続・発電所で「ゲームあるある動画」を作るとどうなる? 駒沢アイソレーションが「池原ダム」で再現に挑戦

驚きの高さ…!日本有数の大きさを誇る圧巻の池原ダム

※取材は2021年11月に実施しました。
どうも、駒沢アイソレーションハヤケンです。前回僕らが作ったさんとのコラボ動画、見ていただけましたか?
竹原火力発電所での撮影、最高だったね。あんなロケーション初めてで新鮮だった。
だよね。ただ、J-POWERさんとのコラボはまだ終わりません!今回は第2弾、
「水力発電所」
編です。
ということで、僕らは
奈良県・池原ダム
に来ています!そして今回ご案内いただく所長の斉藤さんです。
所長の斉藤です。ようこそお越しくださいました。
てか、まず見てください、この眺め。でかすぎでしょ!これはやばい。マンガの世界にいるみたい(笑)
スケール感やばいね!(笑)
大きいでしょ?ぜひダム下ものぞいてみてください。
た、高い・・・!怖すぎる(笑)。
池原ダムは日本でも有数の大きさで、
ダムの高さはなんと111m
もあるんです。
高さ111m! そりゃ怖いわけだ(笑)。
ちなみに、ここにはどれぐらい水を貯められるんですか?
3億トン以上
は貯められますね。ここは池原貯水池といって、ダム湖百選にも選ばれているんですよ。
そして3億トン以上って……実感わく?全然ピンとこないんだけど。
大丈夫、俺もピンと来てない。俺の家のお風呂、何日分くらいだろう(笑)。


実感わかないですよね。いずれにせよ、それだけたくさんの水を
「アーチ式」
といわれるこのダムでせき止めているんです。
アーチ式……たしかに、ダムがアーチのような形になっていますよね。
アーチ式の特徴は、直線的なダムに比べて、
少ないコンクリートで多くの水をせき止められる
ことです。池原ダムができたのは1964年。当時はまだコンクリートが高価だったんですね。
どうしてアーチ式だと少量で済むんですか?
アーチにすることで、ダム自体にかかる水圧を両側の山の岩盤に分散できます。その分、ダム堤体の厚さを薄くできることでコンクリートが少量で済みます。
下から見るとその構造が良く分かりますよ。行ってみますか?
はい、お願いします!

ダムの壁面にある一本の細い道。ここも撮影スポットに

ここがそのスポットです。
すげー、ここから見ると改めてデカい!
下から見ると、さらに迫力が増しますよね。ダムが、山の岩盤と岩盤に突っ張ってこういう風にアーチ状になっているのがよく分かるでしょう(急に体でアーチ式ダムを表現する斉藤さん)。
ダムを体で表現する斉藤さん……(笑)
そのポーズ最高ですね! 3人でやりましょう。こんな感じですか?
ありがとうございます、いい記念になりました(笑)。ちなみに、ダムの中腹に「池原ダム」と書かれた文字があそこに見えますよね。あれは1文字、3m×3mの大きさです。
え、ここからだとめちゃくちゃ小さいのに。
よく見ると、あの文字のところに通路がありますよね? さっき上からも見えたんですけど。あそこも行けるんですか?
はい、歩くこともできますよ。あそこはキャットウォークと言って、普段は点検などに使用します。関係者以外立ち入り禁止なのですが、今回は撮影ということで特別にご案内しますよ!
マジっすか!ぜひお願いします!
わかりました。じゃあいきましょう!
ということであの通路に来てみたけど、こえーー!
でもこれはいいスポット! ちょっと試しに撮ってみよう!
歩くとめちゃくちゃ怖いな…(笑)。
でもすごい映えてる!
この後はダムの反対側に行ってみましょう。4つの
取水設備
が見えますか?あそこからダムの水を取り込み、水路を通して下流の発電所まで水を送っています。ダムと発電所の落差(位置エネルギー)を利用して、水車を回して発電するんですよ。
取水する際に濁りの少ない水を取り込む
「選択取水設備」
がついているのもポイントです。下流における濁水長期化を抑制するための役割があるのですが、近くまでご案内しますよ。
ぜひお願いします!

