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 新型コロナウイルスの影響で収入が減少し、現在、金融機関には住宅ローンの支払いについての相談が増えているという。芸能界でも、先日、テレビ番組でお笑いコンビ「スリムクラブ」の内間政成が、まさに破綻の危機にあることを告白。月20万円の住宅ローンを払うため、妻がパートを始めたり、フリマアプリの「メルカリ」を始めたということを赤裸々に話し、“他人事じゃない”と話題になった。

危機を感じたら住宅に固執しすぎないで

「今は、“払うのがきついな”くらいの状況でも、収入に対して月々の返済額が大きい人、ボーナス返済の割合が大きい人などは要注意。また、昨今は共働きが増え、夫婦の収入を合算して上限いっぱいにローンを組んでいる人も多く、破綻のリスクを高めています」

 と指摘するのは、ファイナンシャルプランナーの山口京子さん。コロナの影響がまだまだ長引くと予想される来年以降は、仕事自体がなくなる人も増え、さらに厳しくなる可能性があると懸念する。

 では、住宅ローン破綻を起こさないためには、どうすればいいの?

「先行きが不安な人は、“もしも”に備えて、住宅ローンに充てられるお金を今から準備しておくことです。節約するというだけでなく、収入を増やす術を持つことが重要。可能なら運用して資金を増やすというのもありです。

 すでにピンチの人は、今すぐ金融機関に相談を。月々の返済額減額や支払い期間延長など、いろいろな可能性をシミュレーションしてくれます。特に今は、金融機関もアフターコロナを視野に入れて無理のない返済にシフトできるよう相談に乗ってくれやすい状況です」

 重要なのは、早めの対策。予定していた月々の返済額、返済期間へのこだわりを捨て、払うためにどうするかを家族で前向きに考えること。本当に無理だと思ったときは、住宅に固執しすぎないことも大切だと山口さん。

「住宅ローンで疲弊(ひへい)して、一家離散になる人もいます。そうなるよりは、家を手放して……というほうが幸せかもしれません。都心の一戸建てやマンションにこだわらず、賃貸や “とかいなか” の生活にシフトするのも手です。コロナがあって、住宅の危機があったけど、今は幸せだよねって思えるような選択をしてほしいです」

【こんな人は住宅ローン破産予備軍のリスクあり!】
□返済額が収入の4割より高い人
□夫婦合算収入でローンを組んでいる人
□ボーナス返済額が高い人
□固定費(マイカー、通信費、教育費など)が高い人

「“どうしよう!”と不安になって思考停止してしまうのはダメ」と山口さん。今できることを模索しよう!

【CASE 1】先行きに不安がある人

 今、「支払いが大変」という人はもちろん、今後に不安がある人も備えが必須。「“厳しくなる”という前提で備えを。まずは、何かあったときに払い続けられるよう、まとまったお金を作ること。ローンの返済に使うことがなくても将来的に修繕費などに使えるのでムダではありません。そのために副業や内職などで月1万〜2万円でも収入を増やす術を身につけておくと安心です」(山口さん、以下同)

1. 生命保険を一部解約する 
 すでに子どもが自立して養育費、教育費の心配がない場合は、生命保険も聖域にあらず。「生命保険の解約返戻金は場合によっては数百万円になるので家計にとってかなり大きい。すべて解約するのではなく、部分解約がおすすめです。一部もしくは半分解約を選択し、自分(パートナー)が亡くなったときに、最低限のお葬式代くらいが家族に残るようにしておくのがよいでしょう」

2. 親に借金する 
 親から一時的にお金を借りる、いわゆる“親借金”も検討すべき。「借用書を作っても厳しい取り立てもなく、金利も低いでしょうし、新たなローンを組むよりよいので、本当のピンチのときは頼るのも手。住宅ローンを組むときは出してもらえなかった場合でも、今は両親も年齢を重ねて余裕があるかもしれません。また、110万円までなら非課税なので贈与という形でお願いするのもいいでしょう」

3. 車や不用品を手放す
「フリマアプリなどを活用し、家にある不用品をどんどんお金に換えていきましょう。家もすっきりするので気分がよくなるはずです」。思い切って車を手放すことも視野に入れて。「車によっては、売っても10万円程度しか手元に残らないかもしれません。でも、保険料やガソリン代、駐車場代などランニングコストがなくなって、月々数万円の固定費が浮くのは大きい」

4. 副業や内職などで収入を増やす
「今は、家事や小物作りなど自分の特技やスキルをアプリで簡単に売ることができる時代。データ入力など在宅でできる副業バイトも求人サイトにたくさんありますから、月1万〜2万円が稼げる方法を探しておきましょう。“厳しくなったら働こう”という考えではダメ! 本当に厳しくなってから仕事を探しても手遅れです。まだ大丈夫なときこそ、稼ぎ始めておくべきです」

