【羽生善治×永瀬拓矢】将棋研究2.0 第71期王将リーグ特集

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「今年の取材はいつ頃になりますか? 対談の相手は…」
まだ企画の原型が定まっていなかった夏の初め、永瀬からかけられたこの一言でバラバラだったパズルの外殻が固まった。

近藤は渡辺を。
豊島は糸谷を。
藤井は広瀬を。
そして永瀬は羽生を。
どれも「必然」のごとく、ぴたりとピースがはまっていく。それぞれの指名理由にもぜひ注目してほしい。

節目の70期を迎えた昨期の王将戦七番勝負は渡辺明と永瀬拓矢の激突となった。
「一局でも多く渡辺王将に将棋を教えていただきたい」――。
七番勝負期間中、永瀬は何度も何度も、繰り返しこの言葉を口にした。勝負を、勝利を渇望し、喜怒哀楽を爆発させた。

7つの永世位を持つ羽生善治は、まもなく27度目の王将リーグの舞台に立つ。
盤を挟まずに相対す稀な機会に、その眼差しは柔らかく温かい。

勝負の世界に身を捧げ大舞台を渡り歩く永瀬拓矢をもってしても、「憧れの人」を前にただカチコチに緊張するその姿は、間違いなく29歳の素顔だった。

毎年、金木犀(キンモクセイ)の香る季節にお届けする「王将リーグ特集」は4年目。第71期のテーマは「将棋研究2.0」と定める。
将棋界のパワーバランスがまた大きく変化し始めた今だからこそ、棋士たちの研究の現在地が知りたくてたまらないのだ。

撮影/MEGUMI 取材・文/伊藤靖子(スポニチ)、ライブドアニュース編集部

「王将リーグ『将棋研究2.0』」特集一覧

まずは素朴な疑問なのですが、感想戦を除いてお二人でお話される機会などは過去にありましたか?
羽生 さすがに世代が違いますし、研究会なども一緒にやったことがないんですよね。自分でやっている研究会ではときどき代打で若手棋士が来ることがあるので、その時に話したり将棋を指したりする機会はあるのですが、さすがに今の永瀬さんに代打を頼む勇気がある人はいないですよね(笑)。
永瀬 いえいえ、ハハハ!
羽生 というわけで、ちゃんとお話するのは初めてです。
永瀬先生が羽生先生をご指名された理由は絶対に聞かないといけないと思っています。
永瀬 みなさんそうだと思いますけど、自分が子どもの頃からの憧れの先生ですので、こういうことでもないとなかなかお話させていただく機会はないので…。そういう機会に恵まれるのであれば貴重だなと思って指名させていただきました。
永瀬先生が入社試験に挑まれる学生さんのようになっています(※いつも以上に姿勢が良い)が、もしかすると緊張されていますか!?
永瀬・羽生 ハハハ!
羽生 安心してください。圧迫面接はしないですよ!(笑)「ABEMAトーナメント」で屋敷さんとチームを組んでいましたけど、私と近い年代の方と将棋を指したり交流のある方は結構いるんですか?
永瀬 今は休止中ですが、(佐藤)康光(九段)先生が会長になられる前に、月1くらいのペースで研究会で教えていただいていました。
羽生 ええー! そうなんですか!
永瀬 屋敷先生にも数年前までVS(※1対1の研究会)で長い間、教えていただいていました。
羽生 今まで一番、練習将棋を指した人はやっぱり鈴木大介(九段)さんですか?
永瀬 はい。おそらく一番多いんじゃないかと思います。
羽生先生は、永瀬先生からのご指名があったと聞いた時どのように思いましたか?
羽生 このメンバーの中で、どう見ても自分が世代的にあぶれているので、みなさんが困るパターンじゃないかと思っていたので、ありがたかったです(笑)。
永瀬 (声を発さず恐縮したように首を横に振る)
お二人が初めて接点があったとすれば、永瀬先生の少年時代でしょうか?
永瀬 接点……。(考え中)
羽生 さすがに私の記録をとってもらったことはないですか?
永瀬 ないです。記録は7回しかないので、機会には恵まれませんでした。
イベントなどで指導将棋を受けたりしたことも?
永瀬 ないです。
羽生 どこかの「将棋まつり」で遠目に見た、とかは?
永瀬 そういうのはあったかもしれません。ただ将棋を始めたのが早くなかったので、機会自体は多くなかったです。ただ奨励会の入会試験の時点で、プロ棋士は羽生先生しか知らなかったんです。筆記試験で「現在のタイトルホルダーを書きなさい」という項目があったんですけど、全てのタイトルで羽生先生と書きました。(※それでも半分は正解)
羽生 そうなんですか(笑)。筆記試験って、一般項目みたいなのもありました? 分数の試験とか。
永瀬 なかったです。作文はありました。分数の試験があったんですか?
羽生 時代が違うんですね。私の時代はいわゆる普通の勉学による「テスト」みたいな項目もあったんです。他にも「初代名人は誰か」とか、棋譜が書いてあって「局面を書け」とか。私の頃から作文はありましたね。でも形式的なものですよね。だって小学生とかもいますからね。自由に書いていいと思います(笑)。
羽生先生が永瀬先生の存在を知ったのはどのタイミングだったのでしょうか?
羽生 やっぱり棋士になってからだと思います。「新人ですごく千日手(※)が多い棋士がいるらしい」という噂を…(笑)。

