(画像:『恋する母たち』TBS公式サイトより)

 木村佳乃、吉田羊、仲里依紗が出演する連続ドラマ『恋する母たち』(TBS系、金曜午後10時〜)。話題の本作を、男女関係や不倫事情について長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆仲里依紗演じるセレブ妻、夫の浮気に苦しむ

 ドラマ『恋する母たち』、3人の女性たちの恋が展開し始めた。それぞれが恋に傾いていく心の移ろいが丁寧に描かれているのが興味深い。

 仲里依紗演じる蒲原まりは、弁護士の夫をもち、タワマンに住むセレブ妻。ところが夫は部下の若手弁護士と浮気をしている。またこの若手弁護士が、彼とのベッドでのやりとりを録音して、妻であるまりに送ってくるというあざとい女。すっかり参ってしまったまりは、自分を恋い慕ってくれる人気落語家・今昔亭丸太郎に相談する。この落語家がまた、3回も離婚しているだけあって男女の機微に通じており、まりを好きなゆえに、まりが夫とうまくいくよう細かな指示を出してくれるのだ。

 一見、自由にふるまっているまりだが、彼女は非常に不自由な生活を送っている。夫には浮気され、息子は不登校、好きだと言ってくれる落語家に心惹かれてはいくが、今の生活を維持するためには浮気などできない。彼女がいちばん大事なのは3人の子どもたち。それだけははっきりしている。

◆夫が戻ってきたとき、妻の心はそこにない

 夫の浮気をやめさせたのも、丸太郎のアドバイスが功を奏したからだ。夫の浮気相手と3人で相対して話し合うことを勧めたのは丸太郎。それを実行し、その場で浮気相手が高飛車に出たことで、夫は妻の重要性に気づくのだ。

 その後、夫は妻をふたりきりの温泉旅行に誘う。今の生活を失いたくないまりにとって、夫が寄り添ってくるのは望んだことのはずなのに、なぜか心は浮き立たない。結婚して15年以上、まりは「家を守り、子どもを育てる」役割に専念し、それを夫に評価も感謝もされないことに慣れてしまったのだ。そうしているうちに、まり自身も夫を心ときめく相手として見ることができなくなっていた。だから夫が急に心を寄せてきても、「どうして今さら」という思いが強くなる。一方で、強引そうに見えながら繊細にまりの気持ちを推し量ってくれる丸太郎に心惹かれてしまうのだ。

◆浮気をした夫が「心を入れ替える」と戻ってきた

「わかる、その気持ち」

 そう言うのはミエコさん(40歳・仮名)だ。結婚して12年、10歳のひとり娘をもつミエコさんは、3年前、夫が浮気していることを知った。問いつめると夫は、「たった一度の過ち」だと言い張ったが、彼女は夫と相手の女性のスマホでのやりとりを証拠としてもっている。一度の過ちでないのは明らかだった。

「ただ、私の目の前で彼女と別れてと言ったら、すぐに電話をしたんです。『きみとは本気じゃなかった。ごめん、もう会わない』と夫が言うのを聞いて、私がそそのかしたにも関わらず、冷たい男だなと思ってしまった。こんなふうに関わった女性を捨てるのか、と」

 その後、夫は「自分にとっていちばん大事なのは家庭だとよくわかった。心を入れ替える」と約束し、実際に早く帰ってきて自分から家事をしたり、週末はミエコさんと娘をドライブに誘ったりと急に「家庭的」になった。ミエコさんに花やおいしいケーキを買ってくることも増えた。

◆夫を取り戻してうれしいか「わからない」「夫が必死に寄り添おうとしているのがわかるんですよね。それが本心かどうかわからないけど、私には無理しているように見えるし、そういう夫を見ているのもどこか痛々しいんです。急に卑屈になっている気がして。威張って浮気すればいいということではないけど、謝って反省しているなら、もう少し自然にふるまってもいいのにと思ったりします。でもそう感じてしまうのは、私のほうにすでに夫への気持ちがなくなっているせいかもしれない……」