46歳から81歳の約3万人の男性医療従事者を対象にハーバード大学の研究チームが1986年から行った研究では、20代の若年成人期、40代の中年期、および直近の1カ月あたりの平均射精回数に関する情報を集めました。また研究参加者は2年ごとに包括的な健康とライフスタイルのデータを調査チームに対して提供しました。
研究の結果、射精頻度が高いほど前立腺がんの発症リスクが増加することを示す証拠は見つからず、逆に射精頻度が高いほど発症リスクの低下につながっていることが判明しました。
月に4回から7回の射精を行っていると報告した男性と月に21回以上の射精を行っている男性を比較した結果、射精頻度が多い男性の方が前立腺がんの発症リスクは約31%低下していたとのこと。
約2300人の男性を対象としたオーストラリアの研究では、70歳未満の前立腺がんの発症に対する射精頻度の影響を調査しています。この研究もハーバード大学の研究結果と同様に、頻繁に射精を行うと報告したオーストラリア人男性は前立腺がんの発症リスクが低下するという結果が得られました。
オーストラリアの研究チームによる報告によると、週に平均4.6回から7回の射精を行った男性は、週に2回から3回未満の射精を行った男性よりも、70歳未満で前立腺がんと診断される可能性が約36%低かったとのこと。
ハーバード大学やオーストラリアの研究チームによる研究は、前立腺がんの発症原因を明らかにすることはありませんでしたが、医学的には大きな意義があるとされています。また、どの報告でも、20代の若年成人期に射精頻度が高かった場合、数十年後の前立腺がんの発症リスクの低下につながることを報告しています。
ハーバード大学の研究チームは、若年成人期の射精頻度が数十年後の自身の健康につながるため、前立腺が発達し成熟している若年層は射精の頻度に気を遣うように呼びかけています。