※4回同じ局面になると、その勝負がなかったことになり休憩後、先手・後手を入れ替えての対局となる。
永瀬 ハハハ!
羽生 「脅威の千日手率の人がいるらしい」という話が出ていました。対局数に対してどれくらいの割合とか、データを調べるのが好きな人がいたんですよね。四、五段でデビューしてまもない頃でしょうね。
永瀬 そうですね。振り飛車党だった頃ですね。居飛車党になってからは変わったと思います。
羽生 1回ついたイメージって恐ろしいですよね(笑)。その後、どんなに千日手が少なくても何年経っても言われるという…。最近はそんなに千日手はないですもんね。
永瀬 ハハハ! そうですね(笑)、平均的になってきたかと思います。
と思いきや「王将戦」の第6局でも千日手になりました。
羽生・永瀬 あーー! ハハハ!
羽生 確かにありましたね。大きいところでやるとインパクトがね(笑)。昨年の「叡王戦」も七番勝負の最長手数記録を更新されたんですよね。
永瀬 ハハハ!
羽生 よく調べたな、と思って(笑)。対局者は一生懸命指しているだけで、手数なんて覚えてないじゃないですか!
永瀬 そうですね。
永瀬先生はやはりいつもとちょっと雰囲気が違うような気がするのですが、羽生先生はやはり他の棋士の先生方以上に特別な存在なのでしょうか。
永瀬 そうですね、尊敬しています。
2年ほど前の「王位リーグ」白組プレーオフの対局開始時には、叡王で初のタイトルホルダーになった永瀬先生が、羽生先生との対局時に下座に座られたことも話題になりました。
羽生 あー! ありましたね。初めてタイトルを獲得した頃に年の離れた先輩と対局すると考えてしまうときもありますよね。タイトルを獲ったら上座に座るというのが基本でしょうけどね。微妙に先輩後輩で段位が後輩が上、とか揉めやすいんですよね(笑)。
永瀬 ハハハ! そのときは自分なりにいろいろ考えた結果の決断だったと思います(笑)。
羽生 ルールで決まっているわけじゃないですからね、微妙に気を使うところですよね。
永瀬先生はずっと羽生先生の背中を見てきて、さまざまなことを学んでいらしたと思います。その中でも印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
永瀬 以前のインタビューでもお話したかもしれませんが、7、8年くらい前に羽生先生と同じ日に対局がありまして、他の棋士が置いていた昼食の食器を羽生先生自らが片付けていたんです。それも自然に。今と違って当時は大先輩とか大先生だと、昼食後はそのままにして、対局室の戻る方もいたんですね。そもそもそういう文化がなかったので。でも羽生先生が率先して片付けをされている姿を見て、こういうことが大事なんだということが、すごく記憶に残っています。
羽生 私の少し先輩に森下(卓九段)さんがいるんですけど、森下さんの片付け方は尋常じゃないんです。隙があれば片付ける。そういう先生もいるので、私なんか全く足元にも及びません。本当にすごいんですよ! “超”が付くきれい好きで、整理整頓がすごいんです。他の人の分まで何もなかったかのように片付けるんです。そういう先輩がいるのでこの程度では…(笑)。
永瀬 ハハハ!
羽生 そういう文化は大切にしないと、と考えています。
きっと現在の永瀬先生の姿を見た後輩の方々が引き継いでいく、という循環がベストですね。
永瀬 ……。ただ後輩たちはドライな世代なので…(笑)。
羽生 でも今の若手棋士のほうが全体的なバランスが取れている気がします。常識的で礼儀正しい。そういう印象を持っています。特別に将棋界で何かを教えているというわけではないんですけどね。

