“食品ロス”に取り組む「賞味期限切れスーパー」。赤字経営でも続けるそのワケとは?
半額や9割引は当たり前。有名メーカーのお菓子やレトルト食品など、賞味期限切れの商品がズラリと並ぶ――。

そんな異様な光景が広がるスーパーマーケットがある。賞味期限切れが迫った食品を買い取り、品質に問題のないものだけを“激安価格”で販売する
「エコイート」
だ。
関西を中心に全国13店舗を展開
世の中のソーシャルグッドな活動を、ライブドアニュースの看板犬「ドアふみ」が取材するこの企画。今回は、エコイートを運営し、「食品ロス」の解決に奔走する高津博司さんに話を聞いた。

コスパ、ヤバすぎ! 「賞味期限切れスーパー」の衝撃

ドアふみくん、先日は「エコイート」の町田店に来てくださったようでありがとうございます!
こちらこそだぜ。まずは読者のみんなに「エコイート」の価格破壊っぷりを紹介するぜ。
商品の希望小売価格は1個246円
賞味期限が10ヶ月ほど過ぎている
ペットフードや日用品なども販売
まるで天国みたいだったぜ。いま思い出しても興奮するなぁ…。

賞味期限切れでも大丈夫? 安心・安全の見極め方とは?

そもそも「賞味期限切れ」のものを売っていいのか?
はい、その点は心配いりません。まずは、「賞味期限」と「消費期限」の違いを知っていただくことが大事かなと思います。

「賞味期限」とは「品質が変わらずにおいしく食べられる期間」のことです。

あくまで各メーカーが定めた“目安”でしかなく、その期日を過ぎたからといって味や品質がただちに落ちる訳ではないんです。
ふむふむ。
一方で、「消費期限」は、「安全に食べられる期限」のこと。この日付を過ぎたら危険というものです。

お弁当など、傷みやすい食品に表示されていますので、基本的には、エコイートで取り扱うことはありません。
農林水産省ホームページ(2016年)より引用
ということは法的にも問題ないのか…?
はい、問題ありません。人の健康を害したり、食中毒などを起こしたりするものを売っているわけではありませんので、法律に違反するというわけではないんです。

特にエコイートの場合は、廃棄される予定の食材を買い取った中から、安心でおいしく食べられる食品のみを陳列しているのでご安心ください。
商品に不安な点があれば、店員がていねいに説明してくれる
なるほど、いろいろ謎が解けたぜ。

お客さんも、食品メーカーも、地球も、みんなうれしい

そもそもなんでこのスーパーをやろうと思ったんだ?
これまで商社を経営するなかで、賞味期限切れによって大量の食品が廃棄されるのを目にしてきました。

そういった“訳あり商品”を集めて格安で提供できたら、みんなによろこんでもらえるんじゃないか。そう思ったのが「エコイート」を始めたきっかけです。
一般的なスーパーと同じような品揃え。「宝探し感覚」で来店する客も多いのだとか
この店に並んでるものが全部捨てられてたかと思うとゾッとするな…。ナイスアイデアだぜ。
我々が賞味期限切れ間近の商品を買い取ることで、食品メーカー側は廃棄にかかるお金をカットできますし、お客様は、通常よりはるかに安い価格で購入できるようになります。

さらには、「食品ロス」の削減にもつながるという仕組みです。
天才だぜ! こんなお店がもっと広がるといいな。

「食品ロス」と「食料不足」。その凸凹を平らにしたい

それにしてもひっきりなしにお客さんが入っていたし、かなり儲かってそうだな…。
いやいや、はっきり言って赤字です…。

実は、スーパーで商品を売るだけでなく、児童養護施設に食料支援をしたり、コロナの影響で仕事を失ったシングルマザーなどの生活困窮家庭への支援を行ったりしているんです。
そんなことまでしてるのか…。
要望があれば食料を無償で送っているんですが、その送料ももちろん自腹です。先日は、土日の週末だけで70件ほどの申請がありました。

スーパーの経営はそっちのけで、そういった支援の方に時間とお金を割いています。
赤字なのに、なんでそこまでできるんだ?
子どもたちの笑顔に出会ってしまったんですよ。

あるとき賞味期限切れ間近のお菓子を児童養護施設に届けたら、子どもたちが満面の笑みでよろこんでくれて。同時に、お菓子すら食べられない子どもたちがこんなにいるのかと驚きました。
たくさん食料が廃棄されてるのに、なんだかおかしな話だな。
そうなんです。食品がこんなに余っている一方で、今日のご飯を食べられない家庭がたくさんある。そういった凸凹を少しでも平らにできたらなと。
素晴らしいぜ。あまりの安さに浮かれてた俺…、反省だな。
いやいや、どんどん買ってください(笑)。ようやくエコイートの売上も上がってきて光が見えてきたところなんです。なんとしてでも成功させたくて…。

きちんとビジネスとして持続可能なものにすることができれば、エコイートがもっと話題になって私たちの活動をより多くの人たちに知ってもらえますから。
賛同してくれるメーカーやお客さんがどんどん増えるといいな。これからも応援してるぜ。

ドアふみが「エコイート」で爆買いする様子はレポート漫画で!

「ドアふみの社会科見学」は、毎回漫画にもなるんだぜ。今回は「エコイート」で買い物した様子を描いてもらったんだ。合わせて読んでくれよな。
今回の取材先:
食品ロス軽減ショップ「ecoeat」(エコイート)
廃棄予定の飲料や食品を買い取り、その中から賞味期限の残りにかかわらず、安全かつおいしく食べられる食品を販売するスーパーマーケット。売り上げから福祉施設や各支援団体、生活困窮者への支援を行なっているため、商品を購入することが「食品ロス」を減らし、生活困窮者を救うことにつながる。食料支援に関するお問い合わせは公式サイトから。
取材・文/ドアふみ
撮影・ドアふみの手伝い/編集部
漫画/あね子