「やらなきゃ」ではなく「やったら面白そう」でいい。加藤和樹、発信し続ける原動力

今、新型コロナウイルス感染症対策として、多くの舞台やライブが中止になっている。そんな中、自宅で過ごす人々を楽しませてくれているのがSNSで共有される動画やメッセージだ。とくに、ミュージカルスターら36人が『レ・ミゼラブル』の『民衆の歌』をリモート合唱する動画は、470万回超も再生され大きな評判を呼んだ。

俳優・アーティストとして活躍する加藤和樹も、参加者のひとり。加藤が出演を予定していた舞台『ウエスト・サイド・ストーリー』season3は初日を迎えないまま中止、6月に始まる予定だったライブツアー「Kazuki Kato Live "GIG" 2020 〜Addiction〜Kazuki Kato Road Tour 2020 〜Thank you for coming! 2〜」は一部公演の延期が決まった。

積み上げてきたものを見せられない。悔しい思いを抱えながら加藤はさまざまなアクションを起こした。『民衆の歌』のリモート合唱のほか、宮本亞門の「上を向いてプロジェクト」に参加。自らTwitter上で始めた「#テニミュよ集え」のハッシュタグは多くのテニミュ(ミュージカル『テニスの王子様』)キャストに広がり、自分自身のYouTubeチャンネルも開設した。

「表現者である限りは、待ってくださるみなさんに何かを届けていかなければいけない」

その強い気持ちが加藤の原動力だ。

撮影/増田 慶 取材・文/大原 薫 制作/アンファン
ヘアメイク/江夏智也(raftel)

聞けば聞くほどハマる。ライブを想像させる1枚に

6月10日にミニアルバム『Addicted BOX』が発売になりますね。アルバムのタイトルに込められた意味とは?
できあがったアルバムを聞いて「これは飽きがこないな」「聞けば聞くほどハマるぞ」と。それで「ハマる」という意味の「Addicted」をタイトルにしました。1曲1曲が独立していて、それぞれのカラーが強いけれども、まとめて聞いてみると何かクセになるアルバムになったんじゃないかなと思います。
音源を聞かせていただきましたが、バラエティに富んだ楽曲の中に明確に「加藤和樹サウンド」があるなというのが印象的でした。
とにかく思ったのは、早くライブで歌いたいなと。今までだったらリリースイベントで歌う機会があったけれど、今回はなかったので。新曲に関しては本当に早く歌いたいと思いますね。僕自身の期待値も上がっているし、ライブを想像させるような1枚になったと思います。
レコーディングで印象的だった楽曲は?
『君ニ唄エバ』は若い作家(作詞・作曲・編曲:きなみうみ)の楽曲で、僕の中では今までにないノリの曲だったんですね。歌のノリが最初は難しくて。(楽曲のテンポに)ジャストでノるとちょっと気持ち悪い感じがするんですよ。それで、普段はクリックを聞きながら歌うんですけど、この曲は全部クリックを外して、曲にあるグルーヴ感を意識しながら歌ったのが印象的でしたね。
加藤さんが作詞した楽曲はどのようなイメージから作られましたか?
『Shining Star』は歌詞を書こうと思ったときに、テレビで受験生たちのニュースを見たんです。これから羽ばたいていく彼らは誰もが輝くスターになる可能性を持っていると思う。自分だけの輝きを追い求めればいいんだ、というメッセージを込めた曲です。

これって若い人だけじゃなく、大人もそう。自分が大人になったからこそわかることでもあって。大人になると「何のためにやっているんだろう」と、挑戦する気持ちを見失うこともあるんです。そんな中でも、最初の頃のキラキラした気持ちをいつまでも持ち続けていたいなと思いますね。

『Hello』は、自分から発信することの大切さを考えたことがきっかけで生まれた曲。僕はもともと人と話をするのが苦手だったんですよ。
えっ、そうだったんですか?
そう(笑)。でも、ひと言でもいいから言葉を交わすことが大切なんだなと思うようになって。「おはよう」「行ってきます」「お帰り」「ただいま」「ありがとう」とか、話すことの大切さですよね。とくに今、この状況下では大事なことなんじゃないかと思う(※取材は5月中旬に実施)。誰かに頼るのではなく、「自分はここにいるよ」という存在証明というか、自分の存在は自分で示していこうよ、ということを歌った曲ですね。
このアルバムでどんなメッセージが伝えられたらいいなと思いますか?
今この状況だからこそ、アルバムを聞いて「やっぱり音楽っていいな」と思っていただけたらうれしいです。ライブへの期待値も高めていきたいし、「こういうアルバムを聞いたら、ライブでも聞かなきゃ!」という気持ちになっていただけたらと思います。
たしかにライブで聞きたいです! 加藤さんのライブは一部日程が延期になってしまいましたが、加藤さんがライブをやると言ってくださったことが、多くのファンの方を勇気づけたんじゃないかと思います。
いろんな方のライブが中止となっている中で、延期してできるだけでも心から感謝しています。もちろん、僕らはみんなの安全や健康を守りたいから「どうしても来てほしい」と言うことはできないけれど、このあいだニコ生チャンネルで番組をやったときに「自粛が明けたら、ライブに行きたい」という声がすごく多かったんです。それだけ、待ってくれている人が多いんだなと思うし、その期待には応えたいと強く思って。