関西のほうはしつけや礼儀作法については伝統的に先輩が指導しているみたいですね。関西は棋士同士がみんな顔を知っている感じなんですよね。棋士もそうだし奨励会の人たちもそうだし、人数的なところでも全員知っている、どこかで会っているというのがあるんですよね。
一方、羽生先生は永瀬先生のデビュー時からタイトルホルダーとなった現在までの成長を見ていらしたと思いますが、変化などを感じられたところはありますか?
羽生 そうですね、すごく舞台慣れをした印象があります。
永瀬 いえいえいえ、ハハハ!
羽生 去年「王将戦」七番勝負に出られて、合間合間(昼食休憩時や指し掛けの後)の取材は初めてだったから驚かれたんじゃないですか?
永瀬 そうですね。踏み込まれる(記者から踏み込んだ質問をされる)こともあったので…(笑)。「形勢はどう思いますか!?」とか「現局面はまだ準備の段階なんですか?」と聞かれましても…(笑)。
羽生 最初はどう答えるか考えますよね。永瀬さんは、対局2日目の朝、スポニチ(スポーツニッポン新聞)に対局中(1日目)のコメントが載っているのはどんな感じですか? 私も最初は「おお〜」と思ったりしたんですけど(笑)。他の棋戦だと、棋譜が書いてあって記者さんがどんな変化になったというのを書いてあって終わりですけど、「王将戦」の場合は両対局者のコメントも載っているし、分量も多いんですよね(笑)。
永瀬 ハハハ! そうですね、確かに! 自分は2日制自体が初めてだったので、その点は今後に活きてくるんじゃないかなと思います。
ご記入いただきましたライフラインチャートのこともお聞きしたいと思います。お互いのチャートはもちろん、他の先生のチャートについても気になるポイントがあれば教えてください。永瀬先生は昨年との違いとして非常に細かい「さざ波」のような線を描いてくださいました。
羽生 (他の方のチャートを見ながら)おお〜。へ〜。
永瀬 去年はコロナ禍で初めての1年でしたけど、自分としてはどちらかというと上手く対応できなかったほうかなという印象なんです。今年は去年を踏まえて、その中でどう過ごしていくかというのを去年のモデルから考えていました。
どの辺が「上手くいかなかった」と感じられたのでしょうか? タイトル防衛はもちろん、王将挑戦や挑戦者決定戦(挑決)など、結果の部分としてはとても上手くいっているように感じてしまいます。
永瀬 フフフ、難しいですね。「比べてしまうと」という感じなんですよね。やっぱり藤井(聡太三冠)さんのあの対応力を見てしまうと…。自分は足りなかったんじゃないかなと思います。
羽生 ここ1年くらいは重要なところで対局しているから、さすがに最近は、藤井さんとの練習対局とかはしてないんですよね?
永瀬 最近は「減った」という感じですね。「竜王戦」(挑戦者決定三番勝負)の期間中はなかったですね。
羽生 減った!? ええ〜そうなんですか、すごい話ですね! 近くに公式戦の対局があっても気にしない感じですか?
永瀬 両者はあまり気にしないです。
羽生 そうなんですか…。やっぱり世代の違いを感じます。
永瀬 ハハハ!
羽生 自分も研究会をやっていて、さすがにタイトル戦とか挑決で(研究会仲間と)戦うことが近づいてきたらなんとなくフェードアウトするんですよね。さすがにちょっと間をあけましょうかって。木村(一基九段)さんともタイトル戦で対戦したときは全くやりませんでした。味が悪くないですか?(※)

(※将棋用語で1手で複数のプラス効果が期待できる場合に味が良い手と表現する)
永瀬 最中は確かに…。そうですね…えーっと、「当たりそう」(お互いに勝ち上がったら対戦しそう)くらいでは気にしないです。フフフ(笑)。
羽生 おお〜。すごい…。
羽生先生は永瀬先生のチャートで気になるポイントはありましたか?
羽生 「棋聖戦の挑決で渡辺(明)名人に敗れる」というのは、かなり残念だったんですか?
永瀬 そうですね。内容は悪くなかったと思いましたので、それで結果を出せなかったのが残念だったなと思いました。持ち時間もそれなりにあったような気がするので、その中で崩れてしまったのがすごく残念でした。
羽生 終盤からお互いにごちゃごちゃして手が広くて、すごく難しい将棋でしたね。
永瀬 確かに選択肢が多かったので、「あや」がかなりあったような気がしました。
そのポイントが永瀬先生のこの1年で唯一のマイナスポイントでしたが、「王将戦」で敗戦されたことよりもマイナスに振れているのが印象的でした。
永瀬 敗退になった第6局は「無の境地」(※)だったのであんまり…。「順位戦」の翌日が移動日で本当に「無の境地」だったんです。千日手でしたし…(笑)、ハハハ。自分としては無我夢中で戦ったので、まあしょうがないという感じでした。

※「無の境地」という表現は藤井三冠のチャートを見た上での発言
他の方のチャートではいかがでしょうか? ずっとプラスにいらっしゃるのが渡辺先生、豊島(将之竜王)先生のお二人だけでした。藤井先生も基本的にプラスですが、唯一凹んだのが「王将リーグ3連敗」ということでお二人が関係していますが、若干しょんぼりしていらっしゃいました。
羽生・永瀬 お〜。
永瀬 「しょんぼり」していたんですか。珍しいですね。
羽生 永瀬さんが3局目でしたよね。あれはすごく良い将棋でしたよね。名局賞を獲ってもおかしくない。お互いの持ち味がすごく出た感じでしたね。
永瀬 持ち味、確かにそうですね。すごく難しい将棋でした。
羽生 広瀬(章人八段)さんは波が激しいですね。「お子さんか〜」! あ〜、なるほど。みんな個性が出ますね。
羽生先生は「東京五輪」の聖火リレーという大役も務められました。
羽生 1年延期になりましたし、公道を走れたので良い思い出というか記念になりました。トーチは軽いのでそんなに大変ではなかったんですけど、伴走してくださる方からペースの指示をされたり、段取りが結構いろいろあると思いました。実際は聖火リレーだけでなくてパレードみたいなんですよね。スポンサーカーがあって、ダンサーの方がいて、MCの方がいて、というのを体感できたのが面白かったです。
佐藤会長も京都府内を担当されていましたが、お二人で「聖火リレートーク」などはされましたか?
羽生 あ〜! そういえばまだ話してないですね。時期が離れていたので、「出ますか?」とかそういう話はしましたけど、終わった後はそういえば話してないですね。聞いておきます、感想を(笑)。無観客だったり、競技場内でのリレーだったり、場所によってやり方が全然違ったんですよね。

