「三菱UFJ 日本株オープン『35』」は、1999年3月の設定以来、この3月で満23年という非常に長いトラックレコードを持っている。我が国の株式を実質的な投資対象とし、企業の成長性に着目して厳選した35銘柄に主に投資を行い、TOPIXを上回る投資成果を目指している。銘柄を絞り込んでいるため、月初に作成しているマンスリーでは、全銘柄を開示し、それぞれに銘柄コメントを掲載するなど透明性の高い情報開示を続けていることも特徴だ。
35銘柄を選択するポイントについて小島氏は、「2016年から21年までの5年間でTOPIXの中で時価総額が増加した上位30銘柄を見ると、この5年間で、TOPIXの時価総額は約160兆円増加しましたが、その8割にあたる約130兆円は、この30銘柄の増加がもたらしていました。
この30銘柄のROE(自己資本利益率)とTOPIXのROEの推移を見ると、TOPIX全体のROEがこの5年間ほぼ横ばいにとどまる中、30銘柄の平均ROEは2016年の11%から、21年は17%と約5割も改善しています。日本でもROEという経営指標が上昇した銘柄は、株価が上がっていることを示しています。
この30銘柄も5年前のROEは今のTOPIXとそんなに変わらないレベルでした。国内株式市場にはこうした30銘柄の予備軍、すなわちダイヤの原石がたくさん埋もれているのではないかと思っています」と語っている。
アメリカでは、「GAFA(グーグル<アルファベット>、アマゾン、フェイスブック<メタ・プラットフォームズ>、アップル)」などの少数銘柄が指数全体を持ち上げることがあったが、目立たないながらも日本も一部の銘柄が市場全体を引っ張る構図となっていたようだ。
さらに、小島氏は、「東証再編の効果も期待でき、この伸びしろのある国内市場から、よりアクティブに有望銘柄を発掘して、インデックス運用にはない、アクティブ運用の醍醐味を受益者の方々に味わっていただくべく、運用チーム全体でさらに踏み込んだボトムアップリサーチを行っていく方針です。
この伸びしろの大きい日本市場の中で、今後の国内外経済を取り巻く大きな潮流は、『脱炭素社会』、『デジタル化』、『人口の高齢化』だと考え、運用チームで集中的にリサーチを行っています。こうした投資テーマの選定に当たりましては、運用チーム内でのディスカッションに加え、月例で、当ファンド運用チーム以外の株式運用チームや、海外株の運用チームとの情報交換会も活用しています」と、同社の国内株式運用チームの幅広い知見を活かしていると強調した。
「脱炭素社会」は、調査会社の調べによると、EV(電気自動車)は現在から2028年にかけて4.7倍に急成長すると予測され、国内のEV関連企業も拡大する需要に対応すべく生産能力を着々と増強し、「今後業績をさらに押し上げるものと考えています」(小島氏)とする。
また、「デジタル化」は、コロナを契機としたリモートワークの普及やデジタル庁の発足などによりハードとソフトの両輪が相乗効果で加速している。そして、「人口の高齢化」は、「がんなど、まだ有効な治療法の確立していない病気の新薬を開発している企業、今後2桁成長が予想されているバイオ医薬品の製造面に強みを有する企業、あとは、美容関連などに注目しています」(小島氏)と楽しみな分野が多いと語った。