Ph.1乳白アクリルボードの後ろからライト❶。被写体/アクリルボード/ライトの距離が重要。それぞれを調整して、ボトルの輪郭に沿ったシャドーを作り、立体感を出す。
Ph.2乳白アクリルボードの後ろからライト❶。被写体/アクリルボード/ライトの距離が重要。それぞれを調整して、ボトルの輪郭に沿ったシャドーを作り、立体感を出す。
Ph.3ライト❸を入れてラベルの明るさを補う。
実際の撮影では、ライト完成後、それぞれのライトを微調整しながら1灯ごとに分解撮影。Photoshopのレイヤー合成で1枚の写真に仕上げている。
切り抜きカット完成Ph.1〜Ph.3のカットをレイヤー合成、ライト❸で入ってしまったボトル肩の円形のハイライトを弱め、全体の明るさを調整。ボトルを切り抜いて完成。
「白ワインのようなガラス瓶の中の水」
おいしい
それは 高原からの 贈り物のような
山 かけあがり 谷 くだったところ
手に すくって 飲み干したもの
険しい山 その谷間に 作られたダム
汗だくの体に ここちよい風 吹くように 喉に ひんやりと
朝の カーテン越し
柔らかな 光 心地よい
ふっと あの 谷間が蘇った
それは Shizen って ブルーの綺麗なラベル
まるで 白ワインのような ガラス瓶の中の 水
僕は 山育ち たくさん 山の湧き水 飲んだ
高い山からの 雪解け水 大地の フィルター
ゆっくり 通って 綺麗に 磨かれたやつ それに 似ている
山に 抱かれてきた そんな感じの
自然の中で ゆっくり 清涼で 透明で
いま ここ
しっとりと やわらかな 心地よい 体
甘い 香りもする
興奮の嵐 それは 空飛ぶ 絨毯
ふんわりの ここちよさ 素敵な ひととき
幸せの 嬉しさは 喉を 砂漠にする
そんなとき すべりこんだ それは 高山の空気を 抱いていた
ひんやりと 心地よく
まるで 恋に落ちる 青年のように
ときめく 幸福な 一体感
それは 僕の一部のように すんなりと 僕の体に溶け込む
人の 体は ほとんど 水でできているんだろうね
気持ちよく 体に 溶け込んでいく
幸せが たまらなく 愛おしい
Ph.4※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示Ph.4のセット
朝日が入る窓辺のテーブルのイメージ。あらかじめグラスの半分ぐらいまで水を入れて、そこにボトルから水を注いだ瞬間を撮影。ストロボの閃光速度は1/7500秒。水の動きを完全に止めている。
完成カット(Ph.4)は、撮影後、Photoshopで色調を青方向に補正して、水の透明感を強調している。
ライト:❶❷❸broncolor Pulso G Head+Standard Reflector P70/❹broncolor Pulso G Head+Conical snootカメラ:Sinar X+Hasselblad H3D II50/レンズ:Nikon Nikkor AM*ED 120mm F5.6/1/100秒 f16 ISO100
各ライトの役割
バックライト。透明な被写体のため、バックライトの透過光だけで、ほぼ全体が描写される。
サイドライト❷は、アクリルボード越しの面光源で、グラスに縦のハイライトを入れる。
❸でグラスのフチにハイライトを入れる。
右サイドからのスヌート❹は、水を注いだ時、その水にハイライトが入るように、やや上向きにセット。手前のグラスの右側面上部のハイライトにもなっている。
バックライト+3灯のライティング。被写体が透明グラス(と水)のため、バックライトだけで背景のグラデーションと、ベースとなるグラス内の明るさを作り、残り3灯でハイライトを入れていく。
背景のグラデーションはアクリルボードの後、左から右サイドへ斜めに光をあてて(カメラ側から見て右から左)、カーテン越しに差し込む朝の光を演出する。
左のライト❷はアクリルボート越しに広い面で光を入れて、グラス側面に縦のハイライトを作る。水がかぶらないようにビニールを被せている。
今回の撮影は「仕事撮影用カメラ」を使用。4×5判Sinar XとデジタルカメラバックHasselblad H3D II-50の組み合わせ。正確なフォーカス、歪みのない描写を求められる製品撮影では、スイング、ティルト、ライズ、フォールなどの機能があるSinar Xが出番となる。
ピントグラスを覗きながら、右側に並んだノブで調整。その昔はピントグラスにルーペをあててフォーカスの確認をしていたが、デジタル撮影では、ティザー撮影をして、細部はモニタで確認する。
高井哲朗 たかい・てつろう
1978年 フリーとして活動開始。1986年高井写真研究所設立。広告写真を中心に活動するかたわら、ゼウスクラブを開催し、写真の可能性を伝導する。
www.kenkyujo.co.jp/
twitter.com/TetsuroTakai(ツイッター)
※この記事はコマーシャル・フォト2021年11月号から転載しています。