新3D放送は、3D非対応テレビ(奧)でも3D放送を高品質な2Dで表示


120Hzの倍速駆動や240Hzの4倍速駆動が可能な液晶テレビやディスプレイが登場して“3D立体視元年”と言われてから、はや数年、3D立体視が可能なテレビやディスプレイは、それなりに普及している。ゲーム機でも3D立体視対応のポータブルゲーム機のニンテンドー3DSもそれなりに売れている。3D立体視ができる環境は、それなりに整っているといえる状況であるのに、3D立体視のコンテンツ類が普及しているとは、とても言えない状況だ。

いくつかの原因が考えられるが、コンテンツで最大の流通元となるテレビ放送で、3D立体視に対応している放送がほとんどないことも、その1つと言えるかもしれない。

3D立体視を可能にする放送にはいくつか課題がある。ただInter BEE 2012でNHKメディアテクノロジーが出展していたAdvanced Stereo 3Dは、今後の3D立体視放送を普及させるカギとなるかもしれない技術だ。




現在の3D立体視向けの放送は、右目用と左目用の画像を1画面に表示するサイドバイサイド方式で、3Dに対応しない一般的なテレビで3D放送を見ると、1つの画面内に右目用と左目用の2つの画像を見ることになる。

3D立体視対応のテレビは、それなりに出荷されてはいるものの、全体的に見れば3D非対応テレビの方が圧倒的に多数を占める。この状況で3D立体視向けの放送をしてしまうと、多くの3D立体視非対応テレビのユーザーには、見えにくくなった放送を視聴しなければならない。かといって「3D放送はこちら、2D版はこちら」なんて複数のチャンネルを使って放送を行うわけにもいかない。

こうした問題を解決する方法として期待されるのが、NHKメディアテクノロジーがInter BEE 2012で出展したAdvanced Stereo 3Dだ。

従来の放送規格と互換性を維持しながら、2Dテレビ用の左目の映像に3D立体視用の右目の映像を多重化して放送する。従来の一般的なテレビでは2D用の左目用の映像だけが表示されるため違和感がない。そして3D立体視対応テレビでは右目用の映像を利用して立体視を実現するという仕組みだ。



左目用の映像は従来の2Dテレビと互換性のある13MbpsのMPEG-2 ADで、3D用に使用する右目用の映像は7MbpsのH.264となる。当然ながら現在の放送波の帯域でそのまま放送できる。

それぞれの方式は異なるが、デモで使用していた映像は従来のサイドバイサイドよりも高画質な立体視となり、立体視対応の映像を2D視聴した場合でも通常の2D映像と同程度の品質になっていた。

この放送規格が標準採用になると決定したわけではないが、機材などはそろいつつあり、放送局の機材調達など様々な面で環境が整備されることによって3D立体視対応放送も本格化することを期待したい。来週放送の映画は3D立体視対応、なんていうことが普通に行われる時代になってほしいものだ。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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