改元を前に、それに便乗した悪質商法に対して注意を呼びかけています(写真:EKAKI / PIXTA)

「平成」が31年4月30日で幕を閉じる。5月1日には現在の皇太子さまが即位し、元号も改まる。天皇陛下御存命中の「退位」は江戸後期の光格天皇以来約200年ぶりで、近代以降では初めてだという。したがって、「昭和」から「平成」への改元は悲しみの中で行われたが、今回は祝福ムードだ。

そんな祝福ムードに水を差すような、改元を利用した詐欺や皇室にあやかった悪徳商法が目立っており、金融庁や国民生活センターが消費者に注意を呼びかけている。

全国銀行協会を装ったキャッシュカード詐取

2月7日に金融庁が「全国銀行協会等を装い、改元を理由として暗証番号等を記載させる詐欺にご注意!」と題する報道発表を行った。

全国銀行協会を装い、「元号の改元による銀行法改正について」と題する資料を同封した封書を郵送し、取引金融機関、口座番号、暗証番号などを記載させる詐欺の手口が確認されているという。

具体的な手口は、 全国銀行協会を装った封書を送りつけ、「元号の改元による銀行法の改正に伴い、全金融機関のキャッシュカードを不正操作防止用キャッシュカードへ変更する手続が必要となります。同封の『キャッシュカード変更申込書』に取引銀行、口座番号、暗証番号を記載し、現在お使いのカードを返送してください」などと指示し、キャッシュカードをだまし取ろうとするものだ。

金融庁は「全国銀行協会や銀行員が暗証番号等を尋ねることは一切ない」と注意を呼びかけている。

なお、改元を口実にする以外にも、百貨店(デパート)の社員や警察官などを名乗る電話がかかってきて、「あなたの預金口座が危険にさらされているので、キャッシュカードを新しい物に交換する必要があります。後ほど銀行協会の職員が伺います」と言い残し一回電話を切り、その後、銀行協会職員を名乗る者が訪問してくるような「劇場型」(ドラマのように複数の者が役を演じで消費者をだます)詐欺も見られる。日ごろから注意が必要だ。

そして昨年の暮れごろから国民生活センターや各地の消費生活センターが注意を呼びかけているのは「平成の記念に皇室の写真集を購入しないか」といった電話勧誘だ。特に高齢者をターゲットにしているようだ。東京都消費生活総合センターに寄せられている事例を一部抜粋のうえ紹介する。

●勧誘されて「見ないとわからない」と言ったら写真集が届いてしまった
母が一人暮らしをしている実家に帰省し、分厚い写真集と領収書を見つけた。母に事情を聞いたところ、2カ月前に「平成の記念に皇室の写真集を購入しないか」との電話勧誘があり、「見てみないとわからない」と答えると、「気に入らなければ宅配便で戻せる」と言われ、その後写真集が届いたようだ。代金3万6000円のうち2万4000円を支払い済みで、届いてから日にちは経っているが、返品・返金してもらうことはできるか。(契約当事者 80歳代 女性)
●母親がカレンダーの購入を勧誘されていて断り切れるか心配
他県に住む高齢の母が、ダイレクトメールや電話で勧誘を受けて皇室関連の商品を購入していたので、販売した事業者に勧誘をやめるように求める通知書を送った。しばらくは勧誘がなかったようだが、先日実家に帰省したところ、3万円の皇室カレンダーの購入などを勧める電話がかかってきているとのことだった。母は断っているが、どこまで断り続けられるか心配だ。勧誘をやめさせる方法はないか。(契約当事者 80歳代 女性)
●祖父母の自宅に商品を勧誘する電話が何度もかかる
祖父母は二人暮らし。皇室関係書籍などの勧誘が何度も祖父母宅にあり、家族は対応に苦慮してきた。祖母から電話があり、業者から皇室関連の陶器の購入を勧誘されて3日後に商品が届いて代金を支払うことになっていると言う。この業者から送られた封書が見つかったので業者に電話し、解約を申し出たら、了承された。今後、業者からの勧誘を一切断る方法はないか。 (契約当事者 80歳代 男性・女性)

東京都消費生活総合センターは、電話勧誘に慎重に対応することや消費生活センターに相談するようにアドバイスをしている。

話を聞いてしまうと断りにくい

購入する意思がない場合には、早いうちにはっきりと断ることが重要だ。注文や承諾していない商品が届いた場合は、代金を支払わず受け取りを拒否するべきだ。受け取り拒否をしたら宅配業者に迷惑がかかると考えてしまう高齢者もいるが、それは間違い。

「誰が注文したかわからない荷物は受け取らない」というルールを家族で作っておくのも重要といえるだろう。

だまそうとしてくる相手も巧妙であるのも事実だ。過去に紳士録(人事録)の販売でこんなものがあった。突然、DM(ダイレクトメール)が届き、購入可否の返事をしないでいると、会社の処理に困るから返事をしてくれというものだ。

○紳士録を購入します。 
○今回は紳士録を購入しません

という2つの選択肢が返送書面にあり、これに記載して返送しろと言ってくる。購入する意思がないならば、当然「今回は紳士録購入しません」にチェックして返送することになるが、しばらくして紳士録が送られてくる。

申し込んでいないと消費者が言うと、「今回は購入しないということは、次回からは購入するという意思表示だ」と難癖をつけてくるというものだ。

悪徳商法は手を変え品を変え、消費者をだまそうとする。特に高齢者がターゲットになりやすい。

断りきれず商品が送られてきた場合はどうすればよいか。法律で定める書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフができる。クーリング・オフ期間が過ぎても解約できる場合もある。

そもそも、勧誘電話を避けたい場合は、留守番電話機能の設定や、発信番号表示サービスの利用申し込みをして、発信者を確認してから電話に出るようにするといいだろう。また都内の区市町村の一部では振り込め詐欺防止などを目的とした自動通話録音機を高齢者世帯に無料で貸し出している。

迷わずに近くの消費生活センターに相談を

消費者トラブルで困ったときは、迷わずに近くの消費生活センターに相談することだ。局番なしの消費者ホットライン「188」(イヤヤ)が設置されており、3ケタをダイヤルすれば日本全国で近くの消費生活相談窓口につながる。


消費者ホットラインとキャラクター「イヤヤン」(画像:消費者庁より)

全国には消費生活センターが829カ所(平成29年4月1日現在)あり、そのほか、すべての市区町村に消費生活相談窓口が設置されている。消費者ホットラインは、全国共通の電話番号で、地方公共団体が設置している身近な消費生活相談窓口を案内するシステムで、児童相談所全国共通ダイヤル「189」(イチハヤク)とともに国が3ケタ化を実施している。

「平成」も残りわずか。元号改元に便乗した詐欺は上記に紹介したもののほかにも、巧妙な手口で消費者をだまそうとする事例もあるだろう。

被害に遭わないためにも、つねに注意が必要だ。