誰にも、キレイな日と、キレイでない日がある



自分がキレイに見える日と、キレイに見えない日があること、女性はみんな知っている。でも「顔立ちそのものが整う日と、そうでない日があること」までを知る人は少ないのだろう。
これは、あくまで“顔立ち”の話。肌状態が体調によって日々変わったり、生理前に落ち込んだりという、肌レベルの浮き沈みについての話ではないのだ。
言うならば、プチ整形したように顔立ちの美貌レベルが上がる。しかも毎月毎月、周期的に顔立ちが整う日があるというのである。

もちろん、全く自覚がない人もいるのだろう。でも私自身は、そういう仕組みがあるのことを知って、深く深く納得した。なるほどやっぱりと、膝を打ったほど。
若い頃から時々不意に、何となくだけれども“いつもと顔立ちが違う日”があることを自覚していたのだ。最初は単なる偶然だろうと思っていた。そこに何かの法則があるなどとは夢にも思っていなかった。
ただそういう日は、顔立ちが整うだけじゃなく、肌の調子もすこぶる良く、こんな日には「何か予定を入れなければもったいない」と思うほどだった。そうこうするうちに、その日が、何やら定期的にやってくることに気づいたのだ。

そんな折も折、海外の科学系のTV番組で面白い企画を見つけた。「女性は、排卵期前に美人になる!」という衝撃的なもの。そのタイトルを見た瞬間、まさにこれこれ!とちょっと興奮したのだった。

排卵期直前? 女子学生たちがみんな美人になる日?


「排卵期」直前! 言うまでもなくそれは、生理日に向かう黄体期とは間逆のポジションにある“卵胞期の後期”にあたり、女性ホルモン、エストロゲンの分泌が最も高まる時期である。

当然のことながらその時期は、肌が1番美しく、精神的にも安定する。そこまでは誰もがよく知る常識だ。

でもじつは単に肌だけではない、「見た目に顔立ちも整う」という仮説を、それは具体的に実証するものだったのだ。しかもこれ、海外の大学が女子学生たちをモニターとして行ったリアルな研究結果に基づいていて、あまりにも興味深いこの説を知って以来、私は人間の体の神秘に魅せられてしまったのである。

それにしてもなぜ、顔立ちまで整うのか? エストロゲンがコラーゲンの産生を高めたり、新陳代謝を高めたり、また自律神経を整えたりといった、美しさに直結する働きを持っているのは言うまでもないことだが、顔立ちが整うというのはまた別の次元の話。
もちろんエストロゲンは、女性らしい丸みのある体を作ることでもよく知られているが、それも長期的、継続的な効果であり、月に1度急に顔が変わるというのは、やっぱり考えにくい。

しかしこの実験的研究は、排卵日直前のエストロゲンの分泌量が最大限に高まる時、女子学生たちがみんな見事に美人顔になるという生々しい結果を示していたのだ。
なんでも、女子大生たちの顔写真を毎日同じ条件下で撮影して、生理周期としっかりと照らし合わせ、顔立ちの詳細を比較していったと言う。面白いのは男子学生も動員して、これらの女子学生の写真を見せ、どの時期の顔立ちに魅力を感じるかと言う調査まで行っているのだ。

それは動物たちの求愛行動と同じ、「種の保存」のための変化


もちろん個人差もあるし、自分では全くその自覚がないケースも多いのだろうが、それでも、排卵期直前の顔が異性から見て魅力的に映るという調査結果があるのは事実。そこに、なぜその日だけ美貌度が高まるか?の意味がはっきり伝わってくる。それは、言うまでもなく女性ホルモン、エストロゲンの作る美貌……。

もう分かったはず。この時期に、女性たちが美人顔になるのは、ズバリ「種の保存」のため!

つまり、フラミンゴが踊ったり、孔雀が美しい羽を広げたりするのも種の保存のための求愛行動であるように、人間もその時期に極めて自然に、一つの生理現象として異性に最もアピールする容姿になるということなのだ。まさしく、生命の神秘そのもの! 人間の容姿の変化にも、揺るぎない意味があったなんて!

おそらくは、女性ホルモンが体に丸みを作るのと同じメカニズムなのだろう。むくみが全くないだけで顔はスッキリ引き締まるけれど、さらに頬が丸みを帯びたり、目がパッチリ見開かれたり、瞳がウルウル潤んで見えたり、また唇にもハリができ、口角がきゅっと上がったり、さらに、リフトアップのマスクをしたように、顔全体が上向き印象になったり。そういうことが総合的に美しい顔を作っているということ。それは紛れもなく「その人の1番美しい顔」に他ならないのだ。

このコラムでは、以前も「女性の細いくびれに男性が強く惹かれるのは、やはり種の保存のため」ということを書いたけれど、(くびれがある人は、歳をとらない[前編]、くびれがある人は、歳をとらない[後編])女性の顔の変化さえもが、動物の求愛行動と同様「いかにしたら確実に子孫を残せるか?」というメカニズムに従ったものになっているというこの事実、知れば知るほど疑いようがなく、それって面白すぎないか?

あらゆる美容の前に、そういうふうに人が美しくあるべき理由がちゃんとあるということ、きちんと知っておくべきなのだ。だから、更年期も間近と言う人だって、絶対に「今更?」と言わないで。

排卵日直前に、正真正銘「自分の1番美しい顔」が現れることを改めて認識して、その顔立ちを一ヵ月ずっと、いや生涯にわたって保つことをテーマに美容してほしいのだ。
さらに言えば、排卵日数日前のその特別な日を見極めて、そこに“大切な予定”を入れると言うのも1つの美容となるのではないか。
自分がどこまで美しくなれるのか、それを見極めるためにも、その特別な1日を決して無駄にしないでほしい。

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美容ジャーナリスト/エッセイスト

齋藤薫

女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイを持つ他、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。『大人の女よ! 清潔感を纏いなさい』(集英社文庫)、『美人だけが知っている100の秘密』(角川春樹事務所)他、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)など著書多数。