「日本を代表するような選手になりたい。いずれ海外でも活躍できる選手になっていきたい」。堂鼻が掲げる目標は高く、海外進出。これまで多くのJリーガーを育ててきた望月監督が、「福島から世界へというくらいの選手になってくれると期待している」と太鼓判を押す選手だ。
持ち味は粘り強さを活かした対人の強さ。神戸U-18時代に磨いた足元の技術も一定以上で奪ったボールを正確に攻撃へ繋げることもできる。びわこ大に入学してからは、すぐに定位置を掴み、1年目は新人賞を受賞。早くからJのスカウトに注目されてきた。湘南とスカウトと強化の提携を行う福島も、湘南の牛島真論スカウトからの情報を得て、早くから獲得候補に堂鼻を入れていた。だが、昨年はコロナ禍の影響で視察すらも、ままならない。例年ならば夏に行われる練習参加もシーズン終盤までズレこんだが、その際に福島のエースであるナイジェリア人ストリカーのイスマイラと渡り合ったこと、そしてCBでだけでなくボランチもこなせる点が評価され、獲得オファーが届いた。
福島県にJ2の試合を行えるスタジアムが一つもないため、現時点ではJ2への昇格はできない。そのため、竹鼻GMは「クラブとしては選手を獲得する際にウチで終わるのではなく、ウチで活躍して(個人として)J2、J1を目指していこうと伝えている。獲得する選手は、ユナイテッドで試合に出るだけでなく、ステップアップできるポテンシャルがあるかも判断材料。堂鼻選手はプロのスピードに慣れ、もう一つストロングポイントが必要だと思うけど、十分ステップアップが狙える選手。開幕のピッチに先発で立てるよう期待している」と口にする。
「彼はサッカーだけでなくゼミの活動もよくやっていると聞いていました。伸びていくには色んなことを一生懸命取り組み、継続するのが大事。彼はそうした姿勢を持っている」。望月監督の言葉からも分かる通り、自身が成長するために何事に対してもコツコツ努力できる点も彼の強み。攻撃的な選手が多い福島において、彼のように守備を強みとする選手は少なく、即戦力としての活躍と更なる成長が期待できる。堂鼻は「チームとしては攻撃的なサッカーをするのが魅力だと思っているので、自分もピッチに立って攻撃的なサッカーを体現できるよう頑張りたい。良い攻撃に繋げるためにも、守備でチームに貢献したい。特徴では絶対に負けないという自信を持って頑張りたい」と口にした。
会見には、1学年先輩で福島に進んだMF青山景昌も参加。「ここからが勝負だと思うので、良さを活かして頑張って欲しい。僕も堂鼻に負けないよう頑張ります」とエールを送った。また、別室から参加したびわこ大の後輩たちからの質問も飛び出した。DF森昂大(3年=松本国際高)からの「一緒にプレーした3年間で一番印象に残った試合は?」という質問に対しては、「怪我を乗り越えて復帰した関西福祉大戦が印象に残っている。試合ができた喜びと復帰戦でゴールできた喜びを感じた」と返答。高校と大学で後輩だったMF泉柊椰(2年=ヴィッセル神戸U-18)に求められた後輩へのエールに対しては、「コロナが流行ってサッカーができない時期が来るかもしれないけど、自分の夢や目標を高く持って頑張って欲しい」と答えるなど、和やかな雰囲気での会見となった。
(取材・文 森田将義、写真提供 福島ユナイテッドFC)