そんなに食べ続けても飽きないのはなぜなのか、聞いてみました!
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○部位によって味が変わる
幼いころ、毎日のように食卓にのぼったのは、さばの水煮缶だった。
ごはんの上に身をのせ、しょう油をたっぷりかけると、それだけでごはんが進んだ。
腹の脂っこいところ。背身の引き締まったところ。ほろほろ崩れる中骨。部位によって味が変わるのも好きだった。
幼い頃にひんぱんに食べたものは、その反動で大人になってから嫌いになることが多いらしい。
でも僕は、いまだにさば水煮が大好きであります。
○冷凍原料は不使用
例えば、宮城県石巻市の「木の屋石巻水産」が造る彩・金華さば水煮。スタンダードな金華さば缶(600円)よりも小振りのさばが使われるけど、脂の乗った最良の個体を使うのは変わらない。
朝に水揚げされたさばを、その日のうちに生詰めする(つまり冷凍原料は使わない)のも特徴だ。
そうして愛情込めて造られたさば缶だから、あだやおろそかには扱えない。ひと口大にカットして、お気に入りの皿に盛りつける。これで1缶の半量くらい。
○チューブわさびじゃもったいない
この日のために用意した本物のわさびをすりおろす。すなわち、金華さばをわさびしょう油で味わおうという魂胆であります。
何しろ高級ブランドの金華さば、チューブわさびじゃあもったいない。
いや、本当はチューブわさびもよく使うんだけど、たまにはこうして本物を使いたいじゃないですか。
さばの上にわさびをトッピングして……。
かくのごとし。とある昼ごはんの風景であります。
しょう油をかけてからひと口分を取り上げ、白ごはんにOn。間髪を入れず口中へIn!
さばに臭みがないのがすごい。さすが冷凍原料不使用であります。
しょう油をかけたのは、しょう油とさばの脂が混ざった風味が個人的に好きだから。わさびの清涼な香り、辛味まで加わって、まさに口福。
さば水煮缶のもっとも好きな食べ方が、これなのであります。さらにここにオリーブ油をかけてもウマい。そうなると生野菜に合うので、いっそサラダにする手もある。
わさびしょう油ではなく、ポン酢しょう油もいける。しょう油系はいっさい使わずに柑橘(ゆずとか)の果汁をたっぷりかけても美味。もともと塩味は付いているのだ。
ということで、さば水煮缶はちょい足しの味変(あじへん)だけで飽きることがない。まさに常備食なのであります。
缶詰情報
木の屋石巻水産/彩・金華さば 170g 税込み480円
同社直販サイトで購入可
缶詰博士 かんづめはかせ 昭和41年福島県生まれ。公益社団法人・日本
缶詰協会認定の「
缶詰博士」。世界50カ国以上・数千缶を食している世界一の
缶詰通。ひとりでも多くの人に
缶詰の魅力を伝えたいと精力的に取材・執筆を行っている。テレビやラジオなどメディア出演多数。著書に「旬缶クッキング」(ビーナイス/春風亭昇太氏共著)、「
缶詰博士が選ぶ!『レジェンド
缶詰』究極の逸品36」(講談社+α新書)、「安い!早い!だけどとてつもなく旨い!缶たん料理100」(講談社)など多数。公式ブログ「
缶詰blog」とFacebookファンページも公開中。 この著者の記事一覧はこちら