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新R25
【ROLAND(ろーらんど)】1992年生まれ。18歳でホストデビュー。2018年には月間6000万円を個人で売り上げるなど、数々の伝説をつくり「現代ホスト界の帝王」と称される。現在は現役ホストを引退し、飲食業・アパレル業など複数の事業を展開している
生き様と名言で若者の心を揺さぶる、現代ホスト界の帝王・ROLANDさん。28歳にして、株式会社ROLAND GROUP HD 代表取締役としていくつもの事業を展開し、成功されている印象が強いROLANDさんですが…ホスト漫画の金字塔『夜王』の井上紀良先生が、ROLANDさんの高校時代以降の生き様を描いたドリームタッグな漫画『ローランド・ゼロ』(発売直後ながら10万部突破の大ヒットを記録!)には、新人時代、さまざまな苦難に直面するROLANDさんの姿が。現在の活躍ぶりや佇まいからはもはや悟りを開いているようにすら思えますが、新米リーダー時代にはがっつり「リーダーのつらみ」を経験されていたそうで…?〈聞き手=サノトモキ〉
サノ:弱冠21歳で店舗の代表取締役に抜擢、その後現代“ホスト界の帝王”の名を欲しいままに、数々の事業を立ち上げ現在に至る…まさに“完璧なカリスマリーダー”という印象のROLANDさんですが、「リーダーとしてのつらさ」を感じる瞬間なんてあるのでしょうか?
ROLANDさん:ありますよ。トップに立ったものにしかわからない……蚊か???(めちゃくちゃイケボで)
やたらとROLANDさんの顔回りを飛び回る無礼な蚊がおりました
ROLANDさん:蚊にも好かれる…たぶんメスですね。
サノ:(いきなりのROLAND節すぎる)
ROLANDさん:…失礼。リーダーにしかわからないつらさの話ね。トップと二番手以降で決定的に違うのは、“評価のされ方”。たとえば、上司に「今回の仕事、99点だな」って言われたらどう思います?
サノ:そりゃあ、テンションブチ上がりです。
ROLANDさん:ですよね? 「99点も取れてすごいじゃないか!」と拍手喝采で褒めてもらえる。二番手以降は、これが当たり前。でも、トップは違う。「99点の仕事をしても、うまくいかなかった1点を責められる」のがリーダーの宿命なんです。
ROLANDさん:トップは常に、減点方式。何の問題もなく、完璧に組織を回すのが当たり前。1点でも失敗すればそこを容赦なく追及されるようになる。「99点も取れて偉いじゃないか!」なんて誰も言ってくれないんです。
サノ:誰も褒めてくれないって、めちゃくちゃ心にきそう…
ROLANDさん:僕もいちホストとしては、「99点の仕事」なんてした日には大騒ぎで褒めてもらってたわけですよ。ところが、代表になった途端、褒められるどころか責められるようになる。「こんだけやってんのに、なんでお前ら文句言ってくんだよ」と毎日思ってました。
帝王・ROLANDにも、悩める新米リーダー時代が
サノ:リーダーは、「褒められたい」という気持ちとどう向き合えばいいんでしょうか?
ROLANDさん:諦めるしかない。褒められたかったら、二番手以降にいてください。「トップである以上、褒められなくて当たり前」と思えるようになるしかない。
サノ:めちゃくちゃ厳しい世界だ。やっぱり、よっぽどメンタルが強い人じゃないとリーダーなんて務まらないのかな…
ROLANDさん:ただ、リーダーはそのつらさを引き受ける代わりに、「褒めてもらえること」なんかとはまるで比べものにならない幸せを経験していくんですよ。自分の意思決定が企業の方針にそのまま反映されること、部下が成長していく姿を見られること、事業の成功が部下の暮らしに還元されていくこと…それは1点や2点足りないことを追求される辛さなんかどうでもよくなるような幸せです。20代の新リーダーには、そこを忘れないで頑張ってほしいですね。
サノ:リーダーって、かなり向き不向きがあるポジションのような気もしてきました。ROLANDさんは、「リーダーに必要な素質」ってなんだと思いますか?
