それぞれの戦略と実際の思惑はどうか。まずは蓮舫氏。民進党代表選への出馬会見で蓮舫氏は「私の持っている覚悟は、崖とかスカイツリーというレベルではなくて、富士山から飛び降りるくらいの覚悟」と語り、強い意思を滲ませた。
先のアナリストが言う。
「一時は都知事選への出馬を党内からも強く期待された蓮舫氏は、本人も当初、気持ちが揺らいだ。もし出馬していれば、“蓮舫都知事”が誕生していた可能性は7割以上あったでしょう。それを断念した理由は、一国の首相という高い目標があったからです。まずは党代表を勝ち取り、総選挙での大勝、さらにその先の首相の絵図を描いたための、都知事選回避だった」
先頃の参院選での民進党敗北は、投開票前から事前調査で予測できた。ゆえに岡田克也代表の辞任、代表戦が必ずあるという読みが当たったというわけだ。
一方、その蓮舫氏と対極の政治姿勢で、猛スピードで女首相への階段を駆け上がっているのが稲田氏。入閣は内閣府特命担当相(規制改革担当)に続く2度目で、防衛相就任前は党政調会長。「党務」も「閣僚」もこなし、すでに首相を目指す政治家としての資格は十分と言われている。
「それもこれも、'05年郵政解散当時、稲田氏は弁護士活動で南京事件の“百人切り競争事件”を疑問視する姿勢を講演。それを聴講した安倍首相に引き抜かれたのが事の始まりだった。以来、政治家としては異例のスピード出世。今年2月、ある懇親会の席上で安倍首相自らが『首相候補として頑張っていただきたい』と激励したことで、それが現実味を帯びつつある。首相の携帯に直電できることから、男性政治家たちからは猛烈に嫉妬されていますよ」(全国紙編集委員)
また、稲田氏といえば、眼鏡にミニスカ、網タイツ姿が定番だ。
「選挙区の福井県が繊維と眼鏡の街で、地元振興とPRを兼ねてのもの。しかし一方で、稲田氏のスタイルに萌えるファンも続出し、今や“網タイツの女王”として熱烈な支援者も急増している。誰のアドバイスかは分かりませんが、政治家デビュー当時の地味さから一変している辺りは、意識の高い表れでもあります」(福井県議会議員)
しかし、稲田氏に警戒感を強めるのは、中国と韓国、北朝鮮などだ。中国は稲田氏が防衛相の就任会見で南京事件に関連し「百人斬り」を否定したことについて、「歴史を否定すれば中日関係の未来はない」と強く反発。さらに稲田氏を「極右の政治ブローカーで、安倍首相と関係が近い」と警戒感を露わにする。それが、首相への道にプラスになるかは風向き次第だ。
最後に小池氏。周辺の関係者が言う。
「第一次安倍内閣時代に防衛大臣に就任した小池氏は、その後、安倍首相と総裁選を争った石破茂氏の推薦人になってから、安倍首相と距離を置くようになった。都知事へのチャレンジ直前までは、もう過去の政治家と思われていたのです。しかし、そんな状況でも彼女なりにしっかりと野心を持っていることが分かった」