でも聖火リレーを担当されている運営スタッフさんはスタートの福島県から全国ずっと同じメンバーだったそうなんですよね。だから、埼玉県まで来ると残りは東京だけだったので「ここまでたどり着いた」という〝感無量〟感が伝わってきました。あれは大変だったと思いますよ。
「ABEMAトーナメント」についても伺っていきたいと思います。残念ながらお二人ともチームは敗退となってしまいましたが、印象に残っている出来事などはありましたか?
永瀬 今回の教訓は…。個人的には(視聴者からの)コメントなどで結構いろんなご意見をいただいて考えせられることが多かったです。「ABEMAトーナメント」は公式戦ではないとはいえ、自分自身としては勝負の機会なので、「楽しむ」というよりは「勉強」だと思っているんですね。

自分としては「真剣にやっている」という言葉が必要だったのかな、伝える作業が足りなかったのかなと思いました。見ている方にとって、自分の将棋に対する姿勢は「怖い」かもしれないですけど、自分はただ「真剣」にやっているだけなので…。いろんな見方の方もいるんだなと感じました。
羽生 永瀬さんがいつも真剣にやっているのは伝わっていますよ。
永瀬 増田(康宏六段)さんとは2年連続で組ませていただいて、屋敷(伸之九段)先生に入っていただいたんですけど、相手のチームも経験を積んできているので、勉強になることがすごく多かったです。
羽生先生は劇的な予選突破劇がありました。(※最後は羽生九段が2連勝しなければ予選を突破できないというプレッシャーの中、劇的な勝利を収めた)
羽生 予選の収録は1日でやっているので、流れというのがすごく大事なんですよ。間に休憩を挟まず、戦っていたほうがやりやすいんです。香盤表(※1日のスケジュールが書かれている表)が深夜までだったので長い1日でした。
永瀬 ハハハ!
羽生 あとは初めてTwitterをやったことですね。全然勝手がわからなくて、なかなか変換ができなくて…。自分で打ち込んでいるときにはちゃんと整列して改行して書いているんですけど、投稿すると変な配置になっているんですよね。なんでかな〜というのがたくさんありました。そういうのに遅れているので。
ご自宅にプロ(奥様)がいらっしゃると思いますが!?
羽生 いろいろ教えてもらいました。「これはこうすればできる」とか…。
永瀬 自分もリツイートの仕方がわからないんですよ。それが課題だなと思っています、ハハハ!
永瀬先生はTwitterを続けてくださることにされたんですね?
永瀬 Twitterを続ける明確な理由はひとつだけです。自分がツイートをすることによって、1日元気を出そうと思ってくれる方が1人でもいるなら、負担にならない限りはやりたいなと思っています。

自分がストレスになるようなツイートは絶対にしないので、「今日これを飲みました」とか、それだけでも喜んでくれる方がいるなら良い関係なのかなと思っています。今はコロナ禍という本当に大変な世の中なので、自分のツイートが少しでも誰かの気力につながるのであれば、自分としては意味のあることなのかなと思っています。
昨年のインタビューではドラフトで「(佐々木)勇気(七段)さんに手が伸びるようではダメなんです」とおっしゃっていまいしたが、今回はその勇気先生にやられましたね。
永瀬 勇気さんは1年を通してフィッシャーの練習をしていたんですよね。そこをメインに考えていたので、その実力差が出た感じだったと思います。研究会が10時から始まるとしたら、朝6時から研究会が始まるまで、フィッシャーの練習をしていたようです。付き合っていたのは伊藤(匠)四段だったようですけど、伊藤四段も「なんでもOK」みたいな子なので(笑)。朝6時だと、まだ暗いですよね。
羽生 体育会系ですねー。
永瀬 そうですね、ハハハ!
羽生 そういえば、佐々木勇気さんとは幼馴染みみたいな感じなんですか?
永瀬 そうですね、小さい頃から長い付き合いですね。
羽生 年も近いんでしたっけ?
永瀬 年は2つ違いです。勇気さんは私のことを「同じ年だと思ってる」と思いますけど。だんだん自分も「そうかもしれない」って思い始めてます…(笑)。
羽生 面白い! そういう感じなんですね。
永瀬 一番長い付き合いですね。18年くらいの長い付き合いですけど、彼はずっと変わらないのが良いところですね。元気いっぱいです、ハハハ!
同じチームでの活躍を見たいですが、来年の指名候補になったりは…?
永瀬 (とぼけた表情で)勇気さんは人気なんじゃないですかね〜?
羽生 指名しなさそうですね(笑)。
永瀬 ハハハ! 「永瀬は指名してくれないからな」って言われているので(笑)、そういう関係になっています。
羽生 佐々木勇気さんが書かれた横歩取りの本の中でも永瀬さんが主要人物かのように書かれていましたね。定跡書なのに永瀬さんの話がいっぱい出てくるという…(笑)。
永瀬 ハハハ! 我々の歴史書のようなところがあります。
羽生 研鑽の積み重ねの結晶のような、すごく良い本でしたね。
今回のテーマは「研究」にしています。一昨年ぐらいに藤井先生がハイスペックなパソコンを自作されて話題になりました。さらに昨秋に今度はDL系ソフトが強いと、先陣を切って導入されていました。それに続けと若手が高性能のパソコンに切り替え、満を持してトッププロである渡辺先生が130万円の現環境では最高クラスのCPU、GPU搭載のパソコンを購入されています。その波は若手のみならずベテランの木村先生も高性能のPCを購入したと「王座戦」前のインタビューで語っていました。

