張は1932年のロサンゼルス大会と1936年のベルリン大会の2度にわたり、日本代表選手として五輪に出場した。企画展ではパネルや複製写真、手紙、動画などを通じて、張の功績とその背景を紹介する。国立歴史民俗博物館(千葉県)で3月まで約2カ月間にわたって開かれた特集展示「東アジアを駆け抜けた身体 ―スポーツの近代―」の一部をベースにしており、今回の企画展は同館と台湾文化センター、国立台湾歴史博物館が共催した。
謝長廷駐日代表(大使に相当)は開幕式のあいさつで、台湾と日本はある一時代において歴史を共有していると述べ、共有している歴史は日本人、台湾人共に知る必要があると語った。
国立歴史民俗博物館の樋浦郷子・研究部准教授は取材に対し、張が生きていた時代の歴史はより多くの人が知るべきだと言及。張について知る日本人は現在はほとんどいないと指摘し、その原因は張がメダルを獲得していないことや、日本人が以前の植民地を積極的に忘れようとしていることにあるとの見方を示した。その上で、現代の人々は張の人生を通じて、自分たちがいったい何を記憶し、何を見逃しているのか理解することができると話した。
「世界を駆け抜けた台湾人アスリート:張星賢」は現時点では6月中旬までの開催を予定している。「東アジアを〜」は台湾に場所を移し、国立台湾歴史博物館(台南市)で7月14日から11月7日まで開かれる予定。
(楊明珠/編集:名切千絵)