ROLANDさん:「圧倒的な責任感」。これに尽きるでしょうね。
即答&断言
ROLANDさん:リーダーって本当にいろんなスタイルがあっていいし、必要な素養も本人のキャラクターや職種によってそれぞれだと思うんですよ。ただ、責任が取れないやつ、たとえば部下の失敗を“面倒”だと感じるようなやつは、絶対にリーダーには向かない。
サノ:でも正直、「面倒かけやがって…」とか思っちゃったりもしません? 自分が“デキる人”ほどそうだと思うんですが…
ROLANDさん:リーダーの役割って、「全責任を取ること」だと思うんですよ。責任じゃないですよ。「全責任」。
サノ:“全”責任。
ROLANDさん:「自分のチームで起きたことはすべて自分の責任だ」と思えないやつはリーダー失格。部下が不祥事や失敗をしたときに、本人だけに先方へ謝罪に行かせるやつなんて論外です。
ROLANDさん:あと、「すべては俺の責任だ」と思う一方で、“チームの成功を「俺の成功だ」と思わない”という感覚を持っていること。これも絶対条件ですね。
サノ:どういうことですか?
ROLANDさん:たとえばスポーツ選手も、指導してくれるコーチや身体をケアしてくれるスタッフがいてはじめて戦えるわけじゃないですか。ビジネスも同じで、事業が伸びていくのは、自分というよりスタッフすべての頑張りがあってのことなんです。
サノ:ふむふむ。そうですね。
ROLANDさん:ただ、うまくいったときってそのうれしさから「自分の成果だ!」という気持ちがつい強くなってしまうものなんですよ。そういう人は、焦ったほうがいいと思います。「まわりに感謝する」という人として当たり前の感覚をなくした瞬間、仲間はついてこなくなるんで。だから、「責任感と感謝」。これが僕の思う、リーダーに不可欠な素養かな。
サノ:ちなみに、「責任感と感謝」が必要だと気づいたキッカケってあるんですか?
ROLANDさん:ある意味、「反面教師」ですね。ホストの世界にマニュアルはない。才能と根性を持った人が結果を出す世界なんですよ。だから、No.1が必ずしもリーダーとして優れているとは限らない。最初に入ったお店のリーダーとも呼べるNo.1とは、本当に反りが合わなくて。
新人時代からNo.1を目指していたROLANDを目の敵にする、現No.1ホスト。自分から辞めると言わせるために嫌がらせが続いたという。(ローランド・ゼロより)
ROLANDさん:仲間への責任感と感謝を持たない人は、「トップ」という肩書を奪われた途端、人が離れていくんですよ。そういう姿を見ていたので、自分は「一緒に付いてきてくれる仲間に責任感と感謝の気持ちを持つ」という当たり前の感覚を大切にするリーダーになろう、と。
サノ:ROLANDさんの具体的なリーダーっぷりをもう少し教えてもらえますか?たとえば、メンバーの前でどう振る舞ってるかなど。
ROLANDさん:そうだな…僕は「なんでも言いやすいリーダーであること」と「ストイックで厳しいリーダーであること」のバランスを意識してますね。できれば、その比率を6:4から5:5ぐらいのバランスで維持していたい。
サノ:めちゃくちゃ具体的だ…
ROLANDさん:まず、基本的には「意見しやすいリーダー」でいたいと思ってるんですよ。なんでも言いやすい関係性を作れるように自虐ネタを言ってみたりとか…普段から極力気を遣わせないように意識していて。
意外にも、学生時代から果敢に笑いをとりにいくムードメーカータイプだったそう(ローランド・ゼロより)
サノ:正直少し意外といいますか…勝手にもっと「ストイックなカリスマリーダー・ROLAND」みたいな感じを想像してました。「自虐ネタ」などで距離を近づけすぎると、ナメられてしまったりしないんでしょうか?
