(※写真はイメージです/PIXTA)

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「プライバシーが心配」「日当たりが悪い」などと避けられがちな1階住戸。長期空室回避のため、家賃を下げるオーナーもいますが、むしろ1階住戸ならではの魅力と、それを求める入居者像を知ることが必要です。ここでは、1階住戸が避けられる理由とともに、その裏側ともいえる「知られざる魅力」、そして入居希望者の属性や部屋づくりのアイディア等を紹介します。

アパート&マンションの1階、何かと嫌われがちだが…

多くの不動産店では、賃貸住宅を探しに来店した顧客に希望物件等のアンケートを行っています。そこで必ずと言っていいほどチェックマークが付くのが「2階以上」の項目です。

1階住戸が入居者から避けられる理由は、いろいろな意味で「不安」を感じるという点にあります。

しかし、建物は1階部分があるのは必然。まさか地上から浮かせて建てるわけにはいきません。大規模マンションなら駐車場やエントランスホールなどの共用部にする方法もありますが、中小規模のアパート・マンションではそうはいきません。ましてや土地価格の高い都心立地でそんなデッドスペースはあり得ません。1階にも数多く住戸を配し、しっかり家賃を取らないと大赤字になってしまいます。

1階住戸の「イヤなところ」9つ

そこでまず、なぜ1階住戸が嫌われてしまうのかを考えてみましょう。

●プライバシーが守られない

車や人が往来する道路側にリビングの窓が面していると、常に外部から除かれているような気がして落ち着かないものです。

●騒音が気になる

窓が道路に面していれば、行き交う車のエンジン音や通行人の会話が聞こえてくることもあります。外からばかりでなく、上階の部屋から響く足音も気になります。

●日当たりが悪い

周囲の建物に囲まれた最下階にある1階住戸の日当たりが悪くて当たり前です。外部からの視線を気にして窓のカーテンを閉め切っていれば室内はさらに暗くなり、終日照明を点けて過ごすことになります。

●上階からの落下物に悩まされる

1階住戸の外に庭やテラスがある場合、上階から不意に洗濯物やゴミが落ちてくる場合もあります。上階の住人に悪気はないのかもしれませんが、そういったことが頻繁に起こればストレスが溜まります。

●冬寒く、夏暑い

1階住戸は地面に近いため、冬場は地表から伝わる冷気の影響を受けやすく、日当たりが乏しいことも相まって室内がなかなか暖まりません。一方、夏場は強い日差しで暖められた地熱と熱風にさらされます。

●カビが繁殖しやすい

日差しが届かないことに加え、地面からの湿気も上がりやすい1階住戸はカビの発生に適した環境になってしまっています。

●虫が入りやすい

庭やテラス、または窓辺に花壇や生け垣などがある1階住戸には、植物内に生息するクモやハチ、蚊などの害虫が入り込みやすくなります。

●災害に弱い

大きな地震で建物が崩壊した場合、真っ先に潰れる危険性があるのは1階住戸といわれます。また集中豪雨などで建物が浸水した場合も、最初に被害を受けるのは1階住戸です。

●防犯上の不安がある

外部から見通しが良く手が届きやすい位置にある1階住戸は、空き巣などに狙われる危険性が最も高くなります。

1階住戸のデメリットを解消するため、窓にルーバーを付けたり、曇りガラスを採用している物件もありますが、これでは室内の閉塞感が高まってしまいます。上階からの落下物はタープ等を張ることである程度防げますが、その分日当たりは悪くなります。

夏冬の室温はエアコンで調節可能ですが、季節を問わず電気代がかかってしまいます。空き巣などの犯罪を未然に防ぐためには、ホームセキュリティシステムの導入や、地面に玉砂利を敷く(踏むと足音がするため)などの工夫も必要になってきます。

1階住戸の「いいところ」4つ

何事も、悪い部分を上げ連ねれば際限なく出てくるものです。だからといって良い部分がまったくないわけではありません。1階住戸にもメリットはあります。

●地震の揺れやその後の影響が少ない

地震が発生した際、上層階より低層階の方が揺れは少なくなります。また地震の影響でエレベーターが止まってしまったとしても、1階住戸での生活に大きな影響はありません。

●戸建感覚で暮らせる

庭やテラスがある1階住戸であれば、ガーデニングを楽しんだり、夏は家庭用プールを広げて子どもを遊ばせたり、ペットを走り回らせることもできます。

●騒音クレームを受ける心配がない

階下に部屋がないため、足音などの騒音でクレームを受ける心配がありません。子どもたちが走り回っても、床面に振動が響きやすいフィットネス器具を使っても迷惑はかかりません。

●エレベーター待ちがない

エレベーターを使用しない1階住戸なら、朝の通勤時に混み合う「エレベーター渋滞」に巻き込まれる心配がないので、ストレスなく出勤できます。

地震発生時とその後、庭の活用法、騒音対策など、1階住戸のデメリットとメリットは裏腹です。視点を変えれば良い方向へ転じる事柄もあるということです。

1階住戸を求める入居者とは、どんな人たち?

前述の通り、1階住戸は外部からの視線や騒音に悩まされることや、日当たりの悪さ、空き巣などに狙われやすいといったデメリットが数多くあります。

その反面、最下階ならではのメリットがあることも事実です。これらのメリットに魅かれ、あえて1階住戸に入居したがる人たちもいます。それはどのような人たちなのでしょうか。

●子育て中のファミリー

小さな子どもがいるファミリーは他の部屋に気兼ねなく子育てをしたいものです。周囲に迷惑をかける第一の原因は子どもたちが室内を駆け回る足音騒音のため、下階に部屋のない1階住戸を希望するケースが少なくありません。それに加え、乳児が誤ってバルコニーから転落する心配もないので、子育て中のファミリーにはおすすめです。

●階段の昇り降りが辛い高齢者

人は年齢を重ねるとどうしても足腰が弱くなります。そのため高齢者は階段を使う必要のない1階住戸を望む傾向にあります。昨今は高齢者の新規入居を拒否するケースもあるようですが、息子や娘名義での賃貸借契約や、親族の定期的な訪問を依頼することで不安解消は可能です。

●可視性の高い路面店舗

「居住用限定」といった管理規約上の縛りがないことが条件ですが、人通りの多い道路に面しているなら、思い切って店舗や事務所として改装してみてはいかがでしょうか。1階の店舗、いわゆる「路面店」は居住用賃貸より高い家賃設定が可能です。

1階住戸を求める入居者層は、意外と幅広いことがわかりました。ただし、小さな子どももいずれ中高生になりますから、1階に暮らすメリットは数年で終わります。高齢者は長期入居が見込めますが、親族の見守りや介護サービスに期待できなければ、何かしらの対策(高齢者用ホームセキュリティーの導入)も必要です。

また賃貸住宅を居住用から店舗・事務所へ変更する場合は納税条件が変わってきますので、その際は専門家への事前相談をおすすめします。