ここ数年、強いソフトが少しずつバージョンアップされてきたところに、これまでとは異なる評価値を指し示すDL系の到来で、また将棋界が大きく動きそうな何か新しい流れが来ているのかもしれないという空気を感じます。

ちなみに先生方はソフト以上に対人での研究から学ぶというイメージを抱いているのですが、お二人は高性能のパソコンをすでにお持ちでしょうか?
永瀬 高性能ってどれくらいのNPS(1秒間に盤面を読むスピード)を指すんですかね? 渡辺先生のはたしか8000万ですよね? それが今、最高レベルのパソコンなんでしょうね。自分はそこまでは持ってないですね。

併用はできないんですけど、パソコンは何台か持っています。「電王戦」時代の400万ノードくらいのもありますし、8000万のものは…現状一番上だと思うのでそれには及ばないですね。DL系ソフトは調整中です。うーん、なんと言っていいか難しいですが、あったほうがいいですね。
羽生 私は全然です。自分のパソコンは普通のものよりは速いと思いますけど、そんなに超高性能のものではないです。DL系ソフトの存在はもちろん知っていますし、ものすごく強くなっているということは聞いてはいますけど、それはハードとかも充実させないと意味がないと聞いているので、そこまではやっていないです。
渡辺先生に伺ったところ、パソコンの本体がめちゃくちゃ大きくて導入がものすごく大変とのことでした。
羽生 ええ〜! きっと個人宅で使うものではないんでしょうね。業務用というか。家庭用の電源で大丈夫なんですかね? 「電王戦」をやっていた時代も、将棋会館の電力量が跳ね上がっていたみたいですね。棋士も住む場所が限定されていくんでしょうね…、アンペアが足りて電気代が安いところ、という(笑)。なんの話をしているのかよくわからなくなってきた…。
永瀬 ハハハ!
羽生 せっかくだから永瀬さんに聞きたいんですけど、ソフトが強くなっているじゃないですか。ソフトが強くなる右肩上がりと、人間が強くなる右肩上がりって比例すると思います?
永瀬 全く比例しないと思います。
羽生 どんな関係になると思いますか?
永瀬 ソフトが示す手を人間が理解できる範囲というのは、基本的にあまり広がらないと思っているんです。暗記できる部分はあると思うんですけど、それって棋力は上がっていないと思うんです。ソフトの棋力を人間が取り入れることって、暗記などで限られた一部分だけを取り入れることはできると思うんですけど、知らない局面をアドリブで応用したりするのは、かなり難しい作業なんじゃないかなと思っています。
羽生 どんどんソフトが強くなっていって、人間が消えるみたいなことになるんですかね。今だと「言われてみれば、そういう手もあるかな」というのはあるし、何十手も進んでみないとわからない手もあるし、「その手は本当ですか?」というのもあるし、不思議ですよね。
若い棋士のほうが先入観がない分、取り入れやすかったりするのでしょうか?
羽生 そうでしょうね。私はバリバリのアナログ時代ですからね(笑)。いやー、もうありえないくらいのんびりしてましたからね。
羽生先生は現状では新しいパソコンやソフトにアップデートしていくという想定はされていらっしゃらないですか?
羽生 アップデートはします。公開されているものは、せっかく出してくれているのに活用しないのはもったいないので。さっき永瀬さんが話されたのと同じで、それをきちんと消化して吸収するのって相当大変な作業なので、そこがなかなかプロ棋士といえども簡単ではないですよね。
「dlshogi」が明らかに強いとわかれば、これからどんどん導入されていく方が増えていくのでしょうか?
羽生 専門の方が「これからは確実にそういう時代になる」と言っているので、1年くらいでそれ一色になっている可能性はありますよね。でもさらに1年くらいするとまた違うものが出てきてDL系を逆に駆逐している可能性もあるのが、AIの世界の面白いところですよね。
永瀬 フフフ。
羽生 「教師なし学習」(※過去の棋譜データベースなどを用いない方法)で強くなっているので、人間が全く介在していないものに、棋士が合わせていくのは大変な作業なんじゃないかなと思いますね。基礎のところを棋譜データベースで学習させていたら「ソフトの祖先は人間」みたいになるんでしょうね。でも最初からそういうものを一切なしで学習させていると全く別のプロセスで進化するので、それを人間が理解して取り入れるのは難しいかなという気がしますね。

