老後資金を蓄えるなら…「iDeCoとNISA」どちらが正解?両者における“3つの違い”

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金融庁から発表された「老後2,000万円問題」により、日本人の老後資金への意識は変わってきました。最近では政府が「金融所得に対する増税」の考えを示しており、効率的な老後資金の蓄え方を考える必要性はますます高まっています。今回は老後資金の蓄えには欠かせない国の制度、「iDeCoNISA」の活用法について解説していきます。

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iDeCoとNISA、どちらを選ぶべき?3つの大きな違い

近年、多くのメディアで「お金を増やす」ことに関する情報が発信されており、アメリカ株のETFや高配当の株に注目が集まっています。有名YouTuberの動画の影響で意識が変わり、投資に目覚めたという方も少なくありません。

iDeCoやNISAに関する情報も溢れています。どちらも国の制度である点では共通していますが、各制度の特徴やメリット・デメリットを正しく理解しなければ、効率的に老後資金を形成することはできません。

iDeCoとNISAには3つの「大きな違い」が存在します。

1つ目の大きな違いは運用期間と流動性です。

iDeCoは年金の受給年齢である60歳になるまでは引き出すことはできません。あくまでも公的年金にプラスして年金を積み立てることを目的としており、毎月こつこつ年金を積み立て自分で運用していくのがiDeCoです。

一方、NISAはいつでも引き出すことができます。運用期間も原則5年、ロールオーバーした場合でも10年しかありません。

2つ目の大きな違いは税金の優遇です。

iDeCoは毎年の掛け金額が所得控除となり、金融商品の利益は非課税、さらに資金を受給するときにも退職所得控除や公的年金控除の対象となります。iDeCoは税金の優遇範囲が非常に大きいのです。

一方、NISAは金融商品の利益が非課税になるのみで、その他の所得の控除の対象とはなりません。

iDeCoは少なくとも掛け金が所得控除の対象となり、年末調整などで税金の還付を受けることができます。仮に金融商品での利益がまったくなかったとしても、税金の還付金分は増えたことになります。一方、NISAは株式やETFが値上がりするか、配当を受け取らなければ税制面での優遇はありません。

3つ目の大きな違いは金融商品の選択肢です。

iDeCoは、口座を開設した金融機関が提供している金融商品の中で運用する必要があります。投資信託・定期預金・保険を中心としたラインナップなので、いま流行りのアメリカのETFや高配当の株式では運用することができません。

一方、NISAは証券会社が取り扱っている金融商品であれば何でも運用することができます。金融商品の選択肢の豊富さという意味では、圧倒的にNISAに軍配が上がります。

このようなiDeCoとNISAの特徴やメリット・デメリットを正しく理解して、目的に合わせた活用をしなければなりません。

老後資金には?iDeCoとNISAの「上手な使い分け方」

iDeCoにもっとも適しているのは、老後資金の蓄えです。流動性がないため、確実に老後に向けて積み立てることができます。さらに所得控除や金融商品の利益が非課税など税金の優遇があることで、税金の還付金を老後資金に加えることができます。

NISAにもっとも適しているのは、教育資金の蓄えです。使い勝手のよい、まとまった資金を蓄えることができます。幅広い金融商品から選択することができ、金融商品の利益が非課税になるため効率的に資金を確保できます。

iDeCoとNISAを掛け合わせることにより、ライフイベントで必要なまとまった資金のために蓄えることができます。目先の必要な資金にはNISAを活用、老後資金にはiDeCoを活用することで効率的に蓄えることができるのです。

一番の難点…2つに共通する「落とし穴」

iDeCoとNISAの活用には共通した落とし穴があります。その落とし穴とは、いずれを活用したとしても金融商品の利益がなければならないということです。利益がなければiDeCoやNISAを活用する意味がありません。

iDeCoやNISAを活用して投資運用をするのであれば、中長期的な視点で金融商品を選ばなければなりません。つまり、中長期で利益が得られる商品を選ばなければならないということです。

これがiDeCoやNISAを活用するために一番難しいところです。

未来永劫利益を生み続ける金融商品はありません。世界情勢や経済環境に合わせた金融商品の選択が求められます。

定期的に時流に合った金融商品の構成となるよう見直さなければなりません。

iDeCoの場合、運用の変更(スイッチング・配分変更)をすることで金融商品の構成を見直すことができます。NISAの場合、5年間の運用期間の中で金融商品を入れ替えることで金融商品の構成を見直すことができます。

投資初心者からはほったらかし投資を望む声も多いですが、ほったらかしで投資が上手くいくほど投資は簡単ではありません。特にiDeCoや企業型確定拠出年金をほったらかしている方も多いですが、その多くの方の資金が目減りして含み損を抱えています。

まとめ

国の制度を活用せずに生命保険や一般的な金融商品で老後資金を蓄えようとしている方を多く見受けます。生命保険や一般的な金融商品は税金の優遇も受けられず、効率的な投資運用だとはいえません。

また、有名YouTuberやファイナンシャルプランナーの情報をすべて鵜呑みにすることなく、自分で投資運用の判断ができるようにならなければ、投資運用は上手くいきません。

まだiDeCoやNISAを活用されていない方は、すぐにでもはじめられる環境を整えると同時に、金融リテラシーを身に付けるべく継続して学んでいきましょう。

次回は日本人が大好きな「生命保険での老後資金の蓄え」をテーマに解説します。

村上 年範

クレディ・テック株式会社 代表取締役