「ヨーロッパで最も深い」とされるフィンランド・ピハヤルヴィの卑金属鉱山「ピハサルミ鉱山」で、その深さを生かして坑道内でエネルギーを貯蓄する計画が進められていることがわかりました。
Europe’s deepest mine to become gravity battery for storing renewable energy | The Independent
https://www.independent.co.uk/tech/gravity-battery-mine-renewable-energy-b2492087.html
ピハサルミ鉱山はかつて亜鉛や銅の採掘が行われていましたが、2024年時点では閉山され鉱山としての役目を終えています。内部の深さは1444メートルにおよぶ非常に深い鉱山で、その深さを生かし、位置エネルギーを利用した蓄電システムが配備されようとしています。
位置エネルギーを利用した蓄電システムは「重力電池」などと呼ばれています。仕組みとしては単純で、発電で得られた余剰電力で大質量の重りを持ち上げておき、電力が必要になったら重りを下ろし、位置エネルギーをタービンの回転エネルギーに変えて発電するというものです。
ピハサルミ鉱山にはスコットランドの企業であるグラビトリシティが開発した重力電池が導入される予定であり、実現すれば坑道内で最大2MW(メガワット)のエネルギーを貯蔵できる可能性があるとのこと。蓄電の際は、太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる余剰エネルギーが利用されるそうです。
グラビトリシティのマーティン・ライト取締役会長は「このプロジェクトは、我々の技術がいかに長寿命のエネルギー貯蔵庫を提供できるかを本格的に実証するものです」とコメントし、ピハサルミ鉱山への導入を「プロトタイプ」と位置づけ、他の商業プロジェクトへの道筋を明確に示していくと付け加えました。
国際応用システム分析研究所によると、こうした廃鉱が重力電池の貯蔵庫として活用される公算は大きく、全世界で最大70TWhのエネルギーを貯蔵できる可能性があるとのことです。