ウェブサイト上に画像などのコンテンツを掲載した場合、コンテンツの著作権者から該当コンテンツの削除または修正を求める、デジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)に基づく削除通知を受け取ることがあります。通常は法律に基づいて行われるこの通知ですが、悪意のある人物が偽の通知を送ることがあるとして注意喚起されています。

Scam Alert: Fake DMCA Takedown for Link Insertion - Stephen Foskett, Pack Rat

https://blog.fosketts.net/2022/01/24/scam-alert-fake-dmca-takedown-for-link-insertion/

IT系ブログを運営するスティーブン・フォスケット氏も偽の通知を受け取った1人。フォスケット氏はコンテンツクリエイターとして常日頃からクレジット表記には気を遣っていたとのことですが、ある日弁護士を名乗る人物から「著作権侵害を行っている」というメールが届いたとのこと。

そのメールは以下のもので、「あなたのサイトに掲載された画像にクレジットが表記されておらず、クライアントの著作権を侵害しています。こちらが提示するURLを速やかに表記しない場合は法的措置をとります」と記載されています。

フォスケット氏は、このメールは「DMCA削除通知詐欺」と「ブラックハットSEO詐欺」のハイブリッド詐欺だと指摘。ブラックハットSEOとは、質の低いウェブサイトにリンクを大量に記載したり、隠しテキストや特定のキーワードを羅列したりすることで、検索結果の順位を上昇させる手法のこと。Googleなどはある時点からブラックハットSEOを厳しく取り締まっており、発覚した場合はウェブサイトが検索結果に表示されなくなるといった対応が行われます

Googleによる対策が開始されて久しいにもかかわらず、フォスケット氏は「2022年時点でも有料サイトへのリンクやアフィリエイトプログラムのリンクを挿入するような依頼が毎日5件〜10件は来ます」と述べ、もしこれに従ってリンクを挿入してしまうと、苦労して獲得したウェブサイトの評価に壊滅的な打撃が与えられると注意しています。

今回フォスケット氏が受け取ったメールはそんなブラックハットSEOへの加担を促すものです。今回、フォスケット氏はメールに数多くの怪しい点を発見。まず、メールを送信した弁護士が金銭の支払いではなくリンクの挿入を求めたことが露骨な詐欺の兆候であるとフォスケット氏は指摘します。提示されたリンクもとあるスマートフォンアプリの公式ページのものであり、本来の著作権者のものでないことは明らか。また、弁護士が「問題の画像はコレ」とURL付きで提示してきたものは、画像共有サービスのImgurのものであり、実際の弁護士とやり取りをした経験を持つフォスケット氏は「弁護士がそのようなサイトを使うことはないと分かっていた」と記しています。

多くの人々が自分でコンテンツを作りだし、気軽に世界中に発信できる時代ゆえに、著作権の問題も世界中で認知され始めています。そのことを逆手にとったのか、メールには難しい法律用語ではなく「DMCA」というよく知られた単語が記載されている点にもフォスケット氏は着目。「実際の著作権侵害のメールには根拠となる特定の法律が記載されるので、人々に認識され、より不安感を募らせやすい単語としてあえて『DMCA』を使ったのでしょう」と推測しています。

また、メールの送信者である弁護士の名前やウェブサイトを検索すると非常に説得力のあるまともなウェブサイトを発見したとのことですが、そのほとんどは別のサイトからのコピーで、同じドメイン情報登録者による似たようなサイトがいくつも見つかったとのこと。

今回の場合、メール送信元のTaylor Wilson Smith Legalという法律事務所のウェブサイトが以下。調べていくと、いくつかのテキストはウェブサイト構築ソフトウェアのWordPressのデフォルトテーマから引用されたものであることが分かったとのこと。

担当弁護士のChris Donnellyも、実在しない「University of San Columbia」を卒業したなどというあやふやな経歴が記載されていました。サイトに掲載された顔写真もAIで生成されたものである可能性が高いとフォスケット氏は述べています。

フォスケット氏は「詐欺師は合法的なビジネスを装い、DMCA削除通知を装うという恐ろしい戦術を使い始めています。今回のようなリンクの挿入を促す通知を受け取った場合は注意してください」と述べました。