記事は、日本の農業専門家で、河南省原陽県の農場で生活して7年になる74歳の川崎広人氏を紹介。かつて日本で長きにわたり農業に従事し、リタイア後に中国の農業大学に招かれて学術交流を行ったことが中国との縁の始まりだったとした。
そして、学術交流期間中に化学肥料偏重の中国農業の現状を把握し、中国の農家のために化学肥料を使わない有機栽培を広める手伝いをしたいと考えるようになり、日本に帰国後に中国語を学ぶ傍らでたい肥技術を学び、2013年に66歳で再び中国に渡ったのち、友人の紹介があって現在の農場で生活をするようになったと伝えている。
記事によれば、原陽県は毎年黄砂や干ばつ、洪水の被害に見舞われ、14年には省の重点貧困県に指定されたという。川崎氏は現地を視察した結果、荒れ果てた養豚場の肥溜めに良好な液肥があることを発見、当時化学肥料を使って栽培していた農家に液肥の使用を勧めたところ、小麦の生育サイクルが大幅に短縮され、収穫も大幅に増えたとのことだ。
また、トマトの有機栽培にもチャレンジし、何度かの失敗を経て2017年に安定生産を実現、ECプラットフォームを通じて大きな収益を上げることに成功。このほか現地では白菜、ニンジン、サツマイモなど20種類以上の野菜が有機栽培されていると記事は伝えている。
さらに、農場の栽培が軌道に乗り始めると、川崎氏は次の目標である「循環農業人材の育成」の取り組みに力を入れ始めたと紹介。ここ数年、たい肥技術の短期講座を毎月開催し、1000人以上の生徒が各地より学びに来たとした。
記事は、川崎氏が「参加者の質問のレベルが3、4年前に比べて明らかに高まっている。有機農業に対する認識も大きく変わった」と語る一方、現地ではなおも有機栽培を指導でき人材が不足していると指摘し、できるだけ早く人材を育成する学校を作りたいと抱負を語ったことを伝えている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)