中田クルミがパリで体験! シャネル〜知られざるメティエダールの世界。

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メゾンの伝統と匠の技、そしてモダンな解釈で生まれるシャネルのプレタポルテコレクション”メティエダールコレクション”。2002年よりカール・ラガーフェルドが発表し、今年16年目を迎えるそのコレクションを支えるアトリエにモデルの中田クルミが潜入。華麗なるコレクションの裏側とは?

メティエダールとはフランス語で芸術的な手仕事を意味し、その名のとおり、繊細な羽根飾りや精巧でいて煌びやかな刺繍など、職人の英知の技術を結集した唯一無二のコレクションだ。毎年12月に発表される同コレクションはエディンバラ、ダラス、ローマ、パリなどいずれもガブリエル シャネルとゆかりのある土地が舞台。昨年12月にはガブリエル シャネルが暮らしたパリの5つ星ホテル「リッツ パリ」にて開催され、カーラ・デルヴィーニュやリリー=ローズ・デップをはじめとするモデルが、その芸術を身に纏い魅了した。

昨年12月にパリの5つ星ホテル「リッツ パリ」で披露された2016-17メティエダール コレクション パリ コスモポライト。PHOTO : INDIGITAL

コレクションを支えるのは、”サヴォアフェール”とクリエイティブなスピリット。ルマリエ(羽根飾り、カメリア)、ルサージュ(刺繍)、デリュ(コスチュームジュエリー、ボタン)をはじめとする、シャネル傘下のアトリエで働く職人たちの総合芸術だ。カール・ラガーフェルドのスケッチを、職人らがサヴォアフェールで具現化していくアートの現場へ、今回モデルの中田クルミが訪問。ルサージュ(刺繍)とロニオン(プリーツ)のふたつのアトリエを特別に見学してきた。

ロニオンのアトリエ前にて。「シャネル」のフリルブラウスとロングツイードジャケットに私服のデニムをコーディネート。マルチカラーの新作バッグ”ガブリエル ドゥ シャネル”でプレイフルなアクセントをプラスしたクルミさん。

繊細なプリーツは紙の型紙から生まれる。 プリーツ加工のアトリエ、ロニオンへ。

パリ市内から車で約30分。パリ郊外パンタンにシャネル傘下のアトリエが集結している。まず最初に訪れたのは1945年創業のプリーツ加工のアトリエ、ロニオン。中に入るとボール紙でできたプリーツを作る型がアトリエに並び、その型数は約3,000以上! こちらでは、この型と手作業の職人技、スチームを組み合わせて素材にプリーツ加工を施している。

型紙作り。まるで折り紙を折るように、デッサンに沿って折り目がつけられた型紙を手作業で折っていく。この作業は熟練の技術が必要で最もキャリアのある職人が担当しているそう。こちらのアトリエには6名の女性の職人が働いていて、インターンを2年経験し、その後職人としてスタートするキャリアパスが一般的とのこと。

さまざまなプリーツのサンプル。「プリーツといえば、一般的なプリーツしか想像していませんでしたが、折り方や折る幅や順番などバリエーションを合わせると、3,000以上の種類が存在することに驚きました」とクルミさん。

さまざまな型紙が並ぶロニオンのアトリエ。

プリーツ作りの現場は 1950年代から変わらない伝統を継承。

プリーツ作りのデモンストレーションを特別に見学。2枚に重なった型紙を広げ、上と下の型紙の間にプリーツにしたい素材を挟む。型紙と素材がずれないように重しを置き、ふたりがかりで型紙の折り目に合わせてプリーツを折っていく(写真上)。折り終えたら筒状に丸め、専用のスチームで数時間蒸し、一晩寝かせてプリーツの形状を素材に形づけるという工程だ。

熱が取れたら型紙から外し、プリーツ加工ができあがり。その後、別のアトリエに送られる。「このプリーツを折るという技術は1950年代から変わらない技術。今回、プリーツ作りを実演してくれた職人さんは若い方で、フランスの伝統工芸であるプリーツの技術がきちんと継承されていることに感動しました」とクルミさん。

できあがったプリーツ。紙の型紙から精巧で美しいひだが生まれていく様子は圧巻。

PHOTO : CHANEL(RUNWAY)

今回デモンストレーションで作ったプリーツ(写真左)は、2016-17メティエダール コレクション パリ コスモポライトのスカート部分(写真右)に使用されたものと同じ型。ボディはルサージュのエンブロイダリーでこの刺繍には250時間が費やされているそう。