ディープラーニングでいうと、トロント大(カナダの州立大学)のジェフリー・ヒントンという先生がディープラーニングの生みの親と言われているのですが、作った本人が「これで上手くいったのは大災難だ」って言ってるんですよ。本当はプロセスとかをもっと充実させたものを作りたかったのに、結果的に今のやり方で上手くいってしまってパフォーマンスも上がっちゃったから、自分にとっては「ふがいなくて残念なところがある」ということを言っているんですよね。

でも今はプロセスの部分が明快なものを作ろうとしている動きもあるらしいので、将棋界で新たなものが出てきても全然おかしくないんじゃないかなと思うんですよね。
プロ棋士にとっても将棋の研究がどんどん難しくなっていくのでしょうか。
羽生 100m走でウサイン・ボルト選手が9秒58のワールドレコードを持っていますよね。これを破る人は出てくるかもしれないけど、相当難しいですよね。でも将棋のほうはまだ伸びる余地があるんじゃないかなと思うんです。まださすがに「ワールドレコード」のレベルまではいっていないような気がしますが…って藤井さんがどうなるかってところですけど(笑)。
永瀬 ハハハ! そうですね(笑)。
羽生 どうですか、将棋の世界ではボルトみたいに9秒58が出ると思いますか?
永瀬 確かにどうなるか全く想像がつかないですね。
羽生 人間の知能のほうがまだ進歩の余地があるんじゃないかなと思うんですよね。わからないですけどね。肉体のほうが制限があるというのが、個人的な感覚なんです。脳ももちろん時間とか物理的空間の制限はあるんですけど、いろんな技術の革新とかを見ていると、スポーツの世界よりも、もっと伸びる余地があるのではないかなと感じるんですよね。
永瀬先生はご自身の研究の中でどのようにソフトを使われていますか?
永瀬 自分の指した将棋の検討がメインになるかなと思います。
近藤(誠也七段)先生はソフトで自分の将棋を振り返るのはそんなに「勉強」になるわけではないと話していました。渡辺先生もあくまで「興味」だと。お二人の考えはいかがですか?
永瀬 趣味ってことなんですかね? なるほど…。
羽生 へ〜…。やっていると(棋譜をソフトで検討していると)、同じ局面なのに違うことを提示されることありますよね?
永瀬 はい、ありますね。昨日と今日とでは違うことを“言う”という(笑)。
羽生 どういうことなんですかね。同じ局面の同じソフトだろーって翻弄されています(笑)。面白いですよね。
最近ではソフトの研究からいかに外して自分だけが知っている局面に持ち込むかが流行っている、というところにあると伺いました。
永瀬 渡辺先生と近藤さんはそういうのを得意にされている印象がありますね。でもあまり主流の手法ではない気がしています。2通りで、自分だけが知っている局面にして少し点差を下げてもやる方か、藤井流で相手の想定通り進んでも実力だという方と、だいたいこの2つに分かれてくると思います。
永瀬先生は藤井先生相手に去年の「王将リーグ」、今年の「竜王戦」の挑戦者決定戦で、珍しく振り飛車を採用されました。(※この2年で永瀬王座が藤井戦以外で振り飛車を採用した対局はない)いわゆる「藤井シフト」と捉えたのですが、藤井先生の序盤研究から外すという意味合いもあったのでしょうか?
永瀬 地力勝負になっても強いのは知っているので、ハハハ! 悔いが残らない将棋にはなるんじゃないかなと思いました。(「竜王戦」挑決では)悔いはなかったですけど、もう少しこちらに地力がないといけないなと思いました。ただ、自分としては内容とかパフォーマンス的にはそこまで悪くなかったのかなとは思うんですけど、上手く指されてしまったかなと思っています。
羽生 永瀬さんは元々振り飛車党だったですし、たまに採用してもあんまり違和感はないですね。
「棋聖戦」の振り返りインタビューで「去年の藤井さん(の指し手)はとてつもない精度だけど、今年はその差が縮まった印象を持っています」ということをお話されていました。7月頃のご発言だったと思いますが、そこから2カ月が経ち、「竜王戦」挑決を戦い、現在はどのように感じられますか?
永瀬 そうですね、「竜王戦」の挑戦者決定戦では、もうちょっと良い状態で指せればよかったんですけど、なかなか上手くいかないなという感じはしました。

うーん…。ただ藤井さんでさえ調子があるんだな、ということを思いました。藤井さんに調子は関係ないと言う方もいらっしゃったと思うんですけど。自分もそちら派だったんです。でも藤井さんでさえ調子はあるらしいんですよね。

