タイトルを聞いただけで「なんだそれは」と楽しくなっちゃう作品ってありますよね。『えびボクサー』とか『エイリアンVS.プレデター』とか。そういうの大好物なんです。そんな私が最近どうしても見過ごせなかった番組をご紹介します。『サメvsマイク・タイソン』。突き抜け感満点のいい名前でしょ? 本作はディスカバリー・チャンネルが制作した番組で、現在ディスカバリーの配信サービスDplayで無料視聴できます。このキャンペーンは9月中の期間限定なのでお急ぎください。
“シャーク・ウィーク 2020”の目玉作品
そもそもの話として、なんでサメなんでしょう。実はディスカバリーは1988年から毎年「シャーク・ウィーク」というキャンペーンを夏に開催しています。つまり、サメにまつわる映像作品を作りまくって世に送り出してきたサメ番組界の老舗だったんです。で、世界中が新型コロナ感染症やら色々で大変だった2020年の夏、シャーク・ウィークの注目作として『サメ vs マイク・タイソン』が作られたわけです。
▲ガチのサメ
サメの対戦相手としてリング(?)に戻ってきたタイソン
サメ番組に対して並々ならぬ情熱があるディスカバリーのことなので、ここからは私の超勝手な想像ですけど、「世界中のみんなが大好きなサメを、今年はどう料理しようかな〜。マイク・タイソンさんにサメと戦ってもらおう」と企画を進めたのではないかなと。凶暴で恐ろしいサメにふさわしい人物として、元ヘビー級の世界王者マイク・タイソンに白羽の矢が立った……のだとしたら、アツい。
▲現在54歳。引退後も胸の筋肉が美しい。重戦士
彼の魅力は圧倒的な強さだけじゃないんですよね。エンタメのセンスがあって、ギラついた華もあります。だからボクシングを知らない人でも彼の顔と名前は知っています。
▲対戦相手のサメへのコメントが良すぎる。サメは「まさに俺って感じだよ」だそうです。この辺のサービス精神が素敵
セコンドはサメに手足を喰われた元海軍ダイバー
で、サメとタイソンがどう戦うかというと、タイソンが海に潜ります。つまりサメ側のリングに上がるわけです。そりゃそうだ。そんなタイソンをサポートするために招聘されたのがこちらの男。
▲ポールさん。海軍のダイバーだった頃にサメに手脚を食いちぎられた人物です
▲正論です。っていうか説得力がありすぎる
▲「サメに関する経験を人一倍積んできた」と語るポールのトレーニングを受けます。そしてガタイの良すぎるタイソンはスイムスーツのチャックがしまってません
▲いい感じ
復讐に燃えるサメハンターと元ヘビー級世界王者がサメをボコボコに……? と思いきや、話は予想外の方向へ転がります。
イロモノ番組? そこはやっぱりディスカバリー
『サメvsマイク・タイソン』なんていう突き抜けた名前の番組ではありますが、実はちゃんとしたネイチャー番組としての顔も持ち合わせています。やっぱりディスカバリー。
▲今回の戦いの場はバハマ。サメの生態の話もいっぱい出てきます
特にセコンドのポールが味わい深いのです。
▲手脚を食われたあと、あえてサメという存在に歩み寄った男なんです
▲事故前はサメが嫌いだったけど、事故を機にサメが置かれている状況を知ったポール
このポールによるレクチャーがめちゃくちゃいい。なんといったって自分を喰っちゃった相手のことをわざわざ深く学ぶ人物ですからね。舞城王太郎の小説『熊の場所』の名言「恐怖を消し去るには、その源の場所に、すぐに戻らねばならない」を思い出しました。
そんなタフで知的なサメ先生ポールは「サメに殺されない方法」「サメに立ち向かう方法」を真面目に教えてくれます。
▲タイソンもサメの人形相手に練習をします。サメ人形、結構かわいい
いざ海へ! しかし怖いものは怖い
ポールによるサメ特訓を受けたタイソンは、いよいよ海でサメと対面します。
▲こんな鎖かたびらみたいな装備があるんですね
しかしタイソンの顔がどうも冴えない。コンディションがイマイチというか、見るからに具合が悪そう。まあ海の上ですし、ガッチガチのダイバー装備ですし……。ずーっと悪態をつきまくります。
でも、ポール達のサポートを受けてタイソンはサメと対峙します。放送禁止用語を連呼しながら素で怖がっていそうなタイソンでしたが、最終的には「勝利」します。
▲タイソンの勇姿を見て感動するポール! よかったね!
ネイチャー系の番組を多く手がけてきた映像制作会社だからこその真摯なアプローチだなと思いました。バハマの海中のクリアな映像もほんと綺麗で、サメも怖くて美しいです。サメ先生のポールと元ヘビー級世界王者のタイソンによる「サメとの戦い」、めちゃいいですよ。ぜひ観てください。
関連リンク:Dplay