2021年2月12日辞意表明する森喜朗元会長(画像:REUTERS / POOL - stock.adobe.com)

 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の会長だった森喜朗元首相の発言が女性蔑視であると国内外から批判がなされ、辞任する結果になりました。森氏は当初発言の撤回と謝罪をしつつも「辞任する考えはありません」と逆ギレ会見を行ったり、元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏を自宅に呼んで後任に指名したりと、すったもんだの大騒ぎを演じました。

 この森喜朗騒動とはいったい何だったのでしょうか?『世界一周ホモのたび』などの著者で、能町みね子さんの友情結婚のパートナーであるゲイライター・サムソン高橋さんに、読み解いてもらいました。(以下、サムソン高橋さんの寄稿)

◆森喜朗が総理だった頃、私たちにとっては優香のような存在だった

 女子SPA!から、今さら森喜朗について書いてくれという依頼があった。いつものごとく依頼があって一ヶ月ほど経ってしまったので、なおさら今さら感が強くなっている。

 前回女子SPA!で書かせていただいた題材は小池百合子だった。
 私の肩書は「ゲイライター」となっているが(実際はほぼ無職)、もはや、「政治ライター」と改めても、誰にも文句は言われないのではなかろうか?

 さて、そんな政治ライターの私にとって、森喜朗の存在とは、あくまでセクシーアイドルだった。

「この人、狂人かな?」と思った方が大半とは思うが、説明させてほしい。ゲイの世界で「親父」「熟年」「デブ」「太目」は数あるモテ条件のひとつなのである。

 全盛期で5誌ほど存在していたゲイ雑誌の中で、私が編集者として所属していた『サムソン』はそういう系統を専門に扱う雑誌だった。ゲイの5分の1ほどは、そういうタイプを好むのである。ノンケの世界で、体重100?以上じゃないとダメとか、せめて還暦は超えていてほしいとか、もちろんそういうご趣味の方々もいるとは思うが、かなりニッチな存在であろう。LGBTの多様性に震えるがいい。

 ちょうど20年前あたりだろうか。森喜朗が総理大臣に任命されたときは、私たち(フケデブ専ホモ)にとっての彼のセクシーアイドルっぷりがピークに達していたころだった。前々から注目していたグラビアアイドルが全国区ゴールデンタイムに登場したのだ。当時の森喜朗の存在は、同時代だと誰だろう、そう、私たちにとっては優香みたいな感じだったといえばおわかりいただけるだろうか。LGBTの多様性に震えるがいい。

◆当時から「この人バカだからすぐ辞めるだろうな」という雰囲気

 私は勇んで彼の魅力をフィーチャーした記事を『サムソン』誌上に書いた記憶がある。

 添えた写真は確か、ラグビーボールを抱えるラガーマンに扮した森首相。ラガーシャツに覆われた胸板の厚さと腹の出っ張り、たくましい四肢、そして白い短パンの中に隠された股間のふくらみについて重点的に語ったはずだ。先ほど「この人、狂人かな?」と思った人の感想は、なかなか当たっているとしか言いようがない。

 記憶が正しければ、その記事の最後で私は「バカだからどうせすぐ辞めるだろうけど、がんばってね!」と結んだはずだ。
 実に失礼な話である。まあ、マイナーゲイ雑誌が時の総理に暴言を吐いても文春の5億分の1ほどの影響力だったとは思うが。

 しかし果たしてその通り、森喜朗は重なる失言やまずい対応のため、一年ほどで退陣したのであった。さすが私だ。現在の政治ライターの片鱗を見せている。 というか、はっきりいってしまうと、当時から「この人バカだからすぐ辞めるだろうな」というのは、わりと世の中に充満していた雰囲気だったのである。実直だけどバカ。悪い人ではないけど頭は悪い。すぐになにか考えの足りないことをしでかしそう。なんでこんな人が総理になったのか。20年前よりももっと失礼なことを書いてる気もするが、女子SPA!の影響力も文春の5万分の1くらいだと思うので気にしない。