今日のために羽生先生が書かれた『大局観―自分と闘って負けない心」(KADOKAWA)を読み込んできたんです。自分としては調子とモチベーションというのは近いと思っていて、両方メンタルの部分に近いのかなと思いました。
羽生 基本的に藤井さんの棋譜ってメンタルが安定していて、すごく不出来で一方的に負けるというケースはほぼない気がしますね。
永瀬 はい。ないと思います。
羽生 それは調子の出来とかではない?
永瀬 たぶん、指し手の選び方で難解な局面を指していると思うんです。それで時間がなくても良いところにいくとか、そういうところなのかなと思います。(藤井さんは)かなり細かいことを言っているんだと思うんですけど、大きく見るとそんなに調子が上下している印象は全くないです。
羽生 ああ、本人的にはすごく細かいところでの調子の上下はあるだろう、と。
永瀬 はい。一般的にはすごく繊細なことを言ってるんだと思います。
羽生 なるほど。
永瀬 自分だと小さなことでも、すごく大きなことに感じてしまうような気がするので。あと調子はどうにもならないときもありますよね。たぶんそれを示唆しているのではないかなと思います。まあ、チャートの「無の境地」をどう見るかという…(笑)。
羽生 ハハハ! 確かにずっと対局ですもんね。非公式のものも結構ありますからね。
サントリー食品インターナショナル株式会社主催の新棋戦(「SUNTORY 将棋オールスター 東西対抗戦」)も誕生しましたね。遠征が多いと、「今どこ!? 今日はなんの対局だっけ!?」となるような気がしてならないのですが…。
羽生 ああー遠征が多くなるとね、そうですね。将棋の世界って自分の体感だと、ここ数年のほうが(公務も対局も)詰まってきている感じがします。

私はそんなにたくさんやっていませんけど、全般的にここ10年くらいを見てもすごくせわしなくなって、スケジュールを組んでいくのが大変になっていると思います。藤井さんはその先端で一番やらないといけないから、大変だと思いますね。今はコロナ禍だからイベントとかはないんですけど、それでこの状況だから、通常に戻ったら…大変ですよ…。影武者が必要になるかも(笑)。
永瀬 影武者、ハハハ!
羽生 くまモンみたいに…(くまモンのように手を振りながら)。
今の時代だと「バーチャル藤井聡太」とかも誕生するかもしれないですね。
羽生 あ、バーチャル! そうですよ、確かにこの時代なんだから3D藤井さんね!
永瀬 ハハハハハハ!
モチベーションというか、いわゆる調子が悪いと思ったとき、意識的に何か対処されるのでしょうか?
永瀬 ……。それがわかったら苦労していないと思います…(笑)。でも調子が悪いということは、自分から見て(10点満点で)6だったものが5.5くらいになるとそう感じると思うんです。難しいんですけど…。現状維持は退化だと思っているので、保守的になってしまうと、そういうことが起こり得やすいのかなという印象が最近あります。

正確には「現状維持」って、自分としてはちょっと上の位置に状態を置くことを言っているんですね、5じゃなくて5.1とか。でもそれをし続けているとかなり保守的になってしまっているような気がするのかなと思いますね。
羽生先生も以前に「年齢を重ねていけばいくほど、意識的にギラギラしないといけない」というご発言がありましたが、それに近い感覚でしょうか?
羽生 そういう気持ちは大事ですよね。向上心というか…。年齢を重ねると手ごたえを感じるのが難しくなってくるというのは間違いなくあるんですよね。将棋を覚えたての頃は強くなっていくのって明らかに手ごたえがあるんですよ。「美濃囲い覚えた!」とか、なんだかそれだけですごく強くなったような手ごたえがあるんですけど、長くやっていると「これをやったからすごく手ごたえがあって、強くなっている」というのが、実感しづらくなっていくんです。その中でやっていく難しさというのは間違いなくありますね。
トップ棋士であればあるほど、その「0.1」の積み上げがいかに難しくなるのかというのは想像のレベルでも非常に難しいことがわかります。
羽生 この部分的なスキルが上がると、違うところが下がる、というのもあります。そういうジレンマのようなものもありますね。総合的なものを上げるというのは結構大変かなと思っています。
永瀬先生が以前からお話してくださっている「将棋の能力の五角形」のお話ですね。1カ所だけ強くなってもそれは変化だと。全ての能力を上げていかなければ強くなっていることにはつながらないと教わりました。
永瀬 そうですね。何か変化させると結果が出るような気がするんですけど、強くなっていないと意味がない気がしているんですよね。総合力を上げるのは大変で難しい…。ただ横で上げている人を見ているので…ハハハ(笑)。
羽生 ハハハ!
永瀬 上げている人を見ているので上げる方法はあると思うんですけど、自分に適した方法を見つけられるかどうかというところと、柔軟性だと思います。
豊島先生は象徴的ですが、タイトルホルダーらトッププロも全体的に研究会やVSという対人ではなくソフト研究、という流れに対して、永瀬先生のみ別のやり方で鍛錬を続けております。そこは何かお考えあってのことなのでしょうか?
永瀬 元から自分は多いほうだと思うんですけど、研究会はやっぱり面白いんですよね。本当にすごく地力の高い方や特徴を持った方とかと将棋を指すと、それをどうにか吸収できないかなと思ったり。自分としてはドーパミンというか刺激を与えてくれる人と将棋を指せると「良い1日だったな」と思えますね。
タイトル戦前日になる移動日の朝も研究会をやってから電車に乗るということもあったと伺っています。
羽生 ええー!
永瀬 朝練という形になるんですけど、付き合ってくれる人がいることがありがたいです、フフフ。
永瀬先生が他の先生方を鍛えているイメージがあったのですが、決して一方通行ではないんですね。
永瀬 指されている方がどう感じているかわからないんですけど、相手から得るものがあると思ってやっています。若手でも自分から見たら特殊能力というか、いろんな個性の方がいて面白いなと思っています。
羽生 永瀬さんは蒲田(東京都)の道場で後輩に教えたりすることを続けているというのを記事で読みました。かなり若い頃から定期的に続けているそうですね。後進の子たちを育てたいという意識があるんですか?
永瀬 あ、それは全くなくて…(笑)、みなさん付き合ってくれてありがたいという感じです。蒲田の道場は年長が年下と指すという文化があるんです。自分が奨励会入会くらいの頃、三段だった広瀬(章人八段)先生に指してもらったことが本当にありがたくて、すごく記憶に残っています。そういうところは良い文化だなと思っています。
羽生先生にとっての研究会の位置づけはどんな感じなのでしょうか?
羽生 自分もものすごく勉強になることが多いです。公式戦は公式戦で勉強になりますけど、研究会は研究会で違った部分でためになることが多々あります。