ROLANDさん:僕はナメられることを怖いと思ってないんですよね。ナメられたらナメられたでしょうがないというか、萎縮されるより全然マシなんですよ。部下を萎縮させていいことなんて一つもないので。
「彼らも本来の実力を発揮できなくなってしまうし、なにより…」
ROLANDさん:部下がイエスマンになった瞬間、リーダーの成長は止まりますからね。「それはないっすね」と言ってくれるスタッフがいることはすごく大切なんですよ。何を聞いても「いいっすね」では、何も会話してないに等しいんで。まったく参考にならない。でもそれは、自分の部下を「何も言ってないに等しい部下」にしてしまったリーダーの責任。部下を萎縮させれば、まわりまわって自分の首が締まるんです。
サノ:なるほど…自分の成長を止めないためにも、「意見しやすいリーダー」を徹底されていると。
ROLANDさん:もちろん、リラックスされすぎても統率取れなくなるんで、「締めるとこでは締める」っていうのは技術として持っておくべき。今の僕にリーダーとしての課題があるとすれば、職場がややフランクすぎること。もう少し締めるところを締めてフォーマルな空気感も作ることができたら、もう一回り大きくなれるんじゃないかなと思ってます。
そうなんだ…職場のROLANDさん、ちょっと見てみたい
ROLANDさん:でもそれも、萎縮させるんじゃなく、仕事に対する向き合い方などのリスペクトによって締めるべき。基本的に、何でも言える空気感が上回っている状態。これを作り出せるリーダーでいたいですね。
サノ:最後に…なかなかうまくいかず悩んでいる新米リーダーは、どんなマインドでいるべきなんでしょうか。「20代リーダーの頑張り方」を教えてほしいです。
ROLANDさん:いろいろ言ってきましたけど、リーダーをはじめたころなんて誰もうまくいかないんですよ。僕自身21歳で代表取締役になったときは、とてもじゃないけど雰囲気のいい職場とは言えなかったし、本当にいろんな失敗がありましたからね。それでもリーダーは責任を取り続けなきゃいけないし、頑張っても褒めてもらえない。しんどくなるタイミングはたくさんあると思います。
「だからこそ…」
ROLANDさん:だからこそ、最初のうちはない袖を振れるかっていうのもけっこう大事だと思うんですよね。僕も「背伸びして強がってなきゃやってらんねえな」って気持ちでなんとか乗り越えていたと思うので。背伸びしてるうちに筋力がついて、根性がついて、いつか必ず背伸びしなくても本当の自分を出せるくらい自信を持てるようになるので。そういう気持ちで頑張っていってほしいなと……蚊(笑)。(めちゃくちゃイケボで)
「まあ、いいか(笑)」と寛大な対応。最後まで無礼な蚊が失礼いたしました。これにて取材終了です!
経験してきたたくさんの「つらみ」とともに、リーダーにとって大切なことを教えてくれたROLANDさん。リーダーとして死守すべきところ、肩の力を抜くべきところ。セットで語ってくださったところに、ROLANDさんのリーダーとしての懐の深さを感じた気がしました。「つらみ」な気持ちになっているリーダーのみなさん、ときどき息抜きしながら、これからも一緒に頑張りましょう!〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=中澤真央(@_maonakazawa_)〉
ROLANDさんの壮絶な半生を描いた自伝漫画『ローランド・ゼロ』が12月18日に発売!ホストになるきっかけとなった高校時代のエピソードから、先輩や同期に認めてもらえなかった新人ホスト時代の出来事まで…“現代ホスト界の帝王・ROLAND”がいかにして現在に至ったか、その歴史が閉じ込められた至極の1冊。「トップ」に立つ男の成長ストーリー、きっと“リーダーのあり方”についても大切なヒントが散りばめられているはず。気になった方は、ぜひチェックしてみてください!