新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、患者の間で「歯の食いしばり」や「歯ぎしり」が増加していると歯科医が報告しています。「歯の食いしばり」や「歯ぎしり」が原因の症状としては、歯や歯ぐき、顎(あご)の関節や筋肉への痛みなどがあります。それらの痛みが引き起こす問題について、歯科補綴学の学者であるデール・ハウズ氏と、歯科医のアレクサンダー・ホールデン氏がまとめています。

Why do I grind my teeth and clench my jaw? And what can I do about it?

https://theconversation.com/why-do-i-grind-my-teeth-and-clench-my-jaw-and-what-can-i-do-about-it-172298

人間の上下の歯は、必要な時だけかみ合うように設計されています。基本的に食べ物を咀嚼(そしゃく)する際のみ歯がかみ合うようになっているため、上下の歯が重なるのは1日のごく一部の時間のみです。そのため、基本的には唇を閉じているか否かにかかわらず、上下の歯は「離す必要があります」とハウズ氏。

歯を磨いたり食いしばったりといった行為を必要以上に行うと、歯が摩耗し顎の筋肉を痛める可能性があります。特に、下顎を頭蓋骨に取り付ける役割を担う顎関節には、関節の動きを制御するための円板が含まれており、これが歪んだりずれたりすることで、関節からカチカチ音が鳴ったり痛みが発生したりする模様。つまり、不要な歯の食いしばりや歯ぎしりを行うことで、顎関節や周辺の筋肉を痛めることにつながるわけです。

こういった顎周りの痛みの主な原因の1つはストレスです。ホールデン氏は、顎関節や周囲の筋肉に痛みを訴える患者や、歯を食いしばったり歯ぎしりしたりする兆候がある患者に対しては、常にストレスについて尋ねるようにしているとのこと。

多くの場合、患者は「いいえ、私は全くストレスを感じていません」と語るそうです。しかし、実際に聞き取り調査を行うと患者が何にストレスを感じているのかはすぐに明らかになるとのこと。ホールデン氏は「新しい仕事を始めたり、家族と一緒に新しいことに挑戦したり、人生の変化に対処したりすることは、すべて我々が思っている以上にストレスを感じるものです」と語り、日常生活の中でいつの間にか生じるストレスが、歯ぎしりや歯の食いしばり、さらにはそれに起因した痛みにつながっていると指摘しています。

なお、ストレスの緩和方法については諸説ありますが、動物と触れ合うことや人とハグすることが効果的であると科学的に証明されています。

動物と触れ合うことでストレスが軽減されることが科学的に実証される - GIGAZINE

誰かをハグすることでストレスが軽減されるという研究結果、ただし合意に限る - GIGAZINE

顎周りの痛みに対処するための最初のステップは、自分が歯ぎしりや歯の食いしばりを行っていることに気づき、これを自発的に止めようと意識することです。歯科医は顎の関節やかむのに役立つ筋肉の健康状態をチェックできるよう訓練されているため、歯科検診は歯ぎしりや歯の食いしばりに気づくための「絶好のチャンス」とのこと。なお、歯ぎしりや歯の食いしばりの兆候としては、「ひびの入った歯や詰め物」「摩耗した歯」「顎や頭、首周りの筋肉の痛み」などが挙げられるそうです。

睡眠中の歯ぎしりは、「歯の痛み」「顎関節の痛み」「頭や首の筋肉の痛み」につながる可能性があります。これに対応するための方法として最も簡単なものは、「バイトガード」と呼ばれる歯への負担を軽減するためのガードを使用することです。なお、バイトガードを導入する場合は「歯科医に相談してください」とハウズ氏とホールデン氏は記しています。

また、歯を食いしばったり歯ぎしりしたりすると顎が痛くなる人に対して、両氏は「ガムを長時間かむのを避けてください」とアドバイスしています。砂糖を含まないガムを食べることは虫歯のリスクを減らすことにつながりますが、顎の痛みにつながる可能性があるため注意が必要とのことです。