永瀬さんは実戦をたくさん指して、研究会もたくさんして強くなりましたけど、例えば10歳くらいの子でソフトとだけひたすら将棋を指し続けて、人間と指すのは奨励会だけといった環境の子がいたとしたら、強い棋士って生まれると思いますか?
永瀬 生まれると思いますけど、100人のうち10人くらいなのかなと思ってしまいます。
羽生 万人受けするような、あまり良い方法ではないということですか?
永瀬 向き不向きがかなり出やすいのかなと思います。イメージとしてはある程度までこれまで作られてきた道が敷かれていると思っているので、そこまではその道を使ったほうがいいんじゃないかなと思っています。

それ以降どうするかですよね。ただ最初からソフトだけのほうが今までとスケールが違うので伸びしろが多いのかもしれないですね。自分の体感としては、100人のうち1割未満なのかなと思っています。
羽生 1割! ギャンブルじゃないですか!(笑)
永瀬 フフフ。ですね。自分の子どもの頃は向いてなかったと思います。
羽生 私も全然どうなるかわからないんです。でもそういう人が出てきてもおかしくないんですよね。人間とは指さないという(笑)。そういうの、すごく興味があるんですよね。でも、1割未満だとしても…
永瀬 ゼロではないんです。
羽生 そこが大事なことなんですよね。でももしそのやり方が当たったとき、すごいことになるかもしれないんですよ! とんでもなく強いんですよー!
黒沢(怜生六段)先生が解説時に永瀬先生は将棋の勉強を年間5000時間、それを20年間されていると話しておりました。計算すると1日13時間を超えるぐらいになります。さすがに盛ってるかなと思ったんですけど、永瀬先生なら本当かも…と信じてしまうのですが、実際のところどうなんでしょうか?
羽生 13時間…!
永瀬 計算してみましょうか? 1日13時間いっているか、ですよね。ちょっと時間もらえれば…。
羽生 本当に考えている(笑)。
永瀬 体感としては若干足りていない気もするんです。……(計算中)。
羽生 寝てる時間とご飯食べる時間ありますよね!? 司法試験とかを受ける人でもさすがにそこまで勉強しているかわからないですよね。
永瀬 13時間まではいってないかもしれません…。ただ、藤井さんはそれにかなり近いと思います。すごい方なので…。
羽生 逆に丸一日全く将棋のことを考えない日ってありますか? 駒に触れなくても頭の中で考えることはできると思うんですけど、今日は丸一日将棋のことを考えなかったなーという日って今までありましたか?
永瀬 睡眠時間を除いて丸一日というのは今までは…。3時間くらいはありそうなんですけど…。
羽生 出かけなければいけないとか用事があるとか、そういう日もありますよね。
永瀬 そういう日もありますが、そういう環境に数年なっていないような気もします。移動日とかもできるだけ朝練を入れるようにしているんですけど、そういう日は10時間にも及ばないような気もします。
最後にいよいよ開幕する「王将リーグ」への意気込みをお願いいたします!
永瀬 自分の初戦が10月1日で、まだ時間があります。どこを見ても強い方ばかりですので、しっかり準備をして良い内容の将棋を指したいと思います。
羽生 今年もすごいメンバーで充実している人ばかりなので、自分なりのしっかりと良いパフォーマンスを発揮したいと思います。(了)

「王将リーグ『将棋研究2.0』」特集一覧

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、羽生善治九段×永瀬拓矢王座のサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2021年9月19日(日)12:00〜9月25日(土)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/9月27日(月)
    当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから当選者様宛に個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから9月27日(月)中にダイレクトメッセージでご連絡させていただき、9月30日(木)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選にかかる権利を無効とさせていただきます。
    賞品の発送
  • 賞品の発送はキャンペーン終了後、9月内に予定しておりますが、都合により多少前後する場合があります。予めご了承ください。
キャンペーン規約
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    ・応募は20歳以上の方に限ります。
    ・応募は日本国内在住の方に限ります。また、賞品の発送先も日本国内に限ります。
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