◆拡大続く半導体需要、2030年まで年7%成長を期待
朝倉 当ファンドは、2022年2月末基準でのトータルリターンが、過去3年、過去5年、過去10年で全て1位でした。しかも、リターンだけではなく、リスクを加味したシャープレシオも3年、5年、10年、全てで1位という素晴らしい成績でした。この成績の要因や背景を教えてください。
浦山 このファンドの特徴は、世界の半導体関連企業に的を絞った投資を行います。業界の中長期的な成長の恩恵を受けながら、それにプラスして、ボトムアップでの銘柄選択を行って、さらなる超過収益が獲得できるように設計されています。
2021年の運用成績が好調に推移した要因はいくつかあります。まず、昨年から続いている新型コロナウイルスの感染拡大が一巡し、経済活動が正常化する中で半導体需要が回復基調になっています。次に、在宅勤務といった人々の生活様式や仕事様式の変化に伴って、スマートフォンやPCなどの需要が特需的な形で2021年に伸びました。また、年後半には民間企業のIT設備投資の意欲が回復しました。最後に、半導体の新たな需要につながる「メタバース」が現れました。この関連する企業の株価が堅調に推移したことが当ファンドのパフォーマンスにかなり寄与しました。
昨年来より半導体不足が話題になっていますが、これによって半導体各社は値上げを浸透させやすい環境にあったことも半導体企業の業績を押し上げたと思います。そういった環境の中で、実力的な優位性がある銘柄のパフォーマンスが非常に良かったことが、ファンドのパフォーマンスに反映されました。
中長期的には、2014年、15年ぐらいから、半導体利用の裾野が広がってきました。10年前の半導体需要は、スマホ、PCが主体だったのですが、そこから、自動車向け、AI向け、そのデータセンター向けなど、半導体利用のすそ野が広がりました。それによって半導体事業の成長率が上がり、その恩恵を受けてファンドのパフォーマンスも良かったといえます。
朝倉 半導体分野の成長性は今後どのように見ていますか?
浦山 半導体業界の中長期的な成長性に関しては、かなり期待していいと思っています。2021年の半導体売上高は、約5560億ドルという水準ですが、2030年には1兆ドルに到達すると見込まれます。年率換算すると約7%成長になります。
2010年代の成長率は年率4%程度でした。2010年代の中でも半導体の裾野が広がった2015年以降の5年間は、5.3%の成長率となり、少しずつ加速しています。この傾向が20年代にも続くという想定になっていますので、年7%成長は十分に達成可能な水準だと思います。2021年の成長率は、実は24%成長とかなり大きく成長しました。2022年も、半導体不足が続いており2桁成長は可能だろうとみています。