今までと同じ形でやるのは難しいかもしれないけれど、環境を整えて、みんなに楽しんでもらえるライブができればと思います。

僕の原点。「#テニミュよ集え」タグの広がりに感動

さて、ステイホーム期間の加藤さんについて、話をお聞きしたいと思います。加藤さんも参加した『レ・ミゼラブル』の『民衆の歌』を歌う動画はニュースでも盛んに取り上げられていました。改めて、企画参加の経緯を教えてください。
(発起人の上山)竜治から「こういうプロジェクトを立ち上げようと思うんだけど、よかったら賛同してくれないか」と直接連絡をもらいました。

“閉塞感や不安を感じている方々に、俳優である私たちが生業としている「歌」という表現を私たちがいま実現できる形で皆様に届けていくことで、少しでも未来への希望を抱ける心持ちになって頂けたら。”というのがプロジェクトのテーマ。それに『民衆の歌』の歌詞がぴったりだと思ったので、即「やりたい!」と参加させていただいたんです。僕は『レミゼ』に出てませんけどね(笑)。

今の時期だからこそできることがあると思って。ほかにも、宮本亞門さんの「上を向いてプロジェクト」に参加させていただいたり、僕もYouTubeチャンネルを開設して、誰かとコラボするとか、個人でできることをやっています。
4月上旬には加藤さんから始まった「#テニミュよ集え」のハッシュタグも話題になりました。どういった経緯から、このツイートをしようと思い立ったのでしょうか?
中村優一くんが「#ヒーローがこの世界を元気にする」というハッシュタグを立ち上げて、僕もヒーロー(『仮面ライダーカブト』仮面ライダードレイク/風間大介役)をやっていたので、賛同させていただいたんです。

それで、これだけライダーがいるんだったら、テニミュ俳優もいっぱいいるだろうと思って。初代メンバーや2代目メンバーに「こういうことをツイートしようと思うけど、よかったら賛同してね」と連絡したのがきっかけでした。そしたら、思いのほか先輩後輩に関わらず、めちゃめちゃ広まって逆にびっくりして(笑)。
すごく広がりましたよね。
僕もできるだけリツイートしようと思ったけれど、追いきれないくらいでした。直接絡んだことがない人のツイートもリツイートさせてもらったり。ありがたいなと思いましたね。

テニミュは僕の原点でもあるし、これだけ時間が経っても愛されている作品なんだなと思いました。それに「昔は『テニミュ』を観てたけど、懐かしいな」と思ってくれる人もたくさんいたみたいだったし。みんながちょっと心が和むようなものになればと思ったんです。
やっぱり加藤さんが「跡部様」(跡部景吾、加藤さんが演じた役柄)として発信することにパワーがあったというか。
「面白そうだな」と思ったことがきっかけだったけれど(笑)、それがテニミュの仲間たちと応援してくださっているみんなに届いたのはよかったなと思いますね。

こういう状況だからこそ思うんですけど、「何かしなきゃ」じゃなくて「これをやったら面白いかな」とか、そういう気持ちからスタートしたほうがいい気がする。もちろん使命感を持つのはいいことだけど、追われてやるんだったらよくないなって。今、この状況においては、「自分にできることをやる」ということでいいと思うんですよね。
加藤さん自身、公演中止や延期で、悔しい思いをされていると思います。とくに『ウエスト・サイド・ストーリー』Season 3は、最初予定していた中止期間が延長になり、5月後半上演の可能性を残していたものの、緊急事態宣言延長により結局は全公演中止になった……。苛酷な経験だったのではないかとお察しします。
全公演中止が発表になったときは、積み上げてきたものをみなさんに見ていただけない悔しさとむなしさがあって、正直落ちかけていたんです。それでも、表現者である限りは待ってくださるみなさんに何かを届けていかなければいけないので。自分自身挑戦したり、YouTubeチャンネルを開設したり、日々何が自分にできるだろうと考えながら、過ごしていますね。

(公演中止に関して)お客様は「役者さんが謝ることじゃない」と言ってくださるんですけど、「きょうは『ウエスト・サイド・ストーリー』を見に行く予定の日でした」という書き込みを見ると「そうだよね、楽しみにしてたよね……」と思うし。お客様も役者も悔しい思いをしているのはみんな同じ。だからこそ、その先にある幸せな日々に向けて今は耐えるしかないし、手を取り合って一緒に乗り越えていきたいと思いますね。