繊細なアートを間近で目撃。 刺繍のアトリエ、ルサージュへ。

次に訪れたのはルサージュという刺繍のアトリエ。自身も趣味で刺繍をするというクルミさんが渡仏前から楽しみにしていたアトリエだ。こちらは1924年創業で、創業時に前身の刺繍アトリエであるミショネ(Michonet)のアーカイブも引き継ぎ、150年以上、計75,000もの刺繍サンプルを保有。さまざまなクライアントのニーズに合わせ刺繍を提供している。

左/アトリエにあるもっとも古いシャネルの刺繍は1976年のもの。

右/アトリエにある最も古い刺繍はルサージュの前身であるミショネ時代のもので、1885年のニードル刺繍。


PHOTO : CHANEL

2016-17メティエダール コレクション パリ コスモポライトにもルサージュの刺繍が登場。こちらのルックはブラックツイードにルサージュのゴールドの刺繍が施されたジャケットとドレス。それぞれ刺繍に費やされた時間は、ジャケットは70時間、ドレスのボディは90時間という。ゴールドのリボン、1,400個のコスチュームパール、1,200個のビーズ、350個のレザーフラワーがエンブロイダリーされた、まさにサヴォアフェールの結集!

ルサージュのアトリエ前にて。

刺繍はどうやって作られる?

刺繍ができるまでの工程にクルミさんも興味津々。型紙から縫う現場まで、じっくり観察してみました。

1. 縫いつけるビーズの色別に、数色のペンを使い図面を書いていく。こちらは指示書のようなもの。

2.図面の上にトレーシングペーパーをのせ、穴を開けていく。穴を開けたトレーシングペーパーを縫い付ける布の上に置き、上からピグメント(着色剤)をのせて縫う場所に色をつける。

3. 図面を参考に指定されたビーズを縫い付ける。布の上からフックを刺し、下面にビーズを縫い付ける。いとも簡単にビーズを縫い付けているように見えるが、こちらも約2年の研修を経て実作業ができる技という。

2016-17メティエダール コレクション パリ コスモポライトで使用された刺繍。

 


 

 

中田クルミが刺繍体験、 ブレスレット作りにチャレンジ。


ひと通り、刺繍作りの現場を見学した後で、針を使う刺繍を体験。レザーに2種類のスワロフスキーを縫い込みブレスレットを作ってみることに。普段から刺繍の作業には慣れているクルミさんはサクサクと針が進み、レクチャーしてくれた職人さんも素晴らしい!とお褒めの言葉。「刺繍する作業は難しくはなかったですが、裏面の糸の処理を見ると職人さんと私では格段の差が。まだまだ修行が必要ですね!」

今回訪問したロニオンとルサージュ。そんな職人たちのサヴォアフェールが集結したメティエダールコレクションが、東京にやってくる。2016年12月にパリのリッツ パリで発表された「パリ コスモポライト」コレクションを2017年5月31日に東京でお披露目。アーティザンの伝統と、それを未来へとつなぐメゾンの革新をうかがえる貴重なコレクションのショーの模様は、専用サイト(http://www.chanel.com/-ParisCosmopolite_Tokyo)からチェックして。

PHOTO : CHANEL

 

PHOTO : RYUSUKE HAYASHI   EDITOR : CHIKAKO KURAZUMI

【取材後記】中田クルミのパリジャーナル
今回、人生初の渡仏だった中田クルミさん。アトリエ訪問のほかにも、2017-18クルーズコレクションショーに参加したり、合間に街を堪能したり。彼女が捉えたパリを公開!

2017-18クルーズショーにはシャネルのドレスに、ロングのドクターマーチンとブラックミーンズのフリンジライダースを合わせました。甘辛ミックス。

シャネルでお買い物。定番のバレリーナシューズです。パテントレザーで上品に。

手芸好きとして絶対行きたかったパリの手芸屋さん。コットンの毛糸だけでもこーなに種類があってびっくり。何買うか悩み中。

滞在したシャングリ・ラ ホテル パリはナポレオンの親戚であるローラン・ボナパルト王子の邸宅をホテルに改装したものでした。

PHOTO : CULUMI NAKADA

パレ・ロワイヤル。滞在期間はあいにくの雨が続きましたが、雨に濡れて輝く建物も道も日本では見られない景色ばかりでした。