塩麹や甘酒、醤(ひしお)といった発酵
調味料を自宅で手作りする人も増えている昨今。新玉ねぎがおいしい季節に、玉ねぎ醤をレパートリーに加えてみてはいかがでしょうか。
自身も玉ねぎ醤を愛用しているという「神楽坂発酵美人堂」店主の清水紫織さんに、玉ねぎ醤の作り方と活用レシピを伝授していただきました。
「玉ねぎ醤は、コンソメや炒め玉ねぎの代わりとして料理のコク出しに使ったり、自家製ドレッシングやソースの材料にしたり、肉や魚を漬けこんで下味を付けたりと、いろいろなシーンで活躍する調味料です。
発酵させることでコクとうまみが増すため、使う野菜は玉ねぎだけなのに、にんじんやセロリなどが入っているかのような奥深い味わいになるんですよ!
普通の玉ねぎでも作れますが、みずみずしい新玉ねぎを使うと、あっさりしたやさしい風味に仕上がりますよ。基本の作り方と活用レシピを紹介します」
材料
作業時間:5分(発酵させる時間は含まない)
保存期間:冷蔵で4カ月、冷凍で2カ月
・新玉ねぎ……200g
・ひしお麹(豆麹と麦麹をブレンドしたもの)……65g(玉ねぎの約1/3量)
・塩……20g(玉ねぎの10%量)
・保存瓶(容量500ml程度)
「ぴったり200gの玉ねぎを探すのはむずかしいと思います。玉ねぎの重量に対し、1/3のひしお麹、10%の塩を使ってください。
ひしお麹以外の麹でも作れますが、うまみの強い豆麹と麦麹を合わせたひしお麹を使うことで、コクのある玉ねぎ醤に仕上がります。麦麹には食物繊維が豊富なので、お通じが気になる人にもおすすめですよ。
塩は精製塩ではなく、ミネラルが豊富な粗塩といった天然塩を推奨しています」
作り方
1. 玉ねぎを切り分ける
玉ねぎは、茶色い皮を剥き、12等分くらいにざっくりと切り分けます。
「フードプロセッサーで丸ごとすりおろすので、根元の部分はいつもより多めに残しておいても大丈夫です」
2. 玉ねぎをフードプロセッサーにかける
玉ねぎをフードプロセッサーにかけてペースト状にします。大きなかけらがなくなり、全体がとろっとしてきたらOKです。
「フードプロセッサーにかける時間は30秒ほどです。フードプロセッサーがない場合は、おろし器でおろすか、包丁で細かめのみじん切りにしてもいいですよ。ただし、フードプロセッサーにかけたほうが玉ねぎから水分が多く出るので、発酵も早く進みます」
3. 保存瓶にひしお麹と塩を入れる
清潔な保存瓶にひしお麹と塩を入れ、麹と塩が均一になるように混ぜます。
4. 玉ねぎを加える
すりおろした玉ねぎを加えて全体をよく混ぜ、瓶にふたをします。これで仕込みは終了です。
「清潔なスプーンで下からすくうようにしっかり混ぜてください。新玉ねぎは、普通の玉ねぎと比べて水分が多いので混ぜやすいですよ」
5. 1日1回かき混ぜ、7日間ほど常温で保存する
仕込んだ玉ねぎ醤は、1日1回かき混ぜながら常温で7日間ほど保存します。完成したら冷蔵庫で保存し、4カ月を目安に食べきってください。
「毎日混ぜるのは、全体に酸素を行き渡らせ、均一に発酵させるためです。混ぜるのを怠ると失敗してしまうおそれもあるので、忘れないでくださいね。
発酵が進むと豆麹の色が出て、全体が茶色がかった色になってきます。麹がやわらかくなって、コンソメのようなよい香りがしてきたらできあがりです。混ぜるときに試食して、味の変化を確かめてもいいですよ」
できあがった玉ねぎ醤を再度フードプロセッサーにかけ、ペースト状にしてから料理に使うこともできます。
「ペースト状にすると調味料や具材と馴染みやすくなり、使い勝手がアップします。特に、ドレッシングといった油と混ぜる必要があるときには、ペーストのほうが使いやすいですね」
玉ねぎ醤の活用レシピ2品
1. オニオンドレッシング
「玉ねぎ醤を使えば、簡単に自家製オニオンドレッシングが作れます。玉ねぎをすりおろしたり刻んだりする手間を省けて時短になりますよ。
今回はオリーブオイルと酢を合わせてイタリアンドレッシング風にしましたが、ごま油と合わせて中華ドレッシングにしてもおいしいです。トマトやアボカド、フルーツサラダなど、さっぱりしたサラダとよく合います。
サラダのドレッシングだけでなく、ローストビーフやステーキにかける玉ねぎソースにもアレンジできます。玉ねぎ醤とめんつゆとお酢少々を合わせたソースは、子どもにも大好評です」
材料(1人分)
・玉ねぎ醤……小さじ1杯
・エクストラバージンオリーブオイル……大さじ1杯
・米酢……小さじ1杯
作り方
1. 玉ねぎ醤とオリーブオイルと酢を、乳化するまでよく混ぜる
2. トマトやアボカドなどお好みの野菜にかける
2. 玉ねぎ醤の卵焼き
「玉ねぎ醤は、定番料理の調味料としても使いやすいです。卵焼きも玉ねぎ醤だけで味が整います。ほどよい塩味と玉ねぎの香りが良くて、我が家ではほぼ毎朝この卵焼きを作っているほどです(笑)。
スクランブルエッグにすれば、パンの朝ごはんにもぴったり。玉ねぎ醤は塩味も強いので、入れすぎるとしょっぱくなってしまいます。お好みで量を調節してくださいね」
材料(1人分)
・玉ねぎ醤……小さじ1杯
・卵……2個
・油……小さじ1杯
作り方
1. ボウルに卵を割り入れ、玉ねぎ醤を加える
2. 卵と玉ねぎ醤をよく混ぜる
3. 油を熱したフライパンに2を入れ、卵焼きを作る
「玉ねぎ醤」でいつもの料理の味を格上げ!
玉ねぎのコクとうまみがぎゅぎゅっと濃縮された玉ねぎ醤。コンソメや炒め玉ねぎの代わりとしていつもの料理に使えば、ワンランク上の味わいに仕上げられます♪
ハードルが高そうなイメージもある発酵調味料ですが、玉ねぎ醤なら作り方も使い方もとっても簡単。料理が苦手な人や忙しい人にこそ取り入れてほしい調味料です。旬の新玉ねぎを使ってチャレンジしてみてくださいね。
取材・文/小原らいむ
撮影/強田美央
※レシピで使用している神楽坂発酵美人堂オリジナルのひしお麹「まろやかひしおの素」は以下からご注文いただけます