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連敗を「4」でストップ

 プレミアリーグ第26節、シェフィールド・ユナイテッド対リバプールが現地時間2月28日に行われ、0-2でアウェイチームが勝利している。リバプールはこれでリーグ戦の連敗が「4」でストップ。特別な重みのある勝ち点3を手にした。希望を与えたのは、若きMFだ。(文:小澤祐作)

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 試合後、ユルゲン・クロップ監督は笑顔で選手たちを讃えていた。最下位シェフィールド・ユナイテッドから勝利を奪ったことは、力の差を考えても必然の結果と言えるかもしれない。しかし、リーグ戦4連敗中だった王者にとっては、相手がどこだろうと勝ち点3を奪うことが何より大事だった。そういった意味でこの一勝の重みは、リバプールにとって特別なものとなったはずだ。

 ブラマル・レインでの最終スコアは0-2となったが、リバプールからすると決して楽なゲームではなかった。シェフィールドはリーグ戦3連敗中でチャンピオンシップ(2部)降格が現実的となっているチームだが、昨季プレミアリーグ王者に対し非常に粘り強く戦っていた。

 リバプールはフィルジル・ファン・ダイクを筆頭に、ジョー・ゴメス、ジョエル・マティプなど守備陣に離脱者が多く、彼らの代役を担っていたファビーニョやジョーダン・ヘンダーソンも負傷離脱している状況。そんな中、シェフィールド戦ではナサニエル・フィリップス、そして今冬新加入のオザン・カバクがセンターバックコンビを組んでいる。

 シェフィールドの攻撃は徹底していた。ボールを奪ったら素早く縦に放り込み、188cmの長身を誇るオリバー・マクバーニーにエアバトルを仕掛けさせる。そこでこぼれたボールをしっかり回収し、リバプール守備陣を押し込んでいた。事実、マクバーニーの空中戦勝利数は断トツの12回というデータが出ている。

 それに対しカバクとフィリップスの両者は空中戦でこそ何度か強さを示していた。しかし、連係面の不足は否めず、29分の場面では一人に対し二人がアタックに行ってしまうというミスも犯している。ここではボールを弾き返せたので大きな問題にならなかったが、もしボールが抜けていれば大ピンチだった。

 また、カバクは前節エバートン戦同様、自身の背後を取られるシーンが目立っている。トルコ人DFはまだ加入したばかりであり、マークの受け渡し等、周りの選手とのコミュニケーションがなかなかうまくいっていないのは明らかだった。このあたりは、今回の試合におけるわずかな不安要素だったと言えるはずだ。

マネとフィルミーノがかく乱

 と、リバプールは守備面でこそ若干の不安定感を露呈してしまったが、攻撃の狙いとその精度という意味では、やはりシェフィールドを大きく上回っていた。

 リバプールはスタートフォーメーションこそ4-3-3だったが、攻撃時は基本的に4-2-3-1の形になる。ただ、左サイドバックのアンドリュー・ロバートソンは高い位置に固定されていたが、右サイドバックのトレント・アレクサンダー=アーノルドは低めに位置し、相手の2トップに対し3バックを作るような形でビルドアップ時の配給役を担っている。事実、この日最も多くボールに触れていたのがアレクサンダー=アーノルドだった(124回)。

 リバプールは立ち上がり、サディオ・マネやモハメド・サラーの走力を生かそうとロングボールを多用している。しかし、彼らのスピードを警戒してシェフィールドの最終ラインが下がってからは、ショートパス主体の攻撃を展開した。

 攻撃時はマネが最前線に入り、ロベルト・フィルミーノがトップ下、カーティス・ジョーンズが左に流れ、右はサラーというのが基本。ただ、マネとフィルミーノは頻繁にポジションを入れ替えて相手のマークをかく乱している。5-3-2で守るシェフィールドの最終ラインは深く、チアゴ・アルカンタラとジョルジニオ・ワイナルドゥムが相手の中盤を引き付けているので、マネとフィルミーノの両者はよくライン間のスペースを使用することができていた。

 10分の場面ではマネが相手を背負いながら空中戦で競り勝ち、その背後にスプリントで抜け出したフィルミーノがGKアーロン・ラムスデイルとの1対1を迎えている。さらにその7分後にも、マネのポストプレーからフィルミーノが相手最終ライン裏を突くシーンがあった。

 64分の追加点の場面では、フィルミーノとマネがライン間でパスを交換し、最後は背番号9が敵に囲まれながらも巧みにキープしてシュート。これがキーン・ブライアンに当たってゴールへ吸い込まれている。結果的にこれはオウンゴールとなったようだが、ほぼフィルミーノの得点と言っても過言ではない。

 このように、オフェンス時において縦関係にあるマネとフィルミーノは抜群の呼吸でシェフィールドに的を絞らせていない。その他にも様々な要素はあるが、基本的にはここがリバプールの攻撃が活性化した大きなポイントとなっていた。

若きMFが躍動

 そのマネやフィルミーノにも劣らぬパフォーマンスを見せたのが、17番を背負うカーティス・ジョーンズだった。

 リーグ戦4試合連続のスタメン入りとなった20歳の若者は、シェフィールド戦で嬉しい今季プレミアリーグ初得点を記録している。相手の弱くなったクリアボールが自身の下へこぼれると、冷静にダイレクトシュートし、それまでビッグセーブを連発していた守護神ラムスデイルの牙城を崩している。

 C・ジョーンズは当初こそトップチームでやや遠慮しがちなプレーも見られていたが、現在は出場時間も増え自信を得たのだろうか、周りに負けないような積極的な姿勢が目立つようになっている。185cmという長身、そして技術力の高さを生かしたキープ力は抜群で、中盤で時間を作ることを難なくやってのける。さらに、ペナルティーエリア内へのランニングの質も極めて良い。

 また、この男はよく走る。このシェフィールド戦でも、前半45分間で最も多く走っていたのはC・ジョーンズというデータが出ている。攻撃時は左サイドに流れるだけでなくマネとフィルミーノの立ち位置に応じて中央に入ったり、守備時は素早い切り替えでロバートソンの上がったスペース等を埋めるなど、精力的に働いていた。

 クロップ監督は「彼には多くの可能性がある。ポテンシャルは並外れているよ。今週も多くの話し合いの場を持ち、ビデオセッションも行った。彼はボールの扱いが上手く、コントロールも良い。だけど、決定的な場面でもっと活躍しなければならないことを伝えたよ。今夜はそれがうまくいったことに満足している」と賞賛している。

 アカデミー出身であるC・ジョーンズの活躍は、怪我人続出中と苦しい状況にあるリバプールを今後も明るく照らすはずだ。更なる成長に期待したい。

(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作