。無駄がないから動作が優雅でも、もたもたした感じにならず、効率的に動くことができるのです。

オフィスシーンや取引先との打ち合わせでも、書類を持つときに脇が開かないように腕をしっかりつけて背筋を伸ばすだけで、仕事ができる印象になります。脇が開いていると、文字どおり「脇が甘い」印象になることもあるのですね。

今はZoomなどによる打ち合わせも多いので、別の人が話しているときに、つい油断して手で髪を触る行為にも要注意。髪を触る仕草は、画面を通すと目立ちます。

上半身がぶれないように品よく座っている姿は、人に信頼感を与えます。

写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

■Zoom画面に映る指先さえも、エレガントに

コロナの影響で、これまで対面だったレッスンをオンラインにした起業家は多いですよね。私の生徒さんにも、それを機に売上げを2倍に伸ばした方が何人もいます。彼女たちは、まさに「上半身の印象」を徹底的に磨いていました。

その中に、以前は初対面の方に「怖そう」「ちょっとがさつそう」と見られがちだったと悩んでいた生徒さんがいました。彼女は販促をしようと、お茶会やワンデイセミナーを開いていましたが、なかなかレッスンの申し込みにつながらなかったと言います。

そんな彼女は、コロナ禍によるオンライン化で、初めて講師としての自分の姿を客観的に見たそうです。そこで彼女は、つい手で髪をクルクル巻いたり、猫背のまま早口で話したりしている自分の姿を見て、こう気づいたのです。

朝倉みや子『女性は「透明感」で人生が変わる 「実力以上」に見られる「クラス感」のつくりかた』(WAVE出版)

「これは、私が来てほしいと思っているお客さまが求める講師像ではない!」

そこから彼女は、優しく好印象を持たれる人になろうと、常に背筋を伸ばし、画面に映る指先も、日本舞踊のようにエレガントに動かすことを意識したのです。すると、

「○○さんの所作を見て、参加したいと思いました」

という申し込みが倍増したと言います。

この例でもわかるように、女性の場合はとくに“講師としての姿”が自分のサービスに直結します。綺麗な雰囲気を醸し出す秘訣(ひけつ)は、身体を大きく見せず、無駄がない所作。それがあってこそ、香り立つような品が出るということを、忘れないでいたいですね。

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朝倉 みや子(あさくら・みやこ)
ブランディングディレクター、マナー講師
1982年生まれ。幼少期より、女学校で礼節を教えていた祖母と、裏千家茶道を嗜む母の影響から、所作や立ち居振る舞いに興味を持ち、高校の必修課程にて礼法を学ぶ。大学ではイギリス短期留学を経験後、ボランティア通訳の活動を行う。卒業後はシャネルへ入社し、世界の富裕層が集まる銀座で5000人以上の接客を担当。その後、大手総合商社へ転職し、投資部門等で10年以上秘書を務める。30代前半での妊娠・出産を機に「自分の好きなことを昇華させ、輝く女性を増やしたい」とマナー講師として独立。
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(ブランディングディレクター、マナー講師 朝倉 みや子)