水を落として発電、余った電気で水を汲み上げ有効活用

こちらは
洪水吐(こうずいばき)ゲート
といい、水を放流するための水門です。このゲートは、大雨が降った場合など発電で使い切れない量の水が貯水池に入った時に、下流へ流すための設備です。通常は閉まっていますね。
ここもなかなかの高さがありますね・・!
発電所と水車はどこにあるんですか?
下に見える施設が発電所ですよ。そこで水車が回って、発電が行われています。行ってみましょう!
中まで入れるんですね!ありがたい!
池原発電所へようこそ。これが水車発電機の上部です。この設備の下の方で「ランナ」という水車を回して発電するんですね。
おー、まさしくここから電気が生まれているんですね。
ちょうど水車も回っているところなので、ぜひ見に行きましょう。
これが水車の内部になります。
すごい高速で回ってますね!
迫力ありますよね?ちなみに、この池原発電所の大きな特徴が
「揚水発電」
であることです。
何ですかそれは?
揚水発電とは、発電所の上下の調整池に水をため、そこから水を落として発電するだけでなく、水車を逆回転させて、ダム下の調整池にある水をまた汲み上げることができるんです。
使った水をどうしてまた汲み上げるんですか?
電気が必要なときに、ダムの水を流して発電するのはわかりますよね。その反対に、1日の中では電気の余る時間帯もあるんです。そのとき、余った電気を使って水を汲み上げておけば、またダムに水がたまり、必要なときに発電できますよね。
仮に雨が少なくても、その仕組みでダムの水を増やして発電できるってことか。
そんな技術があるなんて知りませんでした。よーし、いま見てきたスポットを使って撮影したいと思います!
ちなみに、前回の竹原火力発電所に続いて、今回もJ-POWERの社員さんに出演していただきたいのですが、大丈夫でしょうか?
もちろんです。私はちょっと恥ずかしいので出演しませんが、ぜひ社員たちに指導してください!
写真はノリノリなのに、動画は遠慮する所長さん(笑)。わかりました、では他の社員さんにも協力いただいて撮影を開始しましょう!
▼実際に完成した動画はこちら!

水力発電が担う大切な役割とは?

今回もめちゃくちゃいい動画が撮れました! とにかくロケーションがいい。異世界な感じが最高です。
ほんとに! ダムの大きさも圧巻だし、揚水発電の仕組みもすごい。約60年前に作ったとは思えないですね。
そう言っていただけるとうれしいですね。こういった水力発電は、これから
「脱炭素社会」
を目指す上で、とても重要になってくるんです。
そうなんですか?
お2人は、J-POWERのについてご存知ですよね?
はい。2050年に向けて、J-POWERさんが掲げている目標ですよね。前回、今回と、BLUE MISSIONをテーマに動画を撮らせていただきました。
そうです。2050年までに、J-POWERグループが
国内の発電事業で排出するCO2を実質0
にするのが、BLUE MISSIONのひとつの目標。まずは2030年までに、CO2の40%削減を目指しています。(※2017年-2019年度3カ年平均実績比)
今回の動画にもありましたが、その目標達成には水力発電が欠かせないということですよね。
はい、水力発電は
CO2を排出しないクリーンなエネルギー
ですから。さらに、同じくCO2を排出しない、
他の再生可能エネルギーをサポート
することもできるのです。
サポートですか?
そうです。太陽光や風力を使った発電は、時間帯や条件によって発電できない場合がありますよね。
あ、その話は前回聞きました! たとえば太陽光なら、日中しか発電できないし、さらに曇りや雨だと日中も発電量が落ちるということですよね。
その通り。だから、太陽光や風力のような再生可能エネルギーを増やしていくと、どうしても天候による発電量の差が大きくなってしまいます。
なるほど。
一方、水力発電はダムに水があれば、
必要なときにすぐ発電
ができる。池原なら、起動スイッチを押してから5〜6分で発電が開始されるんです。
しかも揚水発電なら、余った電気の活用もできますね。
そういうことです。ですから、他の再生可能エネルギーの発電量が減ったり、逆に増えすぎたりした時に水力発電がその過不足を補うことで調整し、日本の電力ネットワークを安定させることができるのです。
だとすると、これからはダムを増やしていくんですか?
適地が限られていますので、池原ダムほどの大規模なダムを増やすのは難しいでしょう。その代わり、J-POWERでは川の流れや自然の落差を利用した、小さめの水力発電所の開発に取り組んでいます。それから、
いまある水力発電所の更新(リパワリング)
も進めていきます。
更新ってどこをどんな風にするんですか?
例えば、J-POWERではいくつかの発電所で、水車や発電機を新型のものに入れ替える工事を行っています。これにより、水資源をより有効に活用でき、発電量を増やすことができます。
2021年に完了した足寄発電所2号機(北海道)のリパワリング工事