『ツイステ』&「家二郎」。加藤流ステイホームの過ごし方

加藤さんの前向きな姿勢にみなさんも心励まされているんじゃないかと思います。話変わって、3月にリリースされたディズニーのアプリゲーム『ツイステッド ワンダーランド』では、加藤さんはマレウス・ドラコニアを演じていますが、大人気のゲームですよね。
そうですね。CMもたくさん放映されていて、たまに自分の声が流れると「うわっ」と思います(笑)。ステイホーム中ですから、みなさんもレベルがどんどん上がってるんじゃないかな。

Kimeruさんは早い段階で(配信されたところまで)クリアしたって言っていて、さすがだなと(笑)。ディズニー好きな人はハマると思います。僕もやっていますけど、今はレベル20ちょっとくらい。半分くらいまで進みましたね。
ステイホーム中に新たに始めたことはありますか。「ラーメン二郎」好きで有名な加藤さんですが、おうちでラーメンを手作りされたりしてるんでしょうか。
今までアナログ人間だったんですけど、新しく始めたYouTubeチャンネルのためにマイクと編集ツールのミキサーを買って自分で動画編集したり、家から配信できるようになりました。今度、イチからスープを仕込んで食すまでのラーメン動画を撮ろうかなと思ってます。「“加藤二郎”はこうして生まれる」って。
いろんな共演者の方が「加藤二郎に行きました」と、加藤さんのお宅でラーメンを召し上がっている様子をSNSにあげていらっしゃいますが、ついにその秘密が明かされるんですね!
そうですね。今はこういう状況で来客もありませんし、スープのストックもなくなったから、作ってみようかなと。
今はラーメン二郎もお持ち帰りをやっているそうですね。
お店に鍋をもっていけばスープを入れてくれる「テイクアウト二郎」をやっているので、これを機会に「家二郎」を楽しめるいい機会だと思います。僕はもうやりましたけど(笑)、最高でしたね。ただ、僕はお店で食べたいです。
持ち帰りとお店とは違うんですか。
違います。麺の茹で方ひとつとっても、お店の方は熟練されてるんですよね。ただ、お持ち帰りにすれば自分が好きなカスタムができるので初心者の方にはいいかもしれない。
初心者がラーメン二郎に行くとき、気をつけたほうがいいことはありますか?
回転が速いお店だと急いで食べなきゃいけないので、ゆっくり食べたいんだったら広めの店舗に行くのがいいと思います。注文の仕方はまず「小ラーメンの普通」で頼んでみてください。それか、二郎に行ったことがある人と一緒に行くのがお勧めです!
加藤さんは山崎育三郎さんに連れられて、初めてラーメン二郎に行ったんですよね。
そう、いっくん(山崎)は最初から「全マシでいいよね」と有無を言わさず聞いてきて「あ、うん」と答えたら、とんでもない量のラーメンが出てきたんですよ(笑)。しかもいっくんが頼んだのは「豚ダブル」で、豚肉だけで600グラムくらいもあったんです。なんとか食べきって、それ以降はずっと豚をひとつ減らして「小豚の全マシ」で頼んでますね。

ただ、気を付けないといけないのは、お店によってマシの量も麺の量も違うということ。なんなら、日によって味も違う。そういうことも含めて「ジロリアン」は二郎を愛しているんです。
なるほど、加藤さんの「二郎愛」が伝わってきました(笑)。最後にファンの方々に向けて、エールのような言葉がお聞きできたらと思います。
つらくて苦しい気持ちはみんな同じだと思うんです。ミュージカルやライブなどエンタメ業界はお客様を集めないとできないので、緊急事態宣言が終了し自粛が明けても、もうしばらく待ってもらうことになるかもしれない。

でも、全部がクリアになって、心から笑い合える時間が来たときが、今まででいちばん幸せに感じる瞬間だと思うので、僕たちもそのときを心待ちにしています。今しばらく、ともに頑張って耐え忍んで、元気に笑顔で会える日を楽しみにしています。
加藤和樹(かとう・かずき)
1984年10月7日生まれ、愛知県出身。A型。
2005年ミュージカル『テニスの王子様』で注目を集め、以降、俳優、アーティストとして活躍。2016年の『1789 -バスティーユの恋人たち-』で帝劇初主演。近年の主な舞台に『マタ・ハリ』、『BACKBEAT』、『怪人と探偵』、『ファントム』、『フランケンシュタイン』などがある。

CD情報

ミニアルバム『Addicted BOX』
2020年6月10日(水)リリース!

左からTYPE A[CD+DVD]、TYPE B[CD+DVD]。

TYPE A[CD+DVD]
¥3,000(税込)
TYPE B[CD+DVD]
¥3,000(税込)

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、加藤和樹さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2020年6月9日(火)12:00〜6月15日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/6月16日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月16日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき6月19日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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