そうした悲劇を避けるためにも、今回紹介するツールを使ってメールの誤送信対策をしておこう。
●完全には防げないヒューマンエラー企業における情報漏洩の原因はいくつかある。
・コンピュータのウイルス感染
・外部からの不正アクセス
これらによるものもあるが、依然として多いのが
・宛先ミスなどのメールの誤送信
である。
企業秘密の含まれた重要な資料を誤った宛先に送ってしまったり、BCCに指定すべきメールアドレスをCCに指定してしまったりといったヒューマンエラーは、完全に防ぐことは難しい。
しかし、メールの内容を自動的にチェックし、送信前に宛先や添付ファイルを再確認できる仕組みがあれば、事故の発生確率を大きく低減することはできるはずだ。
●送信前に本文や宛先をチェックして再確認できる「Outlook Okan」今回紹介するOutlookのメール誤送信アドイン「Outlook Okan」を利用すれば、それが可能になる。
「Outlook Okan」は、無料で利用できるOutlook用のアドインだ。Outlookでメールを送信するとき、メール本文に特定のキーワード含まれていたら警告を出したり、特定の宛先を指定したとき、CCやBCCを指定したりできる。
メール送信前にこのような画面が表示されて、宛先や添付ファイルをチェックできる。すべの項目をチェックしないと[送信]ボタンをクリックできない。
「Outlook Okan」をインストールすると、[送受信]タブに[誤送信防止アドイン]のグループが作成される。[設定]をクリックすると、設定用のダイアログボックスが開く。
[送受信]タブに[誤送信防止アドイン]のグループが作成される。
[設定]をクリックすると設定用のダイアログボックスが開く。各タブで必要な設定を行う。
各タブで設定できる内容は次のとおりだ。
・ホワイトリスト
送信しても問題のないメールアドレスまたはドメインを登録する。
送信前にチェックされた状態になる。
・名称/ドメイン
宛先の名称とドメインを登録する。
たとえば「ジャムハウス」を「@jam-house.co.jp」と登録すると、
宛先が「@jam-house.co.jp」以外のメール本文に「(株)ジャムハウス」
といった記載があると警告が表示される。
・警告キーワード
警告対象のキーワードと警告文を登録する。
・警告アドレス
警告対象のメールアドレスまたはドメインを登録する。
・自動CC/BCC追加(キーワード)
登録したキーワードが本文に含まれる場合、
指定したメールアドレスをCCまたはBCCに自動的に追加する。
・自動CC/BCC追加(宛先)
登録した宛先を指定した場合、
指定したメールアドレスをCCまたはBCCに自動的に追加する。
設定は、それぞれの会社・個人の事情に合わせて行うことになる。
たとえば、
[警告キーワード]タブの[警告するキーワード]に取引先の会社名を入力し、[警告文]に「取引先企業名が含まれています。宛先を再確認してください」
というメッセージを登録しておけば、メール本文に取引先企業名が含まれている場合、宛先の確認を求める同メッセージが必ず表示されるようになる。
あるいは、[自動CC/BCC追加(宛先)]タブを利用すれば、重要な相手にメールを送信するとき、CC/BCCに上司などの特定の相手を自動的に追加することもできる。
設定した内容はCSVファイルでエクスポート/インポートできる。
企業で利用する場合は、IT担当者が設定し、エクスポートしたCSVファイルをほかの一般社員がインポートして利用すれば、統一した設定を業務で運用することができる。
人間は必ずミスをする。
したがって、メールの誤送信はこれからも必ず起きる。
だからこそ、万が一の事態に備えておくことが大切なのだ。
無料で利用できる「メール誤送信アドイン」は、セキュリティ対策になかなか予算を割けない企業にとって、貴重なツールとなるはずだ。
なお、「Outlook Okan」は個人/法人ともに無料で利用できるが、サポートが必要な場合は、有料のプランも用意されているようだ。ツールのダウンロードおよびサポートの有料プランについては、以下のページを参考してほしい。
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Outlook Okan 井上健語(フリーランスライター)