最新の設備にすることで、発電量が上がるんですか?
はい。いまは発電用の水車を設計するにも、コンピューターでシミュレーションしながら効率の良い形を計算できる時代です。同じ条件で100の発電だったものを、110に上げられるかもしれません。これは風力発電でも同じ。そうやって
再生可能エネルギーの発電量を増やす
ことが、BLUE MISSIONの達成につながるのです。

若い方たちの柔らかな頭で、未来の電気を担うアイデアを

今後、水力発電がどれだけ大切なのか、よくわかりました!
不思議なものですよね。約60年前に作られたダムが、いままた重要な価値を持っているのですから。
当時ダムを作った人たちが聞いたら驚くかもしれませんね。
もともとJ-POWERは水力発電から始まった会社ですが、脱炭素の時代がきて、改めてその重要性が増しています。私たちも未来への責任感を持ちながら、日々働いていますよ。
J-POWERの社員さんとお話しすると、みなさん本当に仕事に熱いですね。
そうですか?(笑)。でも、こういう状況だからこそ若い人たちに期待したいんです。もっと発電効率がよく、環境に良い水力発電の仕組みが出れば、脱炭素につながる。そんなアイデアを生み出してほしいと、いつも若い社員に言っています(笑)
たしかに、新しい発想が出てきたら面白いですよね!
私のように業界にずっといる人間より、若い人たちが柔らかな頭で考えた方が、素晴らしいアイデアは生まれるかもしれませんから。よりたくさんの電気を作る仕組み、それもクリーンに作る仕組みが出来て欲しいですね。
クリーンというのも大事ですよね。
もちろんです。それに、水力発電はCO2こそ出しませんが、発電すれば良いというものではありません。
地域・社会と共に発展できる存在
でありたいと、思っています。
いろいろな思いを持って働かれているんですね。
ありがとうございます。私たちは、環境と人にやさしい水力発電を実現していけたらと思います。それがBLUE MISSIONにつながりますから。
勉強になりました。今回、2つの発電所で動画を撮らせていただきましたが、発電についてこんなに学ぶことが多いとは。何となく耳にしていた「脱炭素」という言葉が、一気にリアルになってきたなと。
本当にいい経験になりました。そして、とにかくみなさんが生き生きしていて、素敵だなと思いました! 読者の皆さんにも、この雰囲気が伝わるといいですね!
そうですね。本当にいい思い出になりました。今回の撮影に協力していただいた社員の方々、本当にありがとうございました!
今回お世話になったのは…
J-POWER(電源開発株式会社)
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1952年の創立以来、約70年にわたり日本と世界で電気をつくり送り届けている。今回訪れた池原ダムのほかにも、水力、火力、風力、地熱などさまざまな形で全国に約100カ所の発電所を運営。2050年のカーボンニュートラルを目指し、再生可能エネルギーの導入拡大やCO2フリー水素実現に向けた取り組みを進めている。