前所属のリヨン下部組織時代こそCBでプレイしていたものの、2020年夏のミラン加入以降は右サイドバックを中心に活動していたカルル。チーム事情が苦しいなかでの、苦渋の起用。当初は彼のCBでの出場にそんなことを思っていた人も多かったことだろう。どうにか及第点のパフォーマンスを披露してくれれば御の字。どこかそんな空気は漂っていた。
しかし、そんな周囲の空気をよそに、カルルはここまで見事にCBのポジションをこなしている。まだ若いながらも随所で冷静な対応は見ることができ、落ち着きも十分。時折ヒヤリとするシーンを見せることもあったが、彼がフル出場した直近の4試合でミランはわずか3失点しか喫していない。代役としては満点に近い出来と言えよう。むしろ、今後もこのパフォーマンスを継続できるのであれば、カルルはCBとしても勝負できるはず。そう言っても過言ではないほどに、この21歳のプレぶりは堂々たるものだった。
決して代役をこなすだけでなく、この機会に指揮官へのアピールもきっちり行うことに成功したカルル。もしかすると、将来ミランの守備陣を牽引していくのはこの男なのだろうか。ロッソネリで急速に評価を高める若手DFからは、今後も目が離せない。