■収入が落ちていない人は借り換えの検討を!
 収入が減額しておらず、10年以上、住宅ローンの見直しをしていない人は、この機会に住宅ローンの金利をチェック。「借り入れ先の銀行と金利の引き下げ交渉を行うか、別の金融機関の低金利ローンへ借り換えを検討してみましょう。借り換えることで月々の支払いが安くなる場合もあります」。借り換える場合は、手数料を払っても返済総額が減るかどうかを確認すること。【体験エピソード】借り換えで返済総額が350万円も減りました!
「夫婦ともに30代で住宅を購入。年利3.5%くらいの『フラット35』で35年ローンを組みました。でも年々、夫婦ともボーナスが減り、月払いの返済額を増やさねばならず負担に。思い切って大手銀行で令和10年まで固定金利1.35%、その後は変動金利になるプランに借り換えました。それが正解! 合計350万円も返済額が減ったんです。手続きで何度も銀行に行く手間や、諸費用(司法書士、印紙代など)で約50万円かかりましたが大満足です」(東京都/49歳/会社員)

【CASE 2】すでにピンチな人

「3か月後のローンの支払いが厳しいと予想される人は、すぐに借り入れ先の金融機関に相談を。金融機関もお客さんが破綻しては困るので、返済期間や額などアフターコロナも視野に入れて無理のない返済シミュレーションを提案してくれると思います」。ただし返済条件を変更すると個人信用情報機関にその旨が記載され、新たなローンの借り入れ審査に影響がある場合もあるので注意を。■条件を変更する

◎月々の返済額を減らす
「一定期間(1年程度)、月々の返済額の減額の交渉を行うこともできます。ただし、返済終了時期は変わらないので、減額期間後に当初の返済額より増額していかなければなりません。8万円から3万円に減額→1年後は10万円となることもありえます」

◎「中ゆとり」を利用する
 住宅金融支援機構がコロナ禍の影響で返済が困難になった人向けに提案している3つの対策のうちの1つ。状況に応じて一定の期間返済額を減らす相談が可能。ボーナス返済の見直しなどの対策と組み合わせることもできる。

◎返済期間を延ばす
 返済期間は、現在80歳まで延長が可能。「支払い期間を長くすれば、毎月の返済額は下げられます。夫(契約者)が先に亡くなった場合も団体信用生命保険に入っていれば安心。しかし、返済総額は増えますし、年金生活になってもローンを払い続ける覚悟が必要です」

◎利息だけ払う
 一定期間、支払いを利息のみとする交渉も可能。「支払いは一気にラクになりますが、元本はまったく減らず、減額期間後は月々の返済額の負担増。最後の手段と考えて」。減額の可否や減額期間は、収入や年齢により異なる。■やってはいけないNG行動

□繰り上げ返済 
 先々の支払いを心配して、「払えるときに払っておこう」となりがちだが「住宅ローンは減るけれど、家計が苦しくなるという状況に陥ってしまう人は多い。今は住宅ローンの金利が低いので、繰り上げ返済をするより、借り換えをしたほうがよっぽどお得です」

□滞納 
 何もせず滞納し続けるとローン破綻まっしぐら。「払えないと思ったら、まず“今月払えないけど、どうすればいいか”と金融機関に相談すること。早めに相談することで、返済の条件変更など、ローン破綻せず、自宅を守る方法が見つかるはずです」

□住宅ローン返済のためのキャッシング
「住宅ローンを返そうと思って、クレジットカードのキャッシング枠を使ったり、新たなローンを組むのはいちばんダメ。1〜3%台の金利の住宅ローンを埋めるために、高金利の借金をすると、ローン地獄に陥って、お金があっという間になくなりますよ!」

【CASE 3】いよいよ支払いに困ったとき

■任意売却する

 任意売却は、売却しても住宅ローンが残ってしまう住宅に対し、債権者(金融機関)の合意を得て売却する方法。通常の不動産売買と同様の販売方法が取られるため、市場価格と同等の価格での売却が期待できる。一方、競売になってしまうと、競売情報サイトに自宅が競売物件として掲載されるだけでなく、オークションで市場価格より低く落札されることが多い。

 ローンの滞納が続いてしまった場合は、競売で家を失う前に自ら自宅の売却を申し出る「任意売却」の選択を。「競売に比べて、メリットが多いです。例えば、任意売却で家を手放した場合、引っ越し代など手元資金を用意してくれることも。さらに、“リースバック”という仕組みを併用し、買い主との交渉で賃貸としてそのまま住み続けることも可能です」。滞納が6か月続くと競売の手続きに入ってしまうので、その前に金融機関に相談を。

(取材・文/河端直子) 

山口京子さん ◎ファイナンシャルプランナー。証券外務員、保険募集人資格も持ち、ワンストップで、楽しく“くらしとお金”をレベルアップさせるアドバイスを行う。著書に『なまけものが得をする ワンコインつみたて投資術』ほか