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コロナ禍による外出制限、リモートワークの普及による通勤客の減少、インバウンド需要の消失……大打撃を受けている運輸業。そんな業界で働く会社員の給与事情とは? みていきましょう。

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コロナ禍の関東私鉄8社…最も輸送人員が落ち込んだのは「京王電鉄」

オミクロン株の感染が急拡大していますが、今回の年末年始は久々に故郷に帰省したり、が初詣に出かけたりと、“いつものお正月”を堪能した人も少なくなかったのではないでしょうか。

2020年から始まった新型コロナ感染でさまざまな業界に打撃を与えましたが、そのひとつが運輸業。しかしこの年末年始は、久々に前年比プラスを記録しました。

一般社団法人日本民営鉄道協会によると、関東私鉄8社の2021年12月31日〜2022年1月3日の定期外旅行輸送実績で、前年と比べて最も増加したのは「京成電鉄」で52.4%増。続く「京急電鉄」が46.1%、「東武鉄道」が43.2%と、コロナ禍元年を大きく上回りました。

【関東私鉄8社年末年始「定期外旅行輸送実績」】

■京成電鉄 90.7万人(+51.4%)

■京急電鉄 159.4万人(+46.1%)

■東武鉄道 229.9万人(+43.2%)

■小田急電鉄 197.0万人(+40.5%)

■相鉄 57.8万人(+35.6%)

■西武鉄道 160.1万人(+34.8%)

■京王電鉄 170.4万人(+32.2%)

■東急電鉄 251.0万人(+28.9%)

出所:一般社団法人日本民営鉄道協会発表より

※2021年12月31日〜2022年1月3日の定期外旅行輸送実績、(かっこ)内前年比増減

コロナ禍の私鉄各社がどれほど厳しいものだったのか、輸送人員をみると明らかです。2020年度の関東8社の輸送人員をみると、最も多いのが「東急電鉄」で年間8億0578万人。コロナ禍で大きく輸送人員を下げたのは「京王電鉄」で前年比33.0%減。各社、大きく減らしています。

【関東私鉄8社「輸送人員」2020年】

■東急電鉄 8億0,578.3万人(−32.1%)

■東武鉄道 6億7,704.6万人(−26.5%)

■小田急電鉄 5億2,522.5万人(−31.4%)

■西武鉄道 4億7,222.2万人(−28.7%)

■京王電鉄 4億5,064.4万人(−33.0%)

■京急電鉄 3億3,490.4万人(−30.5%)

■京成電鉄 2億0,874.4万人(−28.7%)

■相鉄 1億7,482.7万人(−25.2%)

出所:出所:一般社団法人日本民営鉄道協会発表より

※(かっこ)内前年比増減

コロナ禍の関東私鉄8社…売上高20〜50%の減少

また売上高もみてみましょう。まずは個別決算に注目。最も売上高が高いのは「東武鉄道」で1,676億円。一方でコロナ禍で最も売上を落としたのが「東急電鉄」で前年比−49.4%でした。

次に連結決算をみると、最も売上高が高いのが「東急電鉄」で9,359億円。一方でコロナ禍で最も売上を落としたのが「西武鉄道」で前年比−39.2%でした。

【関東私鉄8社「売上高」2020年】

■東急電鉄 1,124億円(−49.4%)/9,359億円(−19.6%)

■東武鉄道 1,676億円(−27.9%)/4,963億円(−24.0%)

■小田急電鉄 1,143億円(−33.5%)/3,859億円(−27.7%)

■西武鉄道 1,109億円(−24.4%)/3,370億円(−39.2%)

■京王電鉄 1,015億円(−21.1%)/3,154億円(−27.2%)

■京急電鉄 876億円(−34.5%)/23,49億円(−24.8%)

■京成電鉄 557億円(−35.1%)/2,077億円(−24.3%)

■相鉄 256億円(−23.8%)/2,211億円(−16.5%)

出所:出所:一般社団法人日本民営鉄道協会発表より

※数値左:個別決算、数値右:連結決算、(かっこ)内前年比増減

通勤客が多いのか、観光客が多いのかなどといった沿線の特徴や、鉄道以外の事業の展開などで、私鉄各社が受けたコロナ禍の影響の度合いは異なりますが、どこも厳しい局面になっているのは共通することのようです。

関東私鉄8社の給与事情…全業界平均を上回る高水準

そんな私鉄各社の給与事情をみていきましょう。厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』で産業別の給与を確認していきます。鉄道業者が分類される「鉄道業」の平均年収は635万2,000円。全産業平均が487万3,000円なので、平均を大きく上回る業種であることが分かります。

さらに有価証券報告書から、関東私鉄8社の給与事情をみていきます。ただし8社のうち「東急」「西武」「相鉄」は事業持ち株会社なので、残り5社で比較すると、「小田急電鉄」が最も平均給与が高く、720万3,661円。「京成電鉄」が714万9,562円で続きます。

■東急株式会社

762万7,305円

(従業員数:1,461人、平均年齢:42歳7ヵ月、平均勤続年数:15年6ヵ月)

■株式会社西武ホールディングス

802万2,366

(従業員数:306人、平均年齢:40.4歳、平均勤続年数:15.1年)

■東武鉄道株式会社

669万8,182円

(従業員数:3,531人、平均年齢:46.9歳、平均勤続年数:25.7年)

■小田急電鉄株式会社

720万3,661円

(従業員数:3,760人、平均年齢:40.3歳、平均勤続年数:19.3年)

■京王電鉄株式会社

680万4,893円

(従業員数:2,531人、平均年齢:40.7歳、平均勤続年数:17.6年)

■京浜急行電鉄株式会社

679万0,775円

(従業員数:2,859人、平均年齢:38歳11ヵ月、平均勤続年数:16年6ヵ月)

■京成電鉄株式会社

714万9,562円

(従業員数:1,828人、平均年齢:40.8歳、平均勤続年数:17.7年)

■相鉄ホールディングス株式会社

878万5,172円

(従業員数:89人、平均年齢:49.4歳、平均勤続年数:20.8年)

業界としては高い給与水準の鉄道業界ですが、コロナ禍の影響は大きなダメージとなっているよう。先日、東急電鉄が運賃改定を行うと発表し、運賃改定率は12.9%、初乗り運賃は10円値上げで140円となり、そのほかの区間でも1割程度値上げとなります。その背景としてあがったのが、コロナ禍を契機として定期利用者が激減し、今後も需要回復が見通せないことをあげました。

鉄道業は巨額の設備投資が必要。短期的には黒字を確保できたとしても、このままでは事業継続が困難だという判断でした。今後、他社も追随する可能性もあり、家計の負担増も